第111話・異世界人(ゲームプレイ者)


「ですから、この魔王殺しの英雄譚の作者は異世界人であり、今から1年後に【読書の天魔】に覚醒をしてバジリスク連合国を乗っ取るかなり凄い人です」


「はあ。いや。何というか、そうか驚いたわ。まあ別にどうでもいいけど。それにバジリスク連合国を乗っ取るなんて厄介事、面倒そうだし絶対に関わりたくないね」


「ハハハ。やっぱり師匠は師匠ですね」


「何だ、未来でも俺は全く同じことを言ったのか」


「はい。全く同じことを、本を片手にベットの上での転がりながら言ってましたね」


「そうか、それは相変わらず俺らしいな」


「そうですね。師匠は相変わらず師匠ですね。ただ、その後に【読書の天魔】には一度会ってみたいとも言ってましたよ。やけに真剣な顔で」


「ほう。でも、アレだろ、どうせ俺のことだし一人のファンとしてだろ?」


「それもあると言ってましたが、どれだけ危険な存在か一応確かめる必要があるとも言ってました」


「なるほどねえ、まあ確かにバジリスク連合国を乗っ取る、それも【読書の天魔】という明らかに戦闘向きでもセリカみたいな【洗脳】という超楽な手段も使えなさそうな天魔であるのに、それを成し遂げたんだ。それは危険な存在だな」


「そうですね。実際に私は会ったのですが、危険というよりも異常な存在でした」


「いや。会ったことあるのかよ。ほおそれで?どんな存在だった?」

 俺は少しツッコミを入れつつそう問う。

 一応何となくではあるが、天魔に至るだけの異常な精神と中々にハードな過去を持ってるを持ってるマリア相手に異常と呼ばれ、未来の俺が化け物と称し、魔王殺しの英雄譚という普通に面白い小説を書く、そのダークネスソルトという存在にかなり興味が持てて来た。


「そうですね。どんな存在と表すとしたら真希さんを10倍本好きにさせて、真希さんの愉快犯的様子をちょっと減らして。真希さんの性欲を10倍まで引き上げて、優しさを一つまみ足したような人ですかね?」

 自分で言っておきながらかなりその表現がしっくり来たのか、どうだ分かりやすかっただろって、胸を張りながら嬉しそうな顔を見せるマリア。

 

 因みにどんな人が逆に検討がつかなくなった。


「いや、どんな人だよ」


「え~~~。めちゃくちゃ分かりやすいと思ったのに、でも、そうですね他に言葉で表すとしたら・・・歪な人でしょうか?」


「歪な人?」


「はい。普通に人と接してて仲の良い友人っぽい人もいて楽しそうに笑ってるんですよ。そこに変な上下関係的な意識とかもなく、本当に仲の良い友人って感じなんですよ。一応天魔という世界トップクラスの力を持った化け物だけど。まるでそれを感じさせないんです。普通の何処にでもいる明るくて趣味を読書と風俗巡りにしてる人って感じですね」


「そうか。うん、なんというか普通だな。え?どこが歪なの?」


「それが自分と関りを持ったことない以外の人を物、いや、本の中の登場人物かのように思ってるんですよ。自分や自分の周りの人が傷つけられたら起こるけど、知らない他人が何処かで死んでても、別に気にしない。目の前で女性が襲われてたら助けますけど、それはあくまで自分の倫理観と道徳観に基づくもの、別にその襲われてる女性がどうとかは思ってない感じなんです」


「ああ、なるほどね。じゃあダークネスソルトって人もこの世界の過去と未来をしってるって感じか。いわゆる読者、いや違うな。確かゲームプレイ者って奴か」

 俺は真希が言っていた、この世界がゲームであるという事実を思い出して、納得する。

 ようはダークネスソルトって人はこの世界をゲーム?という形で知っているから、理解してしまっているから、物語のように、それこそこの本の中の世界の様に感じてるんだろうな。

 だけど普通に関わってみれば元の世界と変わらない普通の人間。ちゃんと仲良く出来る。笑い合える。

 でも、関わらなければ物語の住人であり、創作物の世界の物だと認識してる。それがおそらくマリアの感じた歪ってのの正体であり、それが真実なんだろうな。

 いやはや度し難いね。


「えっと。そのゲームプレイ者ってなんですか?」

 かなり不思議そうな表情を浮かべているマリア。


「ああ。マリアは知らなかったのか。ようはかくかくしかじかでかくかくがかくかく何だよ」

 俺はマリアに全てを話した。

 といっても真希から教えてもらった情報だけではあるが、ただ俺が知っているこの世界がゲーム?とやらになっており。起こりうるであろう未来の選択肢を神の手によって予想されて、その未来を知っている者が異世界人にはたくさんいるって感じで。

 まあとにかく全部話した。


「てことは。私の知っている過去と今が違うのは、その異世界人による影響ってことですね。それに師匠の理屈だと。あの不倫相手のセッカって人もおそらく異世界人でしょう。それもゲームプレイ者の」

 

「セッカ?ああ。あの馬鹿第二王子の不倫相手のあの娘か」


「そうですね。私に向かって、第一王子闇落ちルートって言っていたので、その未来を知っていたと思うのが自然かなと。

 それに仮に未来予知の能力者ならば、ルートっていう言葉を使うのは不自然ですし、未然に防ぐように動くと思います。回帰も同じ理由です。だから転生者かなと」


「なるほどね、確かに筋は通っている。だからといってなんかするつもりはないけどね。面倒だし」


「そうですね。でも流石にこの先訪れる可能性のある未来を聞いた方が良くないですか?」

 まあ確かにその通りだ。

 でも無駄だと思うんだよな。だってこの世界はおそらく元となった物語と大きくずれてるんだから。

 まあ、その理由は神によって送り込まれた、異世界人のゲームプレイ者がその知識と力を使って好き勝手したってんだけど。

 少なくともマリアが回帰して手にいれている記憶というのは。俺がイトと出会わずに森に引きこもってる所から、神の遊戯によってこの世界に様々な異世界人それもゲームプレイ者が訪れる前の。本来の物語として存在する世界の記憶だろう。

 だから多少の参考にはなるかもしれないが、基本無駄だ。意味がない。それならばセッカを呼ぶ方が面倒だ。

 

「どうしたんですか?考え込んで?」


「いや何、セッカを呼んだところで無駄かなって」


「無駄ですか?」


「ああ。無駄だ。マリア、お前も少し考えれば分かるだろ」

 わざわざマリアに説明をするのが面倒になったので俺がそう言うと、マリアは少し考えこむ。


 ・・・・・・・・・


「ああ。理解できました。ようは今この世界は私の知ってる情報ともそのゲームプレイ者?が知ってる情報とも大きく違うってことですね。だからさして意味がないと」


「ああ。そういうことだ」


「なるほど。確かにその通りですね」


「さて、じゃあ俺はなんか眠くねってきたから寝るわ。お休み」


「じゃあ。私も寝ます」


「そうか。じゃあお休み」


「はい。お休みなさい。師匠」


 そうして俺は布団にそのまま潜り込む。

 するとマリアがしれっと布団に潜り込んできてかなり密着してきたのでかなり今更な上に注意した方が面倒なので、無視をして、そのまま寝た。


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 二人で仲良く同じベットで寝る。こんなことをして何も起きないわけがなくといいたいけど。実際に何も起きないグレン様。

 wwwwwwwww。


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