第121話・お父上(クソ野郎)と兄上(未来のクソ野郎)をぶるぼっこだとん 


「転移」

 俺はナナと共に父上の、いやクソ野郎の所まで転移する。


 都合の悪いことにその場にはクソ野郎の他に大臣がいたので、転移魔法で適当に部屋の外に飛ばす。

 護衛?何それを美味しいの?


「何じゃ、グレンよ」

 俺のいきなりの登場に軽く驚きつつも、何事もないように対応をしようとしてくる。事務的な感じがした。普段ならさして気にならないが、今の俺からしてみれば、それはもう神経が逆撫でられる。

 マジでイラっと来る。


「取り敢えず、歯を食いしばれよ」

 

 俺が全力でぶん殴ったら流石に死ぬので、それを分かったうえで拳に治癒魔法をのせて思いっきり全力でぶん殴った。

 

 ドン


 とてもじゃないが、人を殴って出るような音じゃない音を出してぶっ飛ばされるクソ野郎。

 壁に衝突して、軽く壁が抉れる。


「な。何をするのじゃ。グレンよ」

 俺が拳に治癒魔法を込めていたので、痛みだけは感じてるが怪我一つ負っていない。

 俺はこのクソ野郎に殺意はある。恩も感じてはいるが、それ以上にお母さんを見殺しにしたこいつをどうにも俺は許せない。

 でもここで殺してしまったら面倒だ。何よりお母さんはこのクソ野郎。いや父上を殺したいと思う程憎んではなかった。

 でもこのクソ野郎に腹は立つ。


「という訳で、まだ足りないから。もう一発パンチ」


 ドゴン


 盛大な音を立てて壁を突き破り、隣の部屋の床に転がる。

 隣の部屋は国王の寝室らしく、都合の良いことに誰もいなかった。


「グハ。な、なんでじゃ、グレンよ」

 クソ野郎のうめき声が聞こえる。

 なんか腹が立ったので治癒魔法抜きで蹴り飛ばす。


ドゴン


盛大な音を立てて吹っ飛び、壁をいくつかぶち破ってぶっ倒れる。


「転移」

 ナナと共に倒れてるクソ野郎の所まで転移をする。


 部屋を見ると、どうやら未来のクソ野郎こと第一王子の部屋だったようで、メイドと医者、それと何故か件の第二王子の不倫相手ことセッカがいた。

 おそらく、マリアンヌの件で第一王子に問いただしでもしてるのだろう。


「記憶よ消滅しろ。そして精神魔法・暗示・何事もなかったかのように仕事に戻れ、という訳だから転移」

 俺は流れる様に消滅の力と魔法を使い邪魔なメイドと医者を部屋から追い出す。


 現在、部屋には瀕死のクソ野郎と未来のクソ野郎と不倫相手に俺とナナという何というか軽く地獄のような面子となった。


「さてと。死なれた困るのでな。治癒魔法・完全治癒」

 クソ野郎の怪我だけは治す。

 なお、俺のキックで気絶してる模様。誰もいなかったら強制的に起こして、もう一発ぶん殴るつもりだったが。ちょっと事情が変わった。

 俺はベットで療養してる未来のクソ野郎の元に向かう。


「グ、グレンよ。これは一体どういうことだ。いや、違う。まさかセッカの言葉は本当だったのか」

 

「ん?セッカの言葉は本当だったのか?何で、不倫相手は俺のことを知っているのかって。ああ、そういえばお前はゲームの知識を知ってる異世界人だったな。面倒だな。消滅させるか」

 普段ならば、多少の優しさを持ち、むやみやたらにさして罪のない人間を消滅させたり殺したりといった暴挙にはでないが、今は母親からの手紙を読んだ影響でテンションは完璧に復讐モードに入ってるグレンは一人そう結論をだす。


「ご主人様、彼女の魂綺麗だけど本当に消滅させていいなの?ご主人様が望むならナナは良いと思うけど。消滅させた後にご主人様に後悔はして欲しくないなの」

 ナナのその言葉でグレンは今、自分の今、行おうとした行動の恐ろしたに気が付く。


「ナナ。ありがとう。後ちょっとで取り返しのつかないことをするところだった」


「それなら良かったなの」

 ナナの笑顔で胸の中いっぱいに広がっていた燃え盛るような濁ったどす黒い復讐心が少し晴れる。

 それによって、グレンはいつものような冷静な判断が少し出来るようになった。


「取り敢えず、未来のクソ野郎、お前は未来にやらかすが、今はまだ罪を犯していない、でも俺のマリアンヌのを傷つけた事実には変わりない。という訳でそれ相応の地獄を与えようと思う」


