第79話・5つのメリットと1つのメリット?
ディスラー将軍が去った後、俺の元にカレーヌが来た。
「意外でしたね。ディスラー将軍を眷属にするとは」
「まあ。確かにそうかもな。でも俺にも明確なるメリットがあったから眷属にしたんだよ」
「メリットですか?」
「ああ。そうだメリットだ」
「ああ。何となく旦那様の考えたメリットを理解しました」
「そうか。流石【察知の天魔】だな。相変わらず察知の力が強いな」
「そうですね。まあ、何となく察せましたよ。ようは6つ理由があるのでしょ?」
「6つ?そんなあるか。俺の中で5つだと思ったけど?」
「え?そうなのですか?」
「ああ。じゃあ一応俺の思った5つ挙げるから。まあ聞いてくれ」
「はい。もちろんでございます」
「まず一つ目は俺が後ろ盾を得ることだ。一応今現在俺はイトとカレーヌと結婚してるが。俺を支持してる貴族はいないという状況だ。そんな中ディスラー将軍という公爵家に匹敵する貴族を後ろ盾と出来たのは大きなメリットだ」
「確かにそうですね。ディスラー将軍は私よりも伝手も権力も持っていますからね」
「ああ。そうだ。二つ目は俺にちょっかいをかける貴族がいなくなることだ」
「確かにディスラー将軍が後ろ盾について目を光らせたら、グレン様に取り入ろうにも、まずはディスラー将軍を通してからってすれば取り入ろう、ちょっかいをかけようってのが不可能になりますね」
「ああ。もちろん父上が俺に面倒事をかけさせないように貴族共を牽制してると思うが。まあ一応ね。面倒事はないに越したことはない」
「お父様も忙しい身ですし、牽制しきれずにちょっかいをかける貴族は絶対にいますからね」
「ああ。そうだね。で三つ目は純粋に俺の勢力が拡大することだ。今回俺はディスラー将軍を眷属にして天魔にした。つまり俺の陣営に天魔がまた新しく加わったということだ、これで俺・イト・ナナ・カレーヌ・セリカ・ディスラー将軍と天魔だけで6人もいるからな。天魔連盟以外ならばほぼ全ての組織・国を一方的に潰せると思う」
「確かにそうですね、でも旦那様は国を潰したりはしないでしょ?」
「まあ。しないけど。一応ね。ほら初代国王も言ってるよ備えあれば憂いなしってね」
「ああ。そういえば文献にそんな言葉残されてましたね」
「ああ。つまりそういうことだ。そんで4つ目は金持ちになれるってわけだ。俺が【商人の天魔】と話を付けてディスラー将軍の持つ商会をこの国一番の商会にしてやれば、俺はお金ガポガポ、本も買い放題漁り放題だ」
「それは凄く旦那様らしいですね」
「だろ。そんで最後の5つ目は俺がこの国の影の支配者になれるということだ。ようはディスラー将軍は元々軍部にかなり強い力を持っている。そんでカレーヌも王国騎士団というこの国で最も強い騎士団の団長をやっている。これだけで軍事力面のほとんどを掌握してるということだ」
「そこに4つ目のディスラー将軍の商会をこの国一番にするってのをすれば。経済面でも大きく優位に立てる。そしたら軍事力と経済力という剣と盾が揃うわけだ。そこに更に俺のネズミ眷属を利用した情報屋でもすれば、相手の弱み握り放題で逆に都合の良い情報与え放題の最高の状態になるからな。ここまで来たら実質国を支配したも同然だ」
「確かにそうですね」
「それでこの5つが俺の思ったメリットだが。カレーヌの思った6つってのはなんだ?」
「えっとですね。まず5つは私の思ったのと同じです。ただ一つだけ今の旦那様の会話に出てないメリットがあります」
「ああ。だろうね、それで?どんなメリットだ?」
「それは旦那様が独立して超大国の王になるというメリットです」
・・・・・・・・・・
「は?」
「何をそんなに驚いているのですか。だって後1か月もすればセリカによる聖教国の完全制圧も終わるでしょうし。ディスラー将軍の経済支配も終わると思います。そうなったら。旦那様は陸天共和国にセリカを送り込んで洗脳させて、ディスラー将軍の支配してる土地から陸天共和国に聖教国を併合させて巨大な独立国家を作れるじゃないですか?」
まあ、理論上は出来るな。
でも何それ滅茶苦茶面倒くさそうやん。少なくとも陸天共和国を洗脳って時点で面倒。一応あそこにも天魔がいるから戦うってなったら超面倒だぞ。
「いや。面倒そうだからやんないよ」
「え?でも帝国すらも超える超大国の王に旦那様がなるんですよ。それってなんて素晴らしいことなのでしょうか」
目をキラキラに輝せて体をくねくねさせるカレーヌ。
あ。分かったわ。これカレーヌの趣味?いや思いか。少なくとも俺は面倒だからせんかな。
仮にそれが1週間も、いや俺が動くのは実質1日くらいで可能だとしても。その1日の苦労が嫌だ。後。王になったら非常に面倒くさそうやしね。
君臨すれども統治せずという言葉があるが、ぶっちゃけ。君臨してる時点でかなり面倒や。
「なしだ。面倒そうだから俺は王になろうとはせんよ」
「え?でも最悪旦那様が動かれなくても私達一同で頑張れば」
「それでも駄目だ。俺が王になった後に起きる面倒事や。その間お前らがいないと俺の身の回りの世話をする人がいなくなるからな。それは俺としては許容できない」
「そうですか。分かりました。旦那様がそれを望まれるのでしたら」
「ああ。というわけだからカレーヌは仕事に戻れ。俺は今から【商人の天魔】と交渉をするんでな」
「でしたら私もご一緒します。仕事の方はもうあらかた終わってますし」
カレーヌが一緒にいてもデメリットはないな。なんならカレーヌの察知の力で俺じゃあ分からないことにカレーヌがきがついてくれるかも。
「分かった。じゃあ頼むわ」
「はい。よろしくお願いします」
「因みにこの応接室ってまだ使ってていいかな?」
「はい。大丈夫です。この応接室は旦那様の物ですから」
「あら。そうなの。じゃあありがたく使わせてもらうわ」
「はい。そうしてください」
さてじゃあネズミ眷属を通じて【商人の天魔】を呼びますか。
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