第123話・復讐~道徳?倫理観?何それ美味しいの?~ 中編
ノートを開く。
そこには目次という名前と共に罪が重い者順に人の名前が記されていた。
それはもうびっしりと3ページにも渡って目次は続いていた。
「ハハハハハハハハハハハハ。きはははははははは」
気が付いたら俺は笑っていた。
こんなにもお母さんに対して非道な行いをした。屑どもがいたとは。
いやはや。何で俺はもっと復讐をしなかっただろうか。
でも、もう大丈夫だ。
何故って。今から復讐を行うからだ。
それは恐ろしい程に凄惨で悲惨で喜劇的で過激的で醜く汚くどす黒い行いだ。
でも俺はそれをしなければならない。
することによって俺の心は軽くなる。
だから、さあ、つまり今から、
「楽しい。楽しい。復讐の始まりだ」
ノートを読む。
一通り読んだ後にまず最初に復讐をしなければならない屑をごみを吐き気を催す邪悪を見つけた。
その邪悪はこの国を裏から支配しようと企んでいる公爵家の当主であり。あの馬鹿第二王子をこの国の王へと祭り上げて傀儡にしようとした屑であり、父上の正妻(仲は地獄みたいに悪い)の親戚という。なんかもう、一目見ただけで、それこそ物語の中でもこいつが全ての元凶やん、悪やんってのがこれでもかと分かるような。本当に絵にかいたような悪だった。
しかも驚くことにこの悪はそれ以外にも様々な罪を重ねていたようで、上から順に違法な人身売買から始まり、魔麻薬、人体実験、暗殺組織作成、盗賊組織作成、脱税と。
まあ、ビックリするようなオンパレードのオンパレード。
これはもう完全アウトです。というか父上も早く処罰すればいいものをって思うが、まあ政治的に難しかったのだろう。
護衛もかなり雇っているらしいし、この悪を処罰するとなったば、天魔という最強かその護衛以上の戦力が必要だろうからな。
今は俺という天魔にその他、俺の眷属という名前の天魔がいるが、ほんの数か月前まではこの国には【探知の天魔】しかいなかったからな。
そう考えると処罰できずに野放しってのはしょうがないって奴だ。
まあ、そのおかげで俺がのびのびと復讐を出来るので、ラッキーな話だ。
「という訳で、ナナ今から吐き気を催す邪悪と呼ぶにふさわしい救いようのない悪を断罪にしに行くぞ」
ナナに右手を出す。
「分かったなの」
勘の良いナナはすぐさま転移だと理解して俺の手を握る。
「よし。じゃあ転移。悪の所まで転移」
俺は察知からの転移の万能コンボであの悪のすぐ側に転移した。
―――――――――――――――――――
転移した瞬間にそれはいた。
今まで見た魂の中で、最も黒く汚くよどんでいた。
それは、本当に悍ましく醜く、今すぐに殺さなければならない悪だと理解出来た。
その瞬間俺の中に今まで怠惰にして認知の力を借りてひたすらに誤魔化して抑え込んていた、悪意が溢れ出す。
否、もう既に溢れ出していたのだが、認知も怠惰もほとんどお母さんからの手紙で振り切っていたのだが元凶を前にそれがより強く濃く俺に現れる。
まるで今まで貯めていた悪感情の全てを吐き出すかのように溢れ出す。
ひたすらに溢れ出す。
そしてフラッシュバックするはあの光景。
部屋に戻るとお母さんが心臓を貫かれて死んでいたあの光景。
部屋には血が飛び散り、僅かにだがお母さんが抵抗した後が見られたあの光景。
お母さんが俺の為に作ってくれたおにぎりにはお母さんの血がべったりついていた。でもそれがお母さんの最後の手料理だと泣きながら食べたあの思い出。
全てがとどめなく押し寄せる。
そして最後にお母さんの名前を思い出した。
お母さんの名前はユリカ。
異世界にある花の名前らしい。花言葉は【純粋】と【無垢】お母さんによく似合ってると心の底から思った。
でもそれは真っ赤に汚された。
悪意のある貴族によって。
お母さんは何もしていないのに。
・・・・・・・・・・・・・・
「許されないよな。ああ。そうだよな。許されて言い訳がないよな。そして俺の目の前にはその時の本当の主犯格がいる。殺さないなんて選択肢はないよなあ。なあああああああああああ。そうだよなああああ」
驚くほど歪んだ叫び声が出た。
怒りと憎悪と悪意と恨みと憎しみと殺意と諸々の様々な悪感情がぐちゃぐちゃに混ざって心の底からどす黒い何かが出てくる。
そうだ。
そうなんだよ。
今俺の目の前にいる屑は俺のお母さんを殺した貴族の派閥のトップであり、そのことを知って許可を出した存在だ。
ああ、知っている。俺はそれを知っている。
あのノートを読んで知っている。今念の為にこの屑の心を読んでそれが事実だと確認もしている。
俺はお母さんを殺した奴らは地獄に落とした。
でもそれに間接的にかかわった人、それを知っていながら止めなかった人。それを止められる力があるのに止めることの出来なかった人、俺はまだ、そいつらに復讐をしていない。
苦しめて苦しめて殺してやればいい。じゃないと悪感情で俺はどうにかなってしまいそうだ。
何俺は世界最強だ。
世界最強の天魔だ。誰にも俺は止められやしない。
「お、おい、何をしているこいつを殺せ」
豚が叫んでいる。
いや。それは豚に失礼だな。こいつはゴミだ。
お母さんを殺すというのに加担したゴミだ。
「虚無結界・時間魔法・体感時間増加・遅延魔法・体感遅延・消滅の権能・身体及び精神消滅・消滅の権能・消滅超遅延・感覚魔法・痛覚増加・幻覚魔法・地獄幻覚・治癒魔法・自動気絶回復・栄養魔法・魔力変換栄養補給・治癒魔法・自動治癒」
俺はゴミを絶対に抜け出せない結界に閉じ込めた上で痛覚と体感時間を高めた上で地獄の幻覚とゆっくり本当に物凄くゆっくり身体と精神が消滅させるという痛みをかけて、気絶だけはさせないように更に治癒魔法をかけて、更に餓死等が起きないように自動で魔力を栄養に変換する魔法と体を自動で治癒する魔法をかける。
我ながら素晴らしい魔法の組み合わせだ。
道徳?倫理観?何それ美味しいのだ。これは俺に与えられた正当な権利だ。
「ああ。本当に素晴らしい」
「ひ。ひやあああああああ」
俺を見てさっきのごみの腹心が逃げ出す。
「爆散」
だから苦しませずに殺してやった。
一応俺なりの優しさだ。
出来る限り苦しませて殺しても良かったが、あの腹心の魂は黒に近い灰色だったのでな、大方、自分からは罪を重ねられないけど便乗という形で罪を重ねた感じだろ。
まあ、人は殺してるし、十分に美味しい思いはしているので、自業自得というやつだ。
「空間魔法・異次元空間・新規作成」
俺はわざわざ全く新しい空間を作り出してそこに、吐き気を催す邪悪を放り投げる。
これで、このゴミは何百年とかけて精神と肉体が完璧に消滅するまで永劫の地獄に閉じ込められることだろう。
非常に妥当な罰だな。
「さてと。ナナ。次ぐに行くか」
かくして俺はノートを片手に次の復讐に向かうのだった。
―――――――――――
こんな真夜中に投稿するの気持ち良すぎだろ。
さっきまで、よふかしのうたをネトフリで見てた。ナズナちゃん可愛い。
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