第54話・イトに報告と俺の童貞問題

「ハアアア、よく寝たよく寝た。おはようナナ」


 俺はベットに座って本を読んでいたナナにそう声をかける。


「おはようなの。ご主人様」


「俺どれくらい寝てた?」


「えっとね。多分1時間くらいなの」


「あ。そんなものか。じゃあイトが帰ってきてないから、まだパーティーは終わってないってことかな」

 俺は部屋を見てナナと俺だけしかいないからそう判断する。


「うん多分終わってないなの」


「そうか。ありがとうナナ。じゃあ一緒に暫く本でも読むか」


「はいなの」


 ―――――――――――――――――――――


 ナナと一緒に楽しく読書をすること1時間


 イトが帰ってきた。


「イトお疲れ様。ありがとね父上の護衛をしてもらって」


「いえいえ。大したことはありませんよ。それに特に大きな問題は起きていませんし」


「そうか。それは良かったよ」


「グレン様の方はどうでしたか?」


「ああ。一応俺の方もそこそこ上手く行ったよ。【洗脳の天魔】は新しく俺の眷族にしたし、勇者パーティーにいたカゲウスって奴も中々に使えるんで眷族にしたし、まあ、カゲウスの方は天魔には至らなかったけど天魔に匹敵する力は持ってたからな」


「なるほどって、え?今【洗脳の天魔】を眷族にしたって言いましたか?え?どういうことですかグレン様?」


 思いの他イトが慌てた様子で身を乗り出して俺に質問をしてくる。

 あれれ?思った以上に衝撃を受けてるな。

 まあでも確かに落ち着いて考えれば衝撃受けるわな、だって【洗脳の天魔】っていう存在をわずか2時間程度の間で忠誠を誓わせて眷族にしたのだから。

 我ながら凄いと思うよ。


「どういうことって、まあ、そのまんまの意味だよ。【洗脳の天魔】、いや今はセリカか、セリカは元々聖教国によって洗脳されてて苦しんでいた。その洗脳を俺が消滅してやったから俺に忠誠を誓ったって感じだ」


「な。なるほど。一応は納得しました」


「納得してくれたのなら良かった」

 流石イト理解が早くて助かるわ。


「それで?偽者勇者の方はどうしたのですか?」


「ああ、それは俺がその偽者勇者の聖力を奪っといたよ。まあナナに返そうかと思ったが要らないって言われたし。何よりナナに返すってなったらその処理が面倒だし。まあ俺の保有する聖力が増えて俺が強くなったということでオールオッケーかな」


「なるほど。確かにそれならばオールオッケーですね」


「まあ、一応イトに伝えることはこれくらいかな?」


「ちょっと待ってくださいグレン様。もしかしてカレーヌを眷族にしましたか?というか眷族にしましたよね?」


「ああ、そういえばしてたな。よく分かったねって、そうか眷族同士は念話で繋がれるんだったな。何?カレーヌの方から念話でも来た?」


「はい来ました。もう驚きましたよ。いきなりカレーヌから天魔になったからよろしくねって念話が来たんですから?」


「ああ。それはごめんね」


「まあ。いいですけど。どうせグレン様のことですし面倒くさがって忘れてたんでしょ」


「ハハハ。それ言われたら確かにとし言い返せないよ」


 ドン


「第五王子様~~~~~~」


 イトと話していたらいきなり扉が開きカレーヌが俺めがけて抱き着いてくる。

 避けようと思えば避けれるがそれすると隣のナナに当たりそうなので避けずにそのまま受け止める。


「急にどうした?」


「はい。第五王子様に抱いてもらいに来ました」


 何か凄い馬鹿みたな発言が聞こえたのだが。

 あれ?俺もしかしてまだ夢の中にいたりする?


