第61話・フラグのお手本みたいなことをしてしまった

 俺が【洗脳の天魔】ことセリカにカゲウスを眷族にして、偽者勇者の力を奪って勇者パーティーの洗脳を消滅させてから1週間が経った。


 その間にあったことを簡単に説明するとこんな感じだ。


 まずセリカの方は結構上手く立ち回っており、カゲウスの協力もあり、かなりの聖教国の重鎮達を洗脳している。

 幸いなことに天魔は聖教国の王都には一人しかおらず、その天魔も感知系能力が低い【星光の天魔】だったのもあり一切気が付かれていない。


 調べた所他の天魔はどうやら出張で魔物討伐。邪教徒討伐に出ているらしい。

 少なくとも、もう1週間は戻ってい来ない感じだ。


 俺にとってこれほど都合の良いことはない。


 そんなわけで聖教国の問題は結構上手く行っている。


 因みにだが第五王子こと偽者勇者の方は力がなくなったことで発狂、そのまま自分が誰かに殺されるのではないかと疑心暗鬼に陥り、人と会うのを拒絶して部屋に引き籠っている。


 聖女様の方は悪の心が消えて。今まで自分が行ってきた悪しき行いに押しつぶされて、これまた同じように発狂。

 発狂したまま気が狂って今は部屋に引き籠ってる。


 まあ。うん。偽者勇者も聖女もある意味でお似合いだな。

 笑えるわ。凄く笑えるわ。


 その他勇者パーティーはセリカが事情を話してこちら側に引き込んだ。


 うん。面白いように上手く行ってるな。


 で、ここで一つ不思議な問題があって、魔王が何もしてないのだ。


 そう、魔王が何もしてないのだ。


 大事な事なので二回言った。


 だって、そうだろ。魔王ってのは人間を怨み人間を憎み、人間を滅ぼす悪しき存在だ。


 なのに今は城に籠ってずっと魔王城を強化したり、配下の魔物に魔人を強くさせたり、戯れたりしてるらしい。


 何でらしいかって表現かというと。向かわせたネズミ眷族がとある時を境に殺されたからだ。

 多分薄々こちらの動きに気が付いてるっぽい。だからネズミ眷族は生きてる間に得られたわずかな情報しかない。


 それでも、魔王が動いてない今。

 この情報はかなり有意義な情報ではあるが。


 しかし、何故魔王が動いてないのか。その情報がもたらされた時。俺は必死に考えたが。結局いくら考えても分からないし。途中で面倒になって考えるの止めた。


 まあ、何だ。

 魔王が動いてないってのは俺にとっては悪い話ではない。このまま魔王が魔王領に引き籠って人間に手を出さないのならばこれほど都合の良いことはないし。俺にとっては楽でいい。


 気にする方が面倒だ。

 別に好き好んで俺は魔王と戦うなんて面倒ごとをするつもりは一ミリもないからな。


 後は俺の1週間であった出来事と言えば。俺の元にしつこくカレーヌが来てイトと喧嘩になったり、最終的に仲直りにして俺に迫って来たり、ナナが本の魅力に取りつかれて読書家になったりしたぐらいかな。


 一応次おこずかいが入ったらナナと一緒に二人で本屋に行く約束はした。


 結構楽しみにしてる自分がいる。


 まあ。何にせよ。この一週間は特に何か大きな面倒事は起きず、怠惰で自堕落で幸せな日々を送れている。


 本当に素晴らしいことこの上ないわ。


 この調子でこんな良い幸せな日々が続いてくれればいいな。


 まあ、こんなことを言ったら本の世界だとフラグが立って絶対面倒事が起きるけどね。


 流石にそれはないか。


【神様。大変です。今日いきなり、魔物討伐に出ていた【回避の天魔】と邪教徒討伐に出ていた【輝魂の天魔】が聖教国首都に戻って来ると連絡を受けました。助けて下さい】


 ほら。見ろ。フラグ回収したよ。


 全く持ってフラグのお手本みたいなことをしてしまったな。


 いやはやいやはや。


 ハア。さて。どうしようか。


【マジか?一応聞くが、バレてはないよね?】


【すみません。分かりません】

 念話越しだが不安そうで動揺し、震えてるセリカの声が聞こえる。

 まあ、失態だもんな、無理はない。でも別に俺はさして気にせんけどね。


【ああ。なるほどね。まあ探知能力高くないしね。それに向こうには【回避の天魔】がいるから難しいな、まあいいよ。しょうがない】


【許してくださるのですか?神様?】


【許すも何もどうしようもないだろ?別にそんなことで怒る程俺の器は小さくないよ。何しろ怒った所で意味はない。面倒なだけだからな】


【ありがとうございます。神様】


【まあ、いいけど。それよりも今から対処についてを考えようか】


【はい。神様】


【といっても、バレても俺含めイトとナナで向かって全員倒すか。仲間にするかの二択だけどね】


【そうですね】


【セリカはどうしたい?】


【私は神様が望んだことに従います】


【ああ。そういうのいいから。面倒だし。セリカが思ったことを言え】


【私がですか】


【ああ。そうだ。セリカの思うようにしていいぞ】


【でしたら、全員私が洗脳したいです】


【ほう。全員洗脳したいか?一応聞くが理由は?】


【それはもちろん。復讐です。私が洗脳され自由を奪われるのを是非とし、神という免罪符を掲げて好き勝手してるあのクズ共に対しての復讐です】


【なるほどね。まあそれはそうだな。いいよ。手を貸してやるよ】


【ありがとうございます。神様】


【まあ。何、セリカは俺の眷族だからな。これくらいは当然だよ。じゃあ。今から行ってセリカが洗脳出来るくらいまで痛めつけるわ。転移するけど大丈夫か?】


【もちろん。大丈夫でございます】


【それは良かった。じゃあナナとイトと。行けそうだったらカレーヌも連れて4人で向かうわ】


【分かりました。神様】


「さてと。ナナ、イト。天魔をフルボッコしに行くぞ」


 俺は隣で本を読んでたナナとお茶の準備をしていたイトにそう声をかける。


「分かったなのご主人様」「了解です。グレン様」

 二人ともやる気は十分だな。


【カレーヌ、今何してる?】


【今は私の騎士団を鍛え直している所です】


【そうか。因みに抜けれそう?】


【はい。抜けれます。もしかして今からセッ】


【いや。違う違う。ちょっと聖教国行って天魔を血祭りに上げようかなって思っただけ、来るか?】


【もちろん行かせて頂きます。第五王子様】


【それは良かった。じゃあ転移させるけど大丈夫?】


【大丈夫です】


「転移」


 俺はカレーヌをすぐそばまで転移させた。


「さてと、これで全員揃ったな。じゃあ聖教国へ行きますか」


―――――――――――――――――――――


補足説明


今現在天魔連盟創設者・真希は忙し為、二人に二つ名は授けれてません。


何で忙しいかは後々明かします。


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