第129話・つまり盛大なフラグということですね
今日、第三王子もとい俺の兄上が帰って来た。
一応、留学という名前の人質である筈の公爵令嬢と明らかな、明らか過ぎる程のラブラブオーラを漂わせて。
何というか、我が兄ながら王に絶対向いてないだろって思うわ。
少なくとも国王のなるかもしれない人間が他国の公爵令嬢にメロメロとか愚かとして言いようがない。
といっても俺にとっては何も関係はない。
第三王子が愚者でこの国に害をもたらす悪であれば俺の眷属が、というか父上が処罰を下すだろうからな。
俺はいつもの様にグウタラ怠惰な生活をすればいい。この幸せな時間を享受すればいいってだけだ。
かくして俺はある意味での人質から解放された兄上が帰って来たというのに一切挨拶も出ずに無視して、そのまま布団に潜ってぬくぬく気持ち良いなって思いながら、眠りについた。
―――――――――――――――
起きたら、隣にイトがいた。
どうやら俺が寝てる間に布団に潜りこんでたらしい。もはやいつものことだなって思いながら体を起こす。
「おはようございます。グレン様」
「ああ。起きてたのかイト。おはよう」
「そういえば、グレン様、第三王子が帰ってきましたね?今の所、ソルティー国の公爵令嬢にべったりで、義父上が、こいつを王にしても駄目な気がするって少ない髪の毛を散らしながら頭を抱えてましたよ」
「そうか。まあ、それはそうだよな。俺も第三王子を王にしちゃあ駄目だと思うよ。といっても面倒だから俺の知ったことではない、多分、父上が何とかするだろ」
「そうですね。じゃあ、グレン様、一緒に二度寝でもしますか」
「そうだな。二度寝としゃれこみますか」
その後、俺はイトと二度寝にしゃれこみって、まあ、同じ布団に夫婦が二人、何も起きないわけがなく非常に素晴らしい気持ちになれました。
めでたしめでたし
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目が覚めたらイトが丁度ご飯を作ってくれていた。
正直今日寝すぎて、今の時間が朝なのか昼なのか夜なのか夜中なのか分からないが、取り敢えずイトと一緒にご飯を堪能する。
「イトの作ってくれた料理は今日も美味しいよ」
「それは良かったです。グレン様」
「あ、そういえばイト、今って朝?昼?夜?どれ?」
「今は、夜ですよ。丁度第三王子ご帰還パーティーをやっている所ですね」
「おおそうか。いやでもご帰還パーティーって、まあ、第三王子がソルティー国の公爵令嬢にべったりなのを見て、何というか、かなりの貴族がこいつヤベエって思ってそうやな」
「実際に思ってるらしいですよ。マリアが一応参加して様子を見てるらしいですが、まあ、それはもう二人のラブラブオーラに周り皆ドン引きらしいです」
「そうか、まあでも、別にその二人がラブラブで幸せなのは悪い事ではないな。第三王子は一応俺の兄上に当たる訳やし、幼い頃に数回しかあったことはないが、悪い人ではなかった。普通に優しい人や。強いて言うなら執着心が少し他の人よりも強い程度だな。ソルティー国に人質として留学させられてたってのも考えたら、普通に幸せに生きて欲しいね」
「何だかんだでグレン様は優しいですね」
「そう?といっても、第三王子が俺に面倒事をもたらしたりするんだったらば話は別だけどね」
「それは大丈夫ですよ。何か起こる前に私達が何とかしますから」
「それは、ありがたいね。さて、じゃあ。ごちそうさまでした。ご飯美味しかったよ。という訳で腹ごしらえもしたし俺は本でも読んでるわ」
「かしこまりました。では今から私は食後のデザートと紅茶でも用意しましょうか」
「お、気が利くね。ありがとうイト」
「どういたしまして」
かくして、俺は優雅にイトと一緒に紅茶を飲みながら、チーズケーキを食べるのだった。
非常に美味しかったです。
ただ、この時の俺は知らなかった。
想像以上に第三王子が自分の兄上に才能がありかなり頭のネジのぶっ飛んだ狂人だということに。そして、第三王子の交際相手のソルティー国の公爵令嬢が【嫉妬の天魔】を受け継いでることに、まだ気が付いていなかった。
―――――――――――
まあ、気が付ける要素は山の様にあるのに、面倒くさがってそれを調査しようともしないグレンが悪いっていったら。本当にそう。
え?カレーヌとか気付いてるやろって、正直【嫉妬の天魔】の力が分割されているってのもあって、カレーヌ視点、さして力を感じない小物やし、一々報告してグレン様を面倒をかけるのもアレだから、怪しい動きをすれば排除するけど、何もしないのであれば別に何もしないよって感じですね。
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