「カレーヌ、何を言ってるんですか」

 イトからの盛大なツッコミが入る。それはそうだ。


「私の方が先です」

 どうやらイトも馬鹿になったようだ。


「おい。たんま待て、マジで待て。一旦二人とも落ち着け」


「どうしたんですかグレン様、私は落ち着いてますよ。ただカレーヌよりも先に抱いて欲しいなって」


「そうですよ。第五王子様、私も落ち着いてますよ。ただ第五王子様に抱いて欲しいなって思って来ただけです」


 ダメだこれは。確実に駄目だ。


「いや。そこだ。何故二人して俺の貞操を狙う?」


「何故と言われましても第五王子様に抱いて欲しいから来ただけですよ」


「私はポっとでのカレーヌに先を越されるのが我慢ならないだけです。別にグレン様がハーレムを作るのは勝手ですが初めては私でいてください」


 おいっす。

 カレーヌは100歩譲ってギリギリ、良いとして。イト?

 お前どうした?


 あれ?イトそんなキャラだっけ?

 それとも俺が気が付いてないだけで昔から俺の貞操狙ってたの?

 それこそ俺がショタだった時から?


 何それ怖い。

 超怖い。


「取り敢えず。イト。まずお前は年齢を考えろ。俺とイトじゃあ母親と子供くらい違うぞ」


「ちょっと。グレン様それを言ったら終わりじゃないですか。それにカレーヌだって私と似たような年ですから。大丈夫です」

 イトが少し顔を赤らめて頬を膨らませながらそうカレーヌを指さして文句を言う。


 不覚にも可愛いと思ってしまった。


 でも駄目だ。ここで流された駄目だ。

 もしここで流された確実に面倒なことになる。

 なんなら俺の直感がそう言っている。

 鍛えに鍛えまくって。もはや準英雄から英雄までいった俺の直感がそう言っている。


 絶対にここで流されたら駄目だ。将来確実に面倒事が訪れる。


「ちょっと。私の方がイトよりも若いわ」

 カレーヌは負けじとイトに言い返す。

 でも正直カレーヌとも母親と息子ぐらい年が離れてる気はする。


「でも、女としての魅力は私の方があるわ」

 イトが自分の豊満な胸を強調しながらそんなことを言い放つ。


 確かにそうだ。

 イトの方が胸が大きい。


 たゆんたゆんに揺れてやがる。


 あ、ヤバい。


 そういえば俺今寝起きだった。


 ヤバい今俺の息子が朝立ちという現象を起こしている。

 我が国の創設者である山田国王の伝えた、朝立ちという恐ろしい現象を起こしている。


 これは不味い凄く不味い。何が不味いって。色々不味い。


「そんな胸なんてこうしてやる」

 カレーヌがいきなりイトに飛び掛かりイトの胸を揉みだした。


「もう。何するのよ。そっちがその気なるこっちだって」

 そうしてイトも負けじとカレーヌの胸やら尻を揉みだす。


 何というか、凄い。凄い光景が繰り広げられてやがる。


 これが山田国王の記していた書物にあった。

 百合というもなのか。


 なるほど書物内にて至極と書いてあったが。確かにこれは中々どうして至極じゃないか。


「ねえねえ。何でご主人様の股間盛り上がってるのなの?」


 ・・・・・・・・・・・


 ナナの爆弾発言が飛び出た。


 何というかヤバい。これはヤバいよ。


「ナナ。これはねえ、まあ生理現象というものなんだよ。だから気にしてないで」


「うん。分かった気にしないなの」


「そうかそうか。ナナは偉いね、じゃあゆっくり本でも読んでてね」


「分かったなの」


 そうして再度本を読み始めるナナ。

 これで解決出来れば最高に良かったのだが、そんなものが出来るわけもなく。


 俺の目の前には凶暴な魔物みたいな雰囲気とオーラを放つ。イトとカレーヌがいる。


 二人とも争いは止めて、俺に一歩ずつゆっくりと近づいてくる。


 その様子はまるで捕食者のようだった。

 まるでもクソも捕食者なのだが。というか何だよ天魔二人に貞操を狙われるって。俺以外に絶対に経験したことないだろう状況だな。


 意味が分からないよ。天魔って一人で国を落とせる存在だぞ。

 マジで何でだよ。何でこうなってんだよ。


―――――――――――――――――――――

ハーレム展開どんと来い、なんならもっとやれと思って頂けましたら星やハートをくれると嬉しいです。

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