第50話・勇者パーティーの聖女は意外と悪女が多いって話
「さて。戻ってきたな。取り敢えず今から俺は聖女の洗脳確認と時間差で消滅するように仕掛けるから。少し待っててくれ。カレーヌは元の場所に戻ってくれていいよ。ありがとね」
「分かりました。ではまた何かあったらお呼びください」
カレーヌは元の場所に転移した。多分仕事場だろうけど。いやはや少し迷惑かけたな。まあいっか。俺の眷属だし。そういうのを考えるのも面倒だ。
「さて。じゃあ。カゲウスとイーディアちゃんは俺に付いてきてくれ。あ。今からイーディアちゃんは俺の専属メイドって設定だからよろしく。カゲウスはそれに一目惚れして付きまとってるロリコンでよろしく。一応聞くがそれで大丈夫か?」
「分かりましたわ」
「ロリコンだと思われるくらいイーディアが元気になったこと、イーディアを私が側にいて守れることを考えれば一切問題はないです」
二人共から了承は得られたと。
「オッケー。じゃあサクッと聖女に会いに行きますか」
―――――――――――――――――――――
そんなわけで聖女を探すべくベランダから出て、パーティー会場を見回る。
聖女はあっさりと見つかった。
ただし聖女とコネを作りたいと考えるオッサン共、ゲフンゲフン。貴族共に滅茶苦茶に囲まれていたが。ただやはり聖女なのかそれを嫌な顔一つせずに対応している。凄いな。
俺だったら面倒過ぎるし適当に怠惰にさせてさよならするな。
しっかしこの状況これが俺一人だったらば突っ込むの面倒だし。少し大変だったが。
今はイーディアちゃんとカゲウスがいるから凄く楽だ。
その上でこれはある意味では非常にチャンスだ。俺がさっき考えたイーディアちゃん囮作戦と合わせればかなり効果的にそして簡単にことが終わらせそうだ。
というわけで考えた作戦はこうだ。
聖女と顔馴染みというか同じパーティーのカゲウスが聖女に近づき。俺が最近頭の痛みを覚えると嘘をつき。治癒魔法をかけてあげてくれと頼ませる。
そんで俺に触れて治癒魔法をかけるだろうからその隙にサクッと洗脳確認と時間差洗脳消滅を施す。
そしてそれが終わったら俺の方からわざと大きな声を出して、イーディアちゃんこと専属メイドがこの町で生き倒れていた上に記憶喪失(大嘘)を治して欲しいって話を切り出しながら何故か才能に溢れていて何でも上手にこなすってことを伝えつつ何故か剣術が凄く上手だということを伝える。
でまあ俺がナナを専属メイドに雇ったことは事実であり。洗脳の天魔こと元勇者を洗脳したいと考えている聖教国の人は絶対にこっちに近寄ってくると思う。
そうしたらば後はわざとイーディアちゃんに洗脳の天魔の洗脳をかけさせてその間の洗脳の天魔の力が弱ってるうちに俺が消滅の力を使って洗脳の天魔を操ってるであろう聖教国の精神を消滅。
そんで洗脳の天魔は俺に感謝感謝感無量、ついでにイーディアちゃんの洗脳もサクッと消滅させて。終わりと。
よし完璧な筋書きだ。
これを念話でカゲウスに伝えてと。
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
よし伝え終わった。二人からも了承をもらった。
じゃあやっていきますか。
―――――――――――――――――――――
「聖女様。このパーティー会場で出会った私の友人がどうやら酷い頭痛に悩まされてるらしいんですよ。回復魔法をかけてあげてくれないか?」
カゲウスはそう言って聖女に気軽な感じで話しかける。
「いいですよ。では私の前の来て下さい。すぐ治癒魔法をかけてあげますから」
俺の方を手招きしながら優しい笑みを向けてくる。
俺はそれに従って聖女の元に向かい、軽く腰を下ろす。
「よろしくお願いします。聖女様」
俺は超一流の演技をして聖女に懇願する。
「では治癒魔法をかけますね」
そうして俺の頭に触れる聖女、俺はその瞬間に聖女の精神を除き洗脳確認をする。
しかし洗脳の形跡は見られなかった。
不思議に思いつつ。魂の方を見てみる。
そして俺は心から驚いた。
それは恐ろしい程にどす黒く。
それは悍ましい程に禍々しく。
それは憎悪を煮詰めたような感じで。
それは呪いが籠ってるとしか思えない程に濁っていた。
慌てて精神の方を覗き。聖女?の今までの行いを確認する。
そしてそれは純度120%の悪であった。
奴隷を使っての快楽殺人。
異種族に対する虐待と虐殺。
平民をゴミと罵り貴族を豚と罵る。
自分と神以外はすべて生きる価値がないというかなり偏った思考を持ちつつも。合理的な思考と世間一般の倫理観を理解しており。
それに沿うように仮面を被り。聖女として君臨した魔女いや化け物。
聖女として君臨をしながらも闇魔法と呪魔法を使い人の生命エネルギーや体力に魔力に魂を消費していた悪魔的存在。その上で更に人の力を奪っていた。
それもバレないように偽造の魔道具を使って。
驚いた。
実に驚いた。
あの魔法を使っているとは。
その魔法は闇魔法と呪魔法を合わせて使える禁忌魔法・消費と対価
この魔法の効果は至ってシンプル。
魔法をかけた相手の何かを消費して対価として何かを行う魔法。
