第93話・ナナの楽しい学園生活
「ここが。学園なの・・・」
「そうだね。ここが学園だね。それにしても今日からナナちゃんと一緒に学園に通えるなんて夢みたいだわ」
「そうだね。ナナもマリちゃんと学園に通えて嬉しいなの」
「うん。私も嬉しいわ」
「ナナの方が嬉しいなの」
「いや私の方が嬉しいわ」
「いや。ナナの方が嬉しいなの」
「「フフフ。ハハハ」」
「楽しいね。ナナちゃん」
「そうだね。マリちゃん。でも今から学園に通えばもっともっと楽しくなるなの」
「それは凄く楽しみだわ」
聖教国が運営する聖教国立学園の前にある大きな校門にて二人の少女が微笑ましい会話を繰り広げていた。
「ねえねえ。二人共ここの新入生?」
赤髪ショートカット、服はもちろん制服、年齢はナナと変わらない10歳ぐらいの少女が二人に話かけた。
「うん。そうだよ」「そうなの」
「じゃあこれから6年間よろしくね。私もここの新入生なの。あ、名前はカレンっていうのよろしくね」
「私はマリって言います。こちらこそよろしく」
「私はナナなの。よろしくなの」
「マリちゃんにナナちゃんね。よろしくね」
三人は朝いつの意味を込めて握手をする。
「君たち、友達を作るのは良いことですが、このままでは入学式に遅刻してしまいますよ」
三人が喋ってるのを見て入学前に遅刻しないのか心配した綺麗な非常に手入れの行き届いてる黒髪ロングのイケメン教師がそう忠告してくれる。
「確かにそうですわ。ありがとうございます。先生」
マリちゃんが代表としてお礼を述べると三人は入学式を受ける為に体育館に向かった。
――――――――――――――――――
てくてくてくてくてくてく
子供達が迷子にならないように至る所にある看板を目標にしながら体育館に歩く三人。
黙々と歩くのを辛いと感じたカレンちゃんが口を開く。
「ねえ。二人はどうしてこの学園に来たの?」
「私は学園に通ってしっかりとして教育を受けた方が良いと思ったからだわ。それとナナちゃんと一緒に学園生活を送れるっていうのもあったからかな?」
「ナナはマリちゃんが通うから通ったなの。それと楽しそうなの」
「そうなんだ。二人共本当に仲良しなんだね」
「「うん(なの)」」
「息ぴったりだね。・・・羨ましい」
最後の言葉だけはかなり小さい声でカレンは言ったつもりだった。実際に最後の羨ましいは普通の人ならば聞き取れないくらい小さい声だった。
その声は嫉妬と羨望と憎悪が混ざった、何とも言えない悲しい声だった。
でも天魔であり常人を超える聴力を持っているナナには聞き取れていた。
「じゃあ。カレンちゃんも仲良くなろうなの。今みたいに息ピッタリではもれるようにしようなの」
ナナは優しい笑顔でカレンに右手を向ける。
その右手をカレンが手に取ると、大人顔負けの力でグイっと自分の所まで持ってき、抱きしめる。
「もうカレンちゃんはナナの友達なの。だからもしも不安なことがあったら何でも相談するなの」
「ナナちゃん・・・。ありがとう・・・」
「どういたしましてなの」
「ねえねえ。そういえばカレンはどうしてこの学園に入学したの?」
少々蚊帳の外だったマリがカレンに質問する。
「私は学費がかからなかったからかな?」
「学費なの?」
ずっと村で生き、その後も勇者として苛酷な日々を過ごして来たナナには学費という言葉がピンと来なかった。
「そう。学費、もしも学園に行くってなったら学費がかかるもの、でも1週間前にいきなり聖教国全土の学園で成績優秀者の学費が免除になるという法律が出来て、受験したら私はその成績優秀者に選ばれて学費がゼロになったの。だから来たの」
これはセリカが行った政策の一つであった。
グレンの祖先であり、セリカが聖教国改革にあたり参考にしている山田国王は生前「良い国は教育機関が優れている」という言葉を残している。
その言葉を実践して学園に蔓延る膿を洗脳の力を使い取り除き、成績優秀者の学費を免除させて良い人材確保に走ったのだ。
「なるほどなの。そういえばセリカお姉ちゃんがそんなことを言ってたなの」
「セリカお姉ちゃんって、前孤児施設に援助をしてくれたあのお姉さん?」
セリカはグレンが家族のように大切にしているナナの為に孤児施設の改革も行っており、その一環の一つに悪しき司祭やシスターの洗脳と孤児施設に対する金銭的援助を行っていた。
その時にマリはセリカに会っていたのだ。
「うんそうなの。セリカお姉ちゃんは優しい人なの」
「ちょっと待って。セリカお姉ちゃんって、もしかして新しく聖教国の聖女に選ばれたセリカ様?」
カレンが驚きの声をあげる。
それもそのはず、セリカとは今から1週間と少し前に聖教国の新たな聖女に選ばれた偉大なる人であり。歴代の全ての聖女の中でもっとも優れているという言葉を見事に体現した聖女の中の聖女、大聖女であるのだから。
聖女に赴任してから、不眠不休で転移魔法を使い、たったの3日で聖教国にある全ての孤児施設を周り奇跡を授け、そのついでと言わんばかりに聖女の奇跡で全ての悪徳領主を超真人間に改心させ(洗脳した)、偶々聖女来訪中の街に魔物暴走が起きた時は聖女の奇跡で突如、一切の前触れなく謎の力で全ての魔物が息絶えるなどの伝説を残し(呪術で強制的に魔物暴を起こさせた上で呪術で全ての魔物を殺した)。
