第119話・一冊の絵本


「豪華な料理良し、一応の飾り付けも良し、イト経由で眷属全員に招待も送った。イトは用事があると言って何処かに向かったと。で、今は俺一人か。そうだな無難に皆が集まる時間まで寝てるか。眠くはないが睡眠魔法を使えば一瞬で寝れるだろ」

 俺は部屋全体に浄化魔法をかけて綺麗にした上でベットに寝転ぶ。


「さて、寝ますか。まあ、時間になって皆揃い始めたら誰か起こしてくれるやろ。多分、という訳で睡眠魔法・睡眠」

 俺は心地の良い眠りについた。 








――――――――――――









 そして俺は夢を見た。

 内容はお母さんが俺の誕生日を祝ってくれる夢。

 ただただ幸せで優しい夢。

 二人っきりの誕生日会だったけど、お母さんと一緒で凄く楽しかったことを覚えている。

 二人で料理を作って食べて、お母さんが誕生日プレゼントにと俺にとある絵本をくれた。

 ああ、懐かしいな。あの頃は幸せだったな。

 夢の中だけど、何故か俺は、これが夢だと理解出来て、一人懐かしさに浸る。

 そうして暫くこの夢の懐かしさと幸せな思い出に浸って、俯瞰しながら、気が付いたらより深い眠りへとついていた。

 





 





 ――――――――――――

 


 目が覚める。


 周りを見渡すが誰もいなかった。


 どうやら、まだ誰も来てないようだ。

 結構長く寝たとは思っていたが、そこまで時間は立っていなかったらしい。

 

「ひと眠りしたせいか。眠くはないな。久しぶりにあの本でも読むか」

 異空間から一冊の絵本を取り出す。


 それはお母さんが3歳の時の誕生日に送ってくれた本。

 一応3歳の時点で【万能】の力のおかげで確固たる自我と専門書を簡単に読めるくらいの知識がついていたが、それでも3歳ということでお母さんが俺の為に自分の手で仕事の合間合間に書いてくれた絵本だ。


 内容はお母さんが知る様々な昔話が分かりやすく簡単にまとめられている形だ。


 それは、桃から生まれた桃太郎という侍のオーガ退治のお話だったり、それは、亀を助けて竜宮城という海の中にあるダンジョンでおもてなしを受ける話だったり、それは、一人の大魔法使いの手によってみすぼらしい少女がとある国のお姫様にまで成り上がる話だったり、それは、悪い魔法使いに騙されて毒を盛られた一人の姫を勇敢な青年がキスで救う話だったり。

 

 本当に色々なお話が載ってあった。


 ある意味、今更かもしれないが、頭の中でこの本に書かれている内容と非常に似たようなの読んだことあるなと思い、適当に探したら、複数の異世界人が似たような形で本として出版しているのが分かった。

 つまりお母さんは異世界・日本から来た人だったという訳だ。

 といっても本当に今更な話だ。お母さんが異世界人ってのは前々から知っていたし、気が付いていた。でも当時3歳の俺は気が付いていなかったわけだ。

 まあ、本当に今更な話だな。


 そんなわけで俺は一人懐かしみながらお母さん手製の絵本をもう一度読み直す。


 読み直している時にとある違和感を感じた。


 その違和感は、本当に小さな違和感だった。

 そのお話をこの本でしか読んだことがなかったのだ。


 本の内容は凄くシンプルだった。

 一人の少女が目が覚めたら姉と二人で見知らぬ土地にいました。

 そこで親切な男性に助けられて、姉がその男性と結婚、3人は幸せに暮らしてました。

 めでたしってお話だ。


 他のお話は全部、他の異世界人が書いている。

 でも、これだけはそれがない、つまりこれはお母さんのオリジナル作品という可能性が高くなる。

 そして、この少女と姉の二人が見知らぬ土地という部分。

 これは、お母さんと俺の叔母さんを表してるのではないか?

 そして親切な男性に助けられた、これは十中八九、俺の従妹の父親で叔母さんの夫。

 そして3人で幸せに暮らしたとあるが、これは実際の所、俺の父親によって無理やり母親は連れていかれて駄目になっている。


 そして、何よりこのお話は一番最後、いつも必ずめでたしめでたしのめでたしを2回繰り返してい終わらせているのに。このお話はめでたしを一回しか書かれていない。

 お話の内容が短くておそらくお母さんの実話で続きがあることが確定している。


 つまり、このお話の続きが何処かにあるんじゃないか?


 そう思ったらすぐ行動。


 俺はこの絵本を隅々まで詳しく鑑定してみる。


 すると一番後ろの裏表紙の所に隙間があることが分かった。

 この絵本はまるで図鑑のように表紙と裏表紙が厚かった。そういうものだと貰った当時は思っていたが違う。

 そういう風にわざと作っていたんだ。


 俺はこの本を壊したくなかったので、複製魔法を使い全く同じものをもう一冊複製した上で裏表紙の所を切断魔法でカットする。


 すると中からあのお話の続きが出てきた。


 内容は、3人仲良く幸せそうに暮らしていたが、自分がいてはせっかく結婚したばかりの二人に悪いだろうと思った少女が家を出てお城のメイドになるお話。

 メイドとしてそこそこ大変ながらも周りに良くしてもらいながら過ごしていたが、酔った王様に無理やり手を出されてしまい妊娠。

 あれよあれよの間に王子を出産。

 形だけとはいえ、王様の妻となり、てんてこ舞い、それでも自分の息子を愛し、大切にする一人の母親の姿が描かれていた。


 このお話には3枚の絵があった。


 1枚目は一人の女性、もとい、お母さんがお腹の中にいるであろう俺を優しそうな笑みで撫でている様子。


 2枚目は生まれたばかりの赤子である俺と嬉しそうに一緒に遊んでる様子。


 3枚目は少し成長した俺が初めて立って様子に感動するお母さん。


 何というか気が付いたら涙が出ていた。

 柄にもなく俺は大粒の涙をこぼしていた。


「ご主人様、大丈夫なの?」

 泣いている俺をいつの間にか光移動で戻ってきていたナナがそっと慰めてくれる。


「ありがとうナナ。大丈夫だよ。ただちょっとお母さんの愛に感動しただけだ」


「そうなの。それは良かったなの。でも泣いてるご主人様は放っておけないなの」

 そう言ってナナは何故か俺のすぐそばまで寄って、ベットの上に立つとベットで座って本を読み涙を流していた俺の頭をナデナデしてくたら。

 おそらく、俺を励まそうとしてるんだろう。

 本当にナナはいい子だ。


「ありがとうナナ」


 かくして俺はついついナナのその小さな胸で泣いてしまう運びとなった。


――――――――――――

 補足説明

 ナナは歓迎会パーティーの話を聞いて、学校が終わり、ご主人様ことグレンに新しく友達となったカレンと親友のマリも一緒にと思い、空間魔法使って連れてってと頼みに来た形です。

 そしたらグレンが泣いてたから励ました。

 ナナちゃん本当にいい子やわ。


――――――――――――


 えっと、最近更新出来てなかった理由。

 私が色々あって実家に帰省する運びとなったり(pcrしたよ。大丈夫だったよ。安心してください。めちゃくちゃ気を付けた)、とある店の肉(原因はほぼ99%たん白加水分解物、大豆アレルギー持ちだから普通にヤバかった。流石に気が付かないって。これからはたん白加水分解物にも気を付けないといけないwww)を食って死にかけて体調を盛大に崩した挙句、鼻からゲロを吹くという初めての経験をしたり、モンストでワンピースコラボの為にオーブを集めたり、運極を作ってたり、ウマ娘で爆死して発狂してたり、久しぶりにリゼロコラボ2弾という訳でガルパやって腕を駄目にしたりしたり、ハーメルンで二次創作漁ってたからです。めちゃくちゃ面白かったです。


 とどのつまり何が言いたいかといいますと。


 全て私の不徳のなすところであり、完璧に100%私が悪いです。

 申し開きの仕様がないです。


 本当に申し訳ございませんでした。


 いやもう本当に申し訳ございません。

 

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