一見すると悪くなさそうに見えるが。この魔法は変換効率がクソ悪いのだ。
例えばかすり傷をしたとしよう。これを治すのにこの魔法を使うと対価として寿命が1週間縮む。
大けがとなると10年以上は余裕で削られる。
そして更にたちが悪いことにこの魔法を悪用して人の魂や体力を消費して自分の傷を治したり、また別の人の傷を治すことが可能だし。消費しまくって対価を貯めることも出来る。
それは禁忌指定されるなって恐ろしい魔法だ。
もちろん魔物とかに使えれば滅茶苦茶に強いのだが。この魔法はあくまで闇魔法と呪魔法であり意思のある相手にしか呪いは使えないという訳で。意思のある人間や亜人じゃないとまともに使えない。
一応意思のある魔物はいるが発動条件として触れることが必要ので。そんな意思のある魔物は基本強いので触れるとなると普通に至難の業だ。
しっかしなるほどね。まさか聖女と偽物勇者がねんねんゴロリな上に。本物の勇者から力を奪って偽物勇者に与える計画を立てたのも聖女だったとはね。
諸々の準備には聖教国の助けがかなりあった感じだが。
さて、どうしようか。面倒なことになって・・・・・・ないな。
うん。別に問題ないわ。
だって聖女言っても弱いんだもん。
所詮天魔にすら至れてないゴミ。仮に俺に何かしようとしても全て自動消滅で消滅して終わりだからな。
一応何かあって面倒なことをされた嫌だから2日後に悪い心が全部消滅するという悪戯をしてあげよう。
普通に発狂して精神崩壊すると思うけどね。今までの行いを考えれば自業自得という他ならないな。
これで完璧かな。
あ、でも待てよ計画が崩れたな。
流石にこんな屑な聖女にイーディアちゃんを触らせない方がいいな。まあ洗脳の天魔には触らせるけどそれはノーリスクで消滅出来るからだ。
消費と対価とかはされると困るし面倒だからな。そうなると治癒魔法をかけさせるってのはなしだ。
じゃあ計画変更だ。
聖女本人に洗脳の天魔を呼んでもらうとしよう。
一応計画の変更を念話で伝えてと。
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
よし伝え終わったと。
後は俺が適当に演技するだけだ。
「聖女様。ありがとうございます。頭痛が綺麗に収まりました」
「そ。そうですか。それは良かったです」
聖女から明らかな動揺が見られた。あ、これ多分俺に魔法が効かなかったことに気が付いてるな。まあ言うても計画に支障はなさそうだし無視でいいかな。面倒だし。
「聖女様はお優しいですね。私の専属メイドが言っていたこととはやはり嘘でしたか」
明らかに気になる発言をしてみる。さあ乗ってくるかな?
「専属メイドですか?」
お。乗ってきた乗ってきた。
「はい。いやお恥ずかしい話なのですが。最近道端で倒れている少女を専属メイドとして雇ったんですよ。料理の腕とかはからっきしなのですが。やけに剣術に優れていて戦いが出来たので護衛にと思いましてね。ただ一部記憶が混濁してるらしく。聖女様のことを実は人の魂を喰らう魔女だなんて酷いことを私に言うんですよ。正直困ってまして。ハハハ」
俺は超一流以上の演技で少し芝居かかったようにそう言い放つ。
さてどうなるかな?
「そうですか。それはおかしな話ですね。私が魔女だなんて。・・・・・・それとこれはほんの疑問何ですけど、その少女は自分のことを勇者なんてことを言ってませんでしたか?」
お。完璧だ。最高の返しだよ。
「はい。確かに言ってましたね。よく分かりましたね聖女様。流石です」
「いえいえ。あ。すみません少し用事を思い出しましたので抜けさせて頂きます」
聖女もとい悪女は優しい微笑みのままそう言って少し駆け足で何処かというか洗脳の天魔の所に向かった。
よし。釣れた。いやはや思った以上に簡単に釣れたな。本当に悪女かよ。いやまあ俺の演技が優れてるってのはあるけどね。
さて、後は洗脳の天魔を助けてあげるとしましょうか。
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補足説明
主人公ことグレンがわざわざ洗脳の天魔を騙してイーディアちゃんを勇者ことナナだと思わせて洗脳の力をかけさせようとした理由について。
これはより簡単に洗脳の天魔の体を乗っ取るであろう存在を消滅させるためです。
一応設定として。天魔の力は天魔に通ずるのですか。
精神操作系統の力や魂に干渉するような力は。天魔同士の場合は中々にうまく決まりません。
ましてやそれが洗脳の天魔という精神操作系統の天魔であれば。
しかしながらグレンは超強い世界最強なので。洗脳の天魔が常に使っている力の一部を何かしらの形で割いてやればその隙に簡単に精神干渉に魂干渉を出来るって話です。
ようは洗脳の天魔が自分の精神・魂の為に力を使ってないときは100あってそれは干渉できないけど。
力を使ってる最中は50しかないから干渉出来るって話です。
以上補足説明終わり。
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