王都に付けば聖女主導の元、様々な民を慮った政策を行わせ、そして聖女に赴任した一週間で教皇よりも民からの支持を得た生きる伝説なのだから(洗脳を使い全ての民に軽い洗脳を施して自分を支持するようにさせた)。
「そういえばセリカお姉ちゃん、聖女になったって言ってたなの」
「言ってたなのって・・・ねえ。ナナちゃん良かったらセリカ様に合わせて貰えたりするかな?」
「うん。いいなの」
「本当。ありがとう」
感極まってカレンはナナに抱き着く。それだけセリカは聖女として民から愛されているのだ。
「え~~~~~。いやちょっと待って、セリカお姉ちゃんって、あの聖女セリカ様だったの。知らなかったわ」
マリちゃんは非常に天然なところがあった。
「じゃあ、マリちゃんも今度一緒に会いに行こうなの」
「そうだね。ナナちゃん。ありがとう」
「いいなの」
「おい。お前ら喋ってないで、早く体育館に向かえよ」
かなりごつい体格のオッサン先生が三人に注意を飛ばす。
「「「は~い(なの)」」」
三人の声は綺麗にはもった。
「「「フフフ。ハハハ(なの)」」」
「はもったなの」
「そうだね。ナナちゃん。嬉しい」
「ほら。ナナちゃんもカレンちゃんも喋ってないで早く行こ」
「そうだね」「はいなの」
三人は実に楽しそうな笑顔で体育館に向かうのだった。
心なしか。いや確実に三人の仲は深まっていた。
―――――――――――――――――
補足説明
カレン
カレンちゃんもといカレンは【乙女ゲームと呼ばないで】の主人公キャラの一人です。
一応性別を選ぶことが出来、男の場合のデフォルトは「アレン」となってます。
今回は女性の場合のデフォルトである「カレン」を使いました。
理由?百合の世界に男を持ってくるとか紳士(同士)に殺されるからに決まってるからだよ。
一応カレンの設定を書いていきます。なお、男性版であるアレンでもこの設定は同じであります。
生まれは何処にでもある幸せな家庭、だけどとある事件がきっかけでその幸せは崩れ去ってしまう。
その事件の名前は魔物暴走。
ダンジョンから魔物が溢れ出し、それに巻き込まれてカレンの両親は殺される。
なんとか命からがら生き延びるも孤児となり、とある孤児施設に入ることとなる。
そこで5つ上の友人が出来る。
年こそ離れているが非常に良くして貰い仲良くなったつもりだった、実はその友人が奴隷商人と裏で繋がっており、売られかけるがまたもや命からがら逃げだして孤児となり彷徨う。
(ここで、孤児だったが学費ゼロの学園に一筋の希望を見出してボロボロの服ながらも受験。合格点を取ったが、一人の試験官が孤児ごときがと気に食わず落とそうとしたが、聖女に洗脳されて真人間になった別の試験官がそれを止めて、迷惑料としてお金と新しい服をプレゼントし、それで身だしなみを整えて、学園に入学。今に至る)
孤児として彷徨いながらも持ち前のコミュニケーション能力を生かして、そこでも仲間を作り、生きる為に盗みを働くようになる。しかし憲兵に見つかり逮捕されバラバラになる。
逮捕された最中、何故何故私ばっかりこんな目にあるのと自問自答を繰り返すところで本来の世界線における【復讐の天魔】ナナがその領主を襲い街を壊滅させる。
その混乱のおかげで何とか脱出できるも、そこで見たのは阿鼻叫喚の地獄絵図。
その地獄を引き起こした一人の少女は何とも言えない悲しい表情で高笑いを上げて領主を嬲り殺してるのを見て、その恐ろしさらに気絶する。
目を覚ましたらそこは教会であり。そこから物語が始まっていく。
ルートは主に3つあり。
一つ目は学園ルート。
これはそのまんまで孤児として教会で保護された後、魔法の才能を開花させて特待生として学園に入学するルート。
二つ目はナナを救うルート。
最初悲しそうな顔をしてたナナが忘れられずに、様々な出会いと別れを繰り返して強くなり。ナナに対峙して、ナナを説得し【復讐の天魔】に至ってしまったナナを解放するルート。
三つ目は天魔ルート
魔物暴走によって両親を亡くし、奴隷商人に売られかけて、簡単に憲兵に捕まった。全部もし自分が強かればこんなことにはならなかったとひたすらに力を求めて努力をして【氷華の天魔】もしくは【炎華の天魔】にまで至る話。
――――――――――――――――――
今回はナナとマリという素晴らしい友人に出会えてカレンは凄く幸せになります。
めでたしめでたし。
なお天魔は不眠不休で活動可能なのでセリカは一刻でも早く聖教国を支配しより良い国にする為にずっと不眠不休で頑張ってます。頑張れ。ついでにカゲウスも陰で暗躍してます。頑張れ。
いつもグウタラ寝てばかりの何処かの世界最強の天魔とは大違いです。
――――――――――――――――――
頑張って更新をしていくのでよろしければ星やハートを頂けると嬉しい限りです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます