第42話・準備は完璧に整った
騎士団長告白?事件から数日が経過して、あっという間に次の日に勇者パーティーが来る運びとなった。
もちろんその間にするべき準備は終わらせてある。主にイトとネズミ眷属が。俺はもちろん何もしていない。強いて言えば指示を適当に出しただけだ。だって面倒だもん。
まあ、それはいいか。
そんで用意した準備というのは三つ。
一つ目は正装。
勇者パーティーが来たということで行う歓迎パーティーに出るんだ。一応それ相応の格好はしなければならないからな。イトが用意してくれた。
二つ目は更なる情報。
一応【洗脳の天魔】が勇者パーティーの女魔術師というのは分かっているが。
そっから更に。その女魔術師こと洗脳の天魔の詳しい能力や趣味。嗜好。身長や容姿に言動は当たり前として何を好んで食べるか何を生きがいにしているか。聖教国に仕える代わりに貰ってる報酬は何か?
どんな性格をしていてどんな人間なのか。生まれはどこか育ちはどこか。どうやって天魔に覚醒をしたのか。
取り敢えずネズミ眷属の力が及ぶ限り様々なことを調べ上げた。
で、結論から言ううと。
洗脳されている可能性が出てきた。というか可能性じゃない。ほぼ確定だ。
洗脳の天魔が洗脳とか皮肉が効きすぎてて笑うしかないのだが。
少し冷静に考えてみたら、それは凄く納得のいくものであり。中々に同情をしてしまうエグイものであった。
まず最初に聖教国はどうやら一定以上の才能を持った子供を集めて秘密裏に用意されている施設にて育てているらしい。
そんでその子供達は幼い頃から聖教国に対する絶対的な忠誠心を教え込まれながら厳しい訓練を行うらしい。
そうして大体3~5歳で引き取られてから10年ほど施設で育てられた子供たちは最低でも一流クラス、最高だと英雄クラスにまで成長を遂げて聖教国の為に力を揮う一種の人形となるらしい。
中々に狂った施設だが、結構理には適っている。
そしてそんな施設で育てられ。幸か不幸か天魔に覚醒をしてしまったのが彼女だった。
幼い頃からの洗脳教育はもちろんのこと天魔に覚醒したことにより。より深く縛りつけるために。薬物や魔法、果ては呪術等を利用して超絶強固な洗脳を施されて。これでもかというほどに自由意思を奪われた感じだ。
多分洗脳の天魔は他人からの命令がないと動くことさえも出来ないある意味での究極の人形だな。
少なくともネズミ眷属が観察をした限り。趣味とか好きなものとかはなく。空いた時間はすべて死んだように睡眠を取り。食事も最低限の栄養補給だけ。目はいつも死んだ感じで。顔の筋肉が死んでるんじゃないかってくらいに表情は動かない。
なんかもう話を聞くだけで可哀そうに思えてくる。
誰だよ。面倒だから殺そうとか言ったやつは?
はい。俺です。そんで今も面倒そうだったら殺そうかと思っています。
そんなわけで三つ目は二つ目の洗脳の天魔が洗脳されているという事態を踏まえて洗脳の解除をするために使えそうな触媒を集めてきた。
もちろんイトとネズミ眷属が。
あ、後少しナナの力も借りたかな。
そんなわけで集めたのはユニコーンの角やナナの作った超強力聖水。破邪の勾玉や。聖銀ことミスリルに洗脳という悪しき力を移せそうな藁人形とか諸々いっぱい。
結構いろいろ用意させた。
まあ。ぶっちゃけこれだけ用意すれば洗脳の一つや二つ解けるだろう。
もちろん俺の消滅で出来たら一番いいのだけどな。