第46話・永眠の呪いと異世界からの転生者
【カレーヌ。今すぐに俺の元に来い】
俺は念話でカレーヌを呼ぶ。因みにカレーヌを呼ぶ理由は転移をする為だ。
俺は転移魔法を使えるのだが。俺が行ったことある場所もしくは探知した場所にしか行けないし、人が多い場所だと転移した時に接触事故を起こす可能性がある。
その為その場所の様子を探知した上じゃないと俺は怖くてとてもじゃないが転移が出来ない。
でまあ俺の探知範囲はせいぜい数キロメートルなわけで多分カゲウスの妹がいる場所まで行くとなると滅茶苦茶に面倒だと思う。
というわけで一度で100キロも探知できるカレーヌの出番というわけだ。
【すみません。第五王子様。第五王子様との繋がりは感じるのですかその場所が分かりません】
そう言われて虚無結界を張ったままということに気が付く。
【ああ、ごめんごめん。今解除する。あ、それで俺の方からカレーヌを転移させるけど?一応聞くがそれで大丈夫か?】
【はい。問題ありません】
【オッケー】
「虚無結界解除からの探知・転移」
俺はサクッと結界を解除してカレーヌの居場所を探知して俺の目の前に転移させる。
いきなり現れたカレーヌにカゲウスは少し驚いた表情を見せたが。すぐに何かを理解したのか元の表情に戻る。
状況把握能力が凄いな。
「第五王子様。何なりとご命令を下さい」
転移するや否や。そう言って俺に跪くカレーヌ。うんそういうのは別にいいんだけど。面倒だし。
「ああ。取り敢えず、カゲウスその妹のいる場所はどこだ?想像してくれないか?そんでもってその情報を知りたいので。少しの間グングニルの精神防御と解いてくれ」
「分かった」
俺の言葉に対してそう即答をするカゲウス。
どうやら渋ったりとか疑ったりはしないんだな。いやまあ俺の力を理解しているからこそ、そういう抵抗が無駄だと分かってるのか。
それに俺はカゲウスの妹を助けにいこうとしてる恩人みたいな立場だしなここで機嫌を損ねたら不味いとも思ったんだろうな。
「オッケー。じゃあカレーヌ。俺の隣にきて手を繋いでくれ」
「は。はい」
カレーヌは相変わらずの恍惚とした笑みで俺の手をぎゅっと絡めるような感じで繋いでくる。うん。少しアレな気はするがまあいいだろう。
さて。じゃあ次は俺がカゲウスの手を繋いでと。
当たり前だが普通にカゲウスと手を繋ぐ。
これで準備はオッケーかな?
「よし。カゲウスの妹がいる場所分かったぞ。じゃあカレーヌ今から俺が送った場所を探知してくれ。多分そこそこ距離は離れてるから一度では無理だと思うから。最初数回は方向だけ大雑把に探知で構わない」
「分かりました。第五王子様」
カレーヌの言葉と共に俺の頭にカレーヌが探知したであろ。俺たち3人が一切障害物に当たらないかつ周りに人や魔物のいない場所が頭に浮かび上がる。
「集団転移」
―――――――――――――――――――――
あたりを見渡すと森の中で会った。
「ほい。じゃあもう一回だ。集団転移」
―――――――――――――――――――――
「さらにもう一回集団転移」
―――――――――――――――――――――
「からの集団転移」
―――――――――――――――――――――
「さらに集団転移」
―――――――――――――――――――――
「ほい。大分近づいてきたな。集団転移」
―――――――――――――――――――――
「よし。後一回の集団転移でカゲウスの妹がいる屋敷まで辿り着きそうだな。カレーヌありがとな」
「いえいえ。第五王子様の為ですから」
「そうか。じゃあ最後に集団転移」
―――――――――――――――――――――
そうして転移した先には一つの豪華なベットに10歳くらいの少女が死んだように眠っていた。
ただ肌は綺麗な白色で痩せこけてたりもせず。まるで時が止まったような状態であった。
「ああ。イーディア。お兄ちゃんが返ってきたよ。今日は凄い人を連れてきたんだ。なんとお兄ちゃんに圧勝した最強の男だよ。きっとイーディアの病気を治してくれるよ」
凄く優しそうな笑みで、だけど何処か悲しそうに死んだように眠っている妹の髪を撫でながら話しかけるカゲウス。
多分凄くカゲウスはいいやつなんだろうな。
妹思いの優しいお兄ちゃんって感じだ。
これだけの泣ける系の小説が一本出来そうだな。後は俺が彼女を治して綺麗なハッピーエンドにするだけだ。
「さて。じゃあ様子を見てみますか」
俺は【万能の天魔】の中にある鑑定眼を使いカゲウスの妹ことイーディアちゃんの病状を確認してみる。因みに鑑定眼は非常に多用するので英雄クラスまで熟練度が上がっている。
・・・・・・・・鑑定中。
・・・・・・・・鑑定終了。
「あれ?病気じゃなくね?これ呪いじゃね?」
「え?どういうことですか?」
「いや。どういうことというか、今確認をしたのだが。彼女には永眠の呪いという永遠に眠り続ける呪いがかかっている」
「そ。そんな。イーディアが呪われてるだなんて。だから聖女の回復魔法でも治らなかったんだ」
「まあ。そうだけど。普通聖女なら呪われてることに気が付けよって話だろ。ハア。面倒くさい。まあでも結構強力な呪いだし。無理はないといえば無理ないな。少なくとも英雄クラスいや下手したら天魔クラスの呪術師がかけた呪いだぞ」
「天魔クラスの呪術師。そんな人に恨まれる覚えはありません。ましてや当時の私と妹は外の世界すら知らない子供だったのに」
カゲウスは悲壮な声を上げながら泣きだす。
「おいおい。泣くなよ面倒くさい。これくらいの呪いなら簡単に解除できるからよ」
「ほ、本当ですか」
一気に顔が明るくなり縋るようにというか俺に縋りついてくるカゲウス。
「お願いします。どうかどうかイーディアを妹の呪いを解いてください」
「もちろんだ。そのつもりで来たからな。というわけで【消滅の天魔】である我が命ずる。彼女にかかった悪しき呪いよ。消滅しろ」
パリン
何かが、いや呪いが割れた音が聞こえた。
「あれ?ここは何処?」
そんな可愛らしい声と共にイーディアちゃんが起き上がる。
特に体に問題はなさそうだ。一応鑑定したがいたって健康そのもの何も悪い所はない。
いや。待てよ。
待て待て待て待て待て。
魂がおかしくないか?
魂の質量が普通の人の倍以上ある。
・・・・・・・・・
おかしくないか?
それに精神の部分もおかしい。話に聞く限りでは彼女は10歳くらいのはずだ。
なのに精神的年齢が20は確実に超えてるように感じる。
ちょっと記憶を読んでみるか。
いや。まあ本当は良くないけれども。気になったったら確認したくなるのが俺という生き物だ。それにこのまま解決させない方がもやもやして面倒だ。
「ちょっと失礼するね」
俺はそう言ってイーディアちゃんの手に触れてみる。
そして記憶を読む。
カゲウスと違うなんの抵抗もなく簡単に読めた。
そして俺は理解した。
彼女が異世界からの転生者だということに。
そしてそれすなわち天魔に至れる器を持った神からの寵愛児だということに。
うわ。何だろう面倒事の匂いがプンプンするな。
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