第66話・聖教国支配完了
「神様。全ての洗脳が終わりました」
「おお。そうかそうか。それは良かった。カレーヌもありがとね」
「いえいえ。第五王子様の為ですから」
「さて。じゃあセリカはこれからどうしたい?」
俺はセリカが望む道に進んで欲しいと思っている。
俺としてはセリカが聖教国の支配者として君臨してもいいと思ってるし、俺の傍で専属メイドをやってもいい、セリカが生きたいように生きればいい。
俺が何かを強制するつもりはない。
だって面倒だからな。
「私ですか。私は・・・神様の傍にいたいです。でもその前にこの国をより良い国にしたいです。私の様に苦しむ子供のいない、宗教国家として他の国からの難民を受け入れて、多種多様な民族が幸せに過ごせる国。そんな国にしたいです」
「そうか。セリカがそれを望むならそうしなさい。俺はその全てを肯定してやろう」
「ありがとうございます。神様」
「まあ、これも主の務めだよ、面倒事はあまり背負いたくないが、もし一人じゃ対処できないことがあれば遠慮なく呼びな。俺は面倒くさがって動かないかもだが、イトとカレーヌは動いてくれるよ」
「口ではこんなこと言ってますが。何だかんだで面倒言いながらグレン様も動いてくれますよ」
「確かに第五王子様なら動きそうですね」
二人そんなことを言われて。いや動かないよ面倒くさいといいかけて、ふと思う。
動くんじゃないかなと?
昔の俺はもっと面倒くさがって生きて来た。
正確に言うなら全てに絶望して自堕落に生きていた。
それが今はどうだ?
イトがいてナナがいてカレーヌがいてセリカがいて。他にも真希がいて、何だかんだで話せる知り合いがいて。幸せに生きている。
案外俺は俺の思ってるよりも人と繋がっていたいのかもな。
そして俺は面倒という思いよりも、皆を失うという未来の方が怖いのかもな。
「ハハハハハ。そうだな。ああ、助けるよ」
「フフフ。グレン様もお優しくなりましたね」
イトが俺をからかってくる。
でも不思議と心地が良い。
「やめろよイト。俺は元々優しいよ。ただ面倒がってただけだ」
「そうですか。そうですか」
「さて。じゃあ、セリカはここに残るということで、俺とイトとカレーヌは帰るわ」
「はい。それでお願いします。神様」
「あ。もしも全部終わってセリカが俺の所に来たくなったら気にせずに言えよな」
「はい。もちろんです。神様」
「おう。待ってるぜ。じゃあな転移」
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そうして俺は自分の部屋に転移した。
「あ。そういえばナナ忘れてた?」
俺は転移してから本棚を見てナナを思い出す。
「そういえば確かにそうですね?でもいいんじゃないですかグレン様」
「イトの言う通りですよ。それにナナちゃんは私よりも強いですから。ぶっちゃけナナちゃんに危害を加えることの出来る存在なんてそれこそ100もいませんよ」
「確かにそうだな。カレーヌの言う通りだ。まあそれに何かあったら念話入れてくるやろ。まあでも一応イト念話で今日帰ってくるかどうか聞いてくれ?」
「もう聞いてありますよ」
「流石イトだ。いや?え?いつ聞いた?」
「それはグレン様が寝てる間に連絡を取ったんですよ」
「ああ。そうか。じゃあ報告頼む」
「はい。まずナナちゃんはどうやら違う世界線の自分の記憶を神様によって継承されたようです?」
「違う世界線の記憶を継承ね。なるほど、まあ何となく理解は出来た」
「それでその世界線にてナナちゃんの一番の友人だったマリちゃんも記憶が継承されて今感動の再会をした感じです」
「なるほどね?ハハハ。優しい神がいたもんだね」
「本当にそうですね」
「それで?今は楽しくいるってことか」
「はい。聞いたところ久しぶりに皆と遊んでるとのことです」
「なるほどね。それは良かった」
「はい。本当に良かったですね。あ、それと明日の夜ごろに光移動で戻ってくるそうです」
因みにナナの光移動はその名の通り光と同じ速さで移動する力なので。まあめちゃくちゃに速い。
「そうか。じゃあ、後で念話で楽しんで来いよって伝えといてくれ」
「ご自身で伝えられたらどうですか?」
「やだよ面倒くさい」
「フフフ。相変わらずグレン様ですね」
「まあね。相変わらずグレン様だよ。さて、じゃあ俺は本でも読んでるか。カレーヌ、長々と引き止めて悪かったな戻っていいぞ」
「はい。では第五王子様、また何かあればすぐに駆けつけますからね」
「ああ、そうでしてくれ」
ドア付近で丁寧に一礼をして去っていくカレーヌを横目に俺は本を開き読み始めた。
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補足説明
というわけで聖教国はセリカが支配することとなりました。
暫くは聖教国は出てきませんが、またどこかでセリカの手によってより良い国となった聖教国の話を出そうと考えています。
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少しでも面白いと思って頂けましたら星やハートを頂けると嬉しい限りです。
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