第53話・偽者勇者の制裁となのなのって話

 どうやって偽者勇者の聖力を奪おうか。

 一番簡単な方法は俺が呪術をかけて聖力を根こそぎ奪う事だが、それやったらナナに返せないんだよな。


 ・・・・・・・


 まいっかな別に。俺がナナの聖力を奪ってもナナは怒らないだろうし。

 それにナナとしても自分に酷いことをしたクソ野郎の聖力いらんやろ。

 うん。何かそういう心配をするのが面倒だ。

 サクッと吸力の呪いをかけますか。


 俺は自分の気配を消滅させた上で他の人に姿が見えないように魔法を行使した状態で偽者勇者に近づいて吸力の呪いをかける。


 かけた瞬間から俺の身体に聖力が流れ込んでくるのが分かる。


 いやはや想像以上の聖力だな。まあでも冷静に考えれば元々天魔に至ってもおかしくない程の聖力を保有していたナナの聖力と腐っても勇者と名乗れるだけのそこそこの聖力を持っていた偽者勇者の聖力の合計値な訳だ。

 それはまあかなり凄いものになるわな。

 当たり前だな。


 といっても全部完璧に吸収するには多少の時間がかかると思うけどね。具体的にはそうだな。多分1日ぐらいかな。

 まあ今の時点でも半分以上の力を吸収したわけなのだが。


 さて、一応用事はこれで全部終わりかな?


 えっと、まず今回の最重要課題であった【洗脳の天魔】は洗脳を解除した上で味方に俺の眷族に出来た。

 勇者パーティーの方の洗脳も解除したし。何なら天魔にこそ至らなかったが天魔に匹敵する程の力を持った眷族ことカゲウスが仲間になった。

 それにナナから力を吸収したクソ野郎こと偽者勇者の力も俺が吸収して無力化した。まあ元からさして脅威ではなかったが。


 ほんでまあ聖教国の方も【洗脳の天魔】であり、まだ真希から二つ名を授かってないが呪術に対しての天魔レベルの力を持った【呪術の天魔】?であるセリカに俺のネズミ眷族を従えるカゲウスが向かった。

 まあ余程な事がない限りはあの二人でどうにかなるだろうし。余程なことがあっても俺がすぐに駆け付けれるもとい転移出来るから、まあ、大丈夫だろう。


 多分だが聖教国の上層部洗脳しまくって、他の天魔の方も何かしらの形で無力化なりこちら側につくように仕向けたりして上手く行くだろうな。


 まあ、天魔の方は最悪俺が動いて全員殺せばいい。多少面倒だが、天魔という最強の存在を反乱分子として残す方が100倍面倒だしな。


 後、残る問題といえば魔王だが、まあそれは後回しでいいかな。最悪俺にイトにナナにカレーヌにセリカにカゲウスという俺の権限で自由に動かせるメンバーだけでも余裕で対処出来るし。

 天魔連盟の方に力を貸して貰えば更に余裕だろう。

 何ならオーバーキルくらいだ。


 当初の予定とは少々変わったが、まあ別に大きな問題もないし、いいかなっと。


 さてと、じゃあ後は時間に任せますか。今から俺が出来ることはさしてないしね。

 という訳で部屋に帰って読書にでも勤しむか?いや寝るか。何か精神的に疲れたし。


 と、その前に俺のやること思い出したわ、一応今すぐバレないように怠惰の力で偽者勇者が自分の力を感知するのを怠惰にさせておくか、そんで数時間くらい怠惰にさせておけば後はセリカが上手くやるだろう。


 これをしてないとこのパーティー会場内で自分の聖力がなくなったことを気が付いて軽いパニックになる可能性があるからな。

 そうしたらセリカに行った魔王軍の四天王がうんぬんの話がややこしくなる。


 一応シナリオとしては魔王軍四天王の一人が部屋で一人休んでいた王子の元に侵入して力を奪ってって感じだからな。

 こんなパーティー会場でってなったら証拠を作らないといけなくなるからクソ面倒だ。


 さてじゃあ、偽者勇者に気が付かれないように無詠唱で怠惰の権能をかけといてっと。

 よし終わり。今度こそ部屋に戻ろ。


 ――――――――――――――――――


 サクッと歩いて部屋に戻る。


「あ。ご主人様お帰りなさいなの」


「ああ。ナナただいま。どうだ俺のお勧めした本は面白かったか?」


「はい。とても面白かったなの。早く続き頂戴なの?」


「ああ、もちろんだとも。ほいどうぞ」


 俺は異空間から本を出してナナに手渡す。


「ありがとうございますなの。ご主人様」


 相変わらずの可愛らし笑みを俺に向けてくれるナナ。

 ああ。凄く癒されるわ。何か少し口調が気になるがまあ気にするのも面倒だしいっか。


「あ。そういえばナナ。ナナの聖力を奪った偽者勇者の聖力は全部俺が奪っといたから。一応聞くけどこの聖力いる?」


「ご主人様がその聖力を持ちたくないんだったら貰うなの。でもご主人様が持っておきたいんなら持ってていいなの。それに今のナナは聖力がなくてもご主人様のおかげで大丈夫なの」


「そうか。じゃあ俺が持ってるよ。ナナに渡すの少し面倒だしね。さて、じゃあ俺は疲れたし暫く寝るわ。何かあったら起こしてくれ」


「うん。分かったなの」


 そうして寝ようとするがやっぱりナナの口調が気になってしまう。


「なあ。ナナ。何だその口調は?」


「口調って何なの?」


「いや。それだよ。そのなのなのだよ」


「なのなの?ああ。分かったなの。多分本の影響なの」


「本の影響?」


 そして俺は気が付く。

 そういえば俺がナナにお勧めした本に出て来るマスコット枠のキャラの口調が今のナナと同じなのなの口調だということに。


「ああ、なるほど。理解したよ。え?何ナナこの本のマスコット枠のキャラ気にいったの?」

 俺はそのキャラが出て来る本を手に取りナナに質問する。


「うん。凄く気に入ったなの」


「そうか。それは良かった。まあ、うんいいんじゃないか。あ、そういえば俺今から寝るし、一応この本も全巻渡しておくわ」


 異空間から全巻取り出して机の上に置く。


「ありがとうなの」


「うん。じゃあ今度こそお休みナナ」


「お休みなさいなの。ご主人様」


 そうして今度こそ俺は眠りについた。


―――――――――――――――――――――

補足説明

ナナがなのなの言い出したのは作者の趣味とキャラ付けの為です。

後は何とくなく幼女?少女?はなのなの言ってるイメージがある。元ネタはイマイチ思い出せないけど。何でそんなイメージがあるのだろうか?まあ気にしたら面倒だから気にしないけど。


―――――――――――――――――――――

感想貰って嬉しかったので更新するつもりなかったけど。夜中にこっそり更新。

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