第92話・胃潰瘍と将軍と【詐欺の天魔】殺害事件

「ただいまなの~~~」

 ナナは部屋に戻った後、そう言って布団にダイブする。

 天魔である俺もイトもナナも病気とかは絶対にかからないが。少し不衛生な気はするので浄化魔法・完全浄化を行使して部屋全体を全て浄化させる。

 

「グレン様?今から何をしますか?」


「俺は読書でもしてるわ、せっかく本を買った訳だしな」


「じゃあ。私はお昼ご飯の準備でもしますね」


「ナナはせっかくだしお勉強をするなの。というわけでご主人様、異空間共有してなの」

 異空間共有とはその名前の通り、俺の魔法で作った異空間をナナにも共有させて自由に使えるようにすることだ。

 普通は出来ないが眷属という繋がりがある為、結構簡単に出来る。まあ、別に眷属じゃなくても【万能の天魔】である俺なら共有出来るんだけど。それは置いておこう。


「ほい。しといたよ。じゃあ勉強で分からないことがあったら俺になんでも気兼ねなく聞いてね」


「ありがとうなの。ご主人様」


 いそいそと勉強を始めるナナ。

 うん微笑ましい光景だ。


 さて、俺も読書に勤しみますか。


 ―――――――――――――――――

 

 カキカキカキカキ

 トントントントン


 ナナの文字を書く音とイトが包丁で食材を切る音が聞こえる。

 普段だったらうるさいって思いそうなものだが。まあ普通にうるさくて読書に少し集中できなかったんで、消音魔法を自分にかけて一定時間音が聞こえないようにする。

 ただ音が聞こえないだけで直接脳に語り掛けている念話とかは問題なく聞こえるから大丈夫だ。


 暫く集中して本を読んでいたら、昼飯が出来たので消音を解除して楽しく三人でご飯を食べる。


 食べ終わったら、俺は睡眠、イトはカレーヌと一緒に訓練にナナはお勉強と各々やりたいことをやっていく。

 こんな良い日がずっと続けばいいな、なんて思いながらその日は終わった。


 今日は中々に良い一日だった。


 ―――――――――――――――――


 そんなこんなでナナが学園に通う日になった。

 時は立つのは早いものだな、なんて思ったが。落ち着いて考えれば1週間程しかたっていないのでいうてもだった。

 その1週間の間、俺は、というか俺だけはいつもと変わらずにグウタラ怠惰で幸せに過ごしてた。

 ようは俺以外の皆は働いたってことだ。

 内容としてはいくつかあるけど、一つ目は俺が1週間やっけ、6日前やっけ、まあいいや取り敢えずナナの学園に通う用の諸々を買いに行った日に手に入れてしまった不正書類のせいで、父上の徹夜が延長されたり、カレーヌとイトが駆り出されて貴族共を大量粛清したり、そのせいで貴族の数が足りなくなったからとイトとカレーヌに形だけだが伯爵の地位と領地が与えられたりしたという件だ。

 俺は特になにもしてないが、というかイトとカレーヌもさして苦労はしてないが(言われた通りの屑どもぶっ飛ばして、爵位貰っただけだからね)、まあ父上の胃にまた穴が開いてたがそれはご愛敬だろう。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏


 二つ目は【商人の天魔】と【詐欺の天魔】の件でセリカとカレーヌとイトにナナという天魔4人が手助けに行って、というか俺が行かせて【詐欺の天魔】を殺して来た件だ。

 正直わざわざこちら側で手を下す必要はなかったかもだが、ディスラー将軍の直感が野放しにしては不味いと警告を鳴らしてると俺に伝えて来たので殺しておいた。

 セリカに洗脳させてもよかったが、詐欺という明らかに不穏なものを持ってるし、仮に洗脳して眷属にしても裏切られるという直感がきたので殺しておいた。(ディスラー将軍も同じく、直感で殺した方がいいと思ったらしいし、まあ100点満点の回答だろ)。なお【回避の天魔】と【人形の天魔】には簡単に逃げられました。これはもう仕方がないってやつ。【回避の天魔】が普通に化け物過ぎた。

 そんで、話を戻すがその件で【商人の天魔】にディスラー将軍の方の商会をこの国一番の商会にするための裏工作をしてもらい、着々と勢力を伸ばしていっている。おそらく1か月程あればこの国一番の商会になるやろ。多分。知らんけど。


 三つ目はディスラー将軍が【直感の天魔】に至り、国として大々的にパレードを開いた件についてだ。

 一応、イトとカレーヌも天魔に至ったのだが、二人は俺がそういったのを面倒がると知って辞退してくれた。

 でもディスラー将軍は違う。別にディスラー将軍がパレードをしても俺には何ら問題ないし俺の傍にイトがいてくれればこの怠惰な生活は送れるのでそれでいい。

 というわけでディスラー将軍のパレードは今も続いてます。


 いや長すぎだろって思うが。俺もそう思う。

 パレードが始まったのは3、いや4日前なのだが。終わる気配が全然ない、1日目は普通に国王との謁見をして今までの功績をふまえて爵位を公爵家まで格上げされてなんやかんやしてたら終わってた。

 2日目は民衆の前で演説やら無駄に豪華な場所に乗って移動しながら民衆に手を振ったりして、3日目は城で貴族か一定以上の地位・財産を持つ者しか参加できないパーティーを行ってる。

 で4日目にあたる今もそのパーティーが続いてる。


 うん。長すぎるな。まあ念話で聞いたら俺が他の貴族にちょっかいをかけられない為に裏工作をしているらしいから、うん頑張れって感じだ。

 後。絶賛胃潰瘍中の(後で神官が治しました)父上の負担軽減の為にも翻弄してるらしい。まあなんだかんだでディスラー将軍は父上に対して忠誠心は持ってるからね。うん頑張れ。

 お前が胃潰瘍になったら俺が治してあげるから。そこは安心しろ。


 以上。これくらいかな?

 他の問題は今の所特に起きてはいない筈・・・多分・・・

 少なくとも魔王も大人しく配下の魔族とイチャイチャしてるし、セリカの方はまだ聖教国の立て直しを頑張ってるし、真希は相変わらずどこで何をしてるか一切わからない。

 うん。まあそれはいつものことだし大丈夫か。


 さて、じゃあ一週間の振り返りは終わり、ナナを見送るとするか。


 ――――――――――――――――――


 少しでも面白いと思っていただけましたら星やハートを頂けると嬉しい限りです。


 更新が遅くなってしまい申し訳ございません。

 理由は寝てました。最近1日10時間とか寝てるヤバい。 

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