第112話・変化と歓迎会パーティー計画


「おはようございます。グレン様」


「ああ。おはようイト。どれくらい寝てた?」


「おそらく1時間くらいですかね」


「そうか、思ったより寝てないな」

 ふと、隣に何か違和感を感じたので見るとマリアが幸せそうに俺の腰のあたりに盛大の涎を垂らしながら寝ていた。

 服が少しべたべただな。まあ面倒だから気にしないけど。


「マリアちゃんはまだ寝てますね」


「ああ。そうだな。まあ今日は色々あって疲れてるだろうから。そのまま寝かしておいてあげますか」


「そうですね。それが一番いいと思います」


「で、イト父上に説明は済んだか?」


「はい。済ませておきました。全部お父様に事情を説明した上で丸投げしておきました」

 一切悪意のない笑みを浮かべる。


「そうか。それは何というか、父上よ。ご愁傷様です。父上の胃に穴が開かないことを祈ってるよ」

 俺はこれから起こるであるであろう父上の苦労を考えて、そう祈る。

 といっても祈るだけで助けてあげようとかは思わない。

 だって面倒だから。我ながらクソみたいな性格してんな。まあ【怠惰の天魔】らしいしいいか。面倒くさい。


「そうですね。まあ、最悪私とカレーヌが手を貸すんで大丈夫ですよ」


「まあ。それもそうだな」


「というわけでグレン様。ご飯はどうしましょうか。一応作ってありますけど」

 自分のお腹をさすってお腹の具合を確認する。

 別にそこまでお腹は減っていなかった。

 まあ、そもそも論として【万能の天魔】の力で飢えにも準英雄レベルに強いし、変換魔法・魔力変換栄養を使えば、空気中の魔力から栄養を生み出して何も食べなくても半永久的に活動は可能だからな。


 あくまで俺にとって食事というのは娯楽だ。

 無理して取る必要ない。ただ小さい頃からの習慣と娯楽の二つの理由から取ってるだけだな。


 となると、せっかくマリアが仲間になったことだし、俺とイトでそこそこ豪華な料理を作って、せっかくだし、カレーヌとナナと忙しいだろうけどセリカにディスラー将軍と一応カゲウスとその妹も呼んで歓迎会パーティーでも開いてあげるか。


 いやはや俺って優しいな。


「グレン様、マリアちゃんの歓迎会パーティーでも開きますか?」


「流石イトだな。今からマリアの為に歓迎会パーティーを開くつもりさ」


「分かりました。ではグレン様の眷属全員に念話で伝えておきますね。もちろんカゲウスの妹も呼びますよね?」


「当たり前だろ。ここで仲間外れにするような人間じゃ俺はないよ」


「そうでしたね。フフフ。グレン様変わりましたね」


「そうか?俺はいつも通りのグレン様であると思うけどな」


「いいえ。変わりましたよ。1年前の私しか側にいなかった頃のグレン様なら新しい眷属、いいえ、家族の為に歓迎会パーティー開こうなんて考えませんよ」

 そう言われて、俺は少し考えてみる。

 

 1年前の自分を。


 思い出すのはいつも一人で本を読んでグウタラして、イトが作ってくれたご飯を食べて寝てグウタラして本を読んで、偶に真希やイトと話をしてグウタラしての自分を。


 ・・・・・・・・・


「あれ?別にそんなに変わってなくね?」


「いいえ。変わってますよ。だってグレン様の周りに私以外の家族がいっぱい増えてるじゃないですか」


「いや。家族じゃなくて眷属だろ」


「いいえ。家族で合っていますよ。だって眷属というのはある意味で魂を繋げる行為であり、こと人ならば絶対に信頼出来るという強い想いがないと出来ない行為ですから」

 そう言われて確かになと思ってしまう。

 でも、なんか微妙に違うような気がするんだよな。

 だって今俺が眷属の中で家族だと言い切れるのは、ずっと側にいてくれて正妻となったイトと何だかんだで側室という形で結婚してるカレーヌと娘?妹のように大事に思ってるナナぐらいかな?

 うん。マジでこの3人だけな気がする。その中でもやっぱりイトは家族って感じが強いは考えてみれば俺の一生の半分以上はイトと一緒にいるからな。

 あ、でも一応俺の叔母さんとその娘、つまり従妹がいるから、その二人も家族には入るか。その二人は正味微妙なラインかもな。


「まあ。イトの言葉にも一理あるが。今考えたけど俺が本気でも心の底から家族だと思えるのはイトが一番で、次にナナ、次にカレーヌってなるかな」


「もう。グレン様って偶に凄い嬉しいこと言ってくれますね」

 俺の言葉が嬉しかったのか顔を赤らめるイト。可愛い。


「そうだな。まあでもイトの言う通り、1年前と俺とだと結構変わるな。少なくとも1年前の俺が今こうした眷属を作って眷属集めて歓迎会パーティーしようなんて考えるなんて想像がつかなかったわ」


「フフフ。そうですね。じゃあ一緒にご飯作りましょうか」


「ああ。そうだな。まあ、まだまだマリアは寝てそうだし、マリアの学園が終わる頃を目安に今日はゆっくり作るか」


「そうですね。そうしますか」

 そうして俺はイトと二人で仲良く部屋で料理を作り始めるのだった。


――――――――――――――――――


 補足説明


 主人公のいる部屋はイトが天魔になったことでかなり広く豪華な部屋となっており、一応そこそこ立派な台所が備え付けてあります。

 ただ、城にあるしっかりとした台所と比べるとやはり設備は整っておらず、器具も足りてません。

 ついでにいえば食材もないです。

 なので基本的にイトはお城にある調理城で料理を作ってます。

 ただグレンは異空間の中にかなりの食材をストックしてる上に、様々な魔法を巧みに使い、器具・設備の代わりを魔法で行っているので、最悪調理する場所がなくても豪華な料理を作ることが出来ます。


――――――――――――


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