第76話・外伝・国王は胃潰瘍確定盤面を作り出す
「ハア。ようやくひと段落ついたのじゃ」
国王は自室にて胃の激しい痛みに悩まされながらも、ようやく仕事がひと段落つき仮眠が取れるところまで行きかなりの満足感と達成感を味わいつつ。まだまだ湧くであろう馬鹿どもの対処を考えて更に胃を痛くした。
何故国王がこんなにも胃の痛みに悩まされているか。
理由は至極簡単。
自分の息子であるグレンのせいであった。
ようはグレンの手によってヤマダ王国の騎士団長にして三大将軍の一人にして、数々の功績を上げたヤマダ王国にとってはなくてはならない存在。カレーヌを何故か天魔にして、その上で惚れさせやがったのじゃ。
「ハア。マジでグレンよ自重をしろ。何故面倒と言っておきながら自ら面倒事を起こすのじゃ。ハア。胃が痛いのじゃ」
国王は徹夜で諸々の処理に負われていた。
内容はまずカレーヌが天魔になったという説明を各所に通達させた上で、カレーヌを利用しようと考える愚か者やカレーヌと自分の息子を結婚させよう、結婚しようと考える愚か者の処罰。
更にはグレンがカレーヌとイトという二人の天魔と結婚したことに対しての説明にそれによる反対意見の鎮火。
更にはグレンを殺して自分が夫になろうと考える愚か者を極め過ぎた愚か者がことを犯す前に始末したりと。
その他、これからの国としての対応や。王家が天魔二人を率いれたということによって豪快に崩れてしまったパワーバランスの調整。
更にグレンというグウタラ・怠惰の第五王子が実質的に天魔2人と同等の力を持ったことに危惧し、グレンの元に付こうと考える貴族や今更ながらグレンに王位継承を与えて王にしろとのたまう馬鹿の対処。
とにかくグレンに面倒事を迷惑をかけないようにする為に必死に馬鹿どもを抑えて、処罰して、脅して、ひたすらに徹夜で駆け回ってようやくひと段落ついた。
そしてようやく仮眠を取れるところまで行ったのだ。
だけど世界はカレーヌは国王に対して酷く無慈悲であった。
「お父様、私将軍の地位返上するから、確か女性は結婚したら将軍の地位を返上出来るんでしたよね?それと旦那様と一緒にいたいから長期任務は必要最低限でお願いしますね」
いきなり国王の自室という一応城の中でもトップクラスに警備がなされてる場所に今回の面倒事の元凶であるカレーヌが転移して、そう言い放った。
一切のなんの前触れもなく言い放ったその言葉に国王は素で「は?」と呟いた。
国王はカレーヌの言葉を理解した。理解した上で寝不足&ずっと働いでまともに回ってない頭で聞き返す。
「えっと。え?どういうことなのじゃ?」
と。
もちろんカレーヌはそんな国王に笑顔でとどめを刺す。
「だから。将軍の地位を返上するのと長期任務はこれからは必要最低限でってことです。守ってくれないのでしたら。騎士団長としての仕事も辞めますよ」
「わ。分かったのじゃ。うむ。そうするのじゃ。ああ。うむ。うむ」
軽く気が動転して眩暈を起こしている国王。
それもそのはず三大将軍というのは初代国王である山田国王が作った法律の一つであり。必ず常に三大将軍にしなければならないという法律が定まっているのだから。
そしてカレーヌが抜けたのならば何かしらの形で誰かを臨時の将軍として立てなければならないということなのだから。
それの手間とそれにかかる時間を考えた時に。国王に更なる胃の痛みと抜け毛が襲い掛かる。
パラパラ
余りのストレスに国王の髪の毛が少し抜ける。
「じゃあ。そういうことですので。私は旦那様の所に戻ります。転移」
それはもう清々しい笑みで去っていた。
「ハア。さて、もう全てがどうでもよくなってきたのじゃ。取り敢えず少し仮眠を取ろう・・・」
―――――――――――――――――――――
「国王陛下大変です。カレーヌ殿の件で、ディスラー将軍がグレン様との面会を求めにやってきました」
ようやくひと段落つき、眠りについたばかりの国王の元に最悪として言いようのない。知らせが届く。
「なるほど。儂はまだ夢のなかじゃな」
疲れすぎて軽く死にかけている国王はそれを悪い夢だと勝手に決めて、そのままもうひと眠りつこうとする。
だけどそんな訳もなく、それはどうしようもないくらいに明確な真実であった。
「国王陛下、夢ではありません。真実でございます。どうか起きてください。この件を対応出来るのは国王陛下だけです」
「・・・そうか。うむ。そうか。もう面倒なのじゃ。ハア。普通にそのままグレンと面会をさせてあげろ。特にそんな面倒なことにはならんじゃろう。一応グレンもディスラーも常識はあるからのう」
「わ。分かりました。ではそのように」
「うむ。じゃあ。儂は寝るのじゃ」
そうして国王は起きた後に胃潰瘍確定盤面を作り出した上で、眠りについた。
――――――――――――――――――
そろそろ全てを投げ捨てて逃げ出してしまいそうな国王様www。
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