「ちょっと待ってくれ。その未来のクソ野郎ってどういうことだグレン。セッカの言葉もまだよくわからないってのに。というかそもそも俺が未来でやらかすって一体どういうことだよ。俺が何をするんだよ」

 どうやらまだ状況が把握できてないのか酷く混乱をした様子を見せる未来のクソ野郎。

 まあ、わざわざ懇切丁寧に教えてあげる義理はないな。


「幻覚魔法・拷問幻覚」

 俺は文字通りそれ相応の報いとして未来のクソ野郎に拷問をされているという幻覚を見せる。そうあくまでも幻覚、されど幻覚。

 もう死んでしまった【幻覚の天魔】程強い幻覚は流石に見させられないが、何だかんだで俺は世界最強の天魔であり、万能の力頭がおかしいくらいの魔力を持っている。

 普通の消費量の何百倍もの魔力を突っ込んでかけてやれば、ほら、一瞬で泡吹いて気絶させられるレベルの強烈な幻覚を簡単に見させられる。

 というか普通に精神を崩壊させて殺せるくらいの幻覚だ。

 ただ、流石に死なれたら面倒だし、精神が崩壊して何も感じませんってのは甘えだと思うんで、ついでに「強化魔法・精神強化」と「精神魔法・精神強化」という同じ名前と効果を持った魔法をかける。

 ただ、まだ足りないと思ったので「回復魔法・常時気絶回復」と「回復魔法・精神回復」をかけてあげる。

 これで精神崩壊せずに存分に苦しんでくれるだろう。


 いやはや、良いことしたな。


「あのう、私何も見てないし何も聞いてないので帰ってもいいですか?」

 不倫相手が馬鹿なことを抜かす。

 どうやらこの状況を見て不味いとは思ったようだ。

 ただ、それは後の祭り、大体、こうなった原因の一端は自分にあるというのに。これで逃げるってのは余りにも虫が良すぎる話だ。


「拘束魔法・完全拘束」

 魔力を充分に込めて英雄クラスでも容易には抜け出せないようにしっかりと拘束をする。

 特に聞きたいこともなかったので口のあたりもがっつり拘束する。


「さてと、じゃあ。クソ野郎をぶん殴りますか」

 かくして俺は気が済むまでクソ野郎をぶん殴るのだった。

 途中治癒魔法を俺がかけるのを面倒になってきたら、ナナが代わりにかけてくれたので思う存分気兼ねなくボコボコのミックミックにしてやりました。


 きっと天国にいるお母さんも笑っていると思うわ。

 後結構スッキリした。

 いやはや良いストレス発散になったよ。


 ――――――――――――――――――――

 取り敢えずクソ野郎こと国王はこれで許してあげてください。

 ぶっちゃけ、国王さん今、何で自分がこんなにボコボコにされてるのか考えることすら出来ないレベルで思考が回ってないです。完璧に心が壊れかけてます。

 まあ常識的に考えて致命傷レベルの攻撃をずっとひらすらに受けて、攻撃される度に魔法で体だけは再生されてで、まあ、うん。心壊れますね。

 wwwwww。ただまあ完璧に自業自得なんでね。


 因みに復讐はまだまだ続きますよ。お楽しみに。


――――――――――――――――――――――


 それと私事ではございますが、新しく

 【陰陽師で聖職者で厄災級悪魔・七つの大罪・怠惰の封印者にして世界最強の力を持つ俺は楽しい日々を過ごしたい】という作品をカクヨムにて投稿を始めました。

 結構頑張って書いてる&ストックに大分余裕があるので、毎日数話ずつ更新しています。よろしければそちらも読んで下さると嬉しい限りです。

 内容としては、11歳にして裏切りにあい両親を生贄に自分の体の中に厄災級悪魔・七つの大罪・怠惰を封じ込められてしまった悲しき主人公が、復讐の火に飲み込まれた化け物に成り果てないように、可愛い眷属とイチャイチャしながら、同じ自分を超える才能を持ったラノベ主人公のようなクラスメイト・勇気を監視しながら楽しい日々を過ごす話です。

 こちらも主人公最強系となっております。また時代背景が現代かつ。しっかりと学校やってるんで、作者としては割と書いてて楽しかったです。

 以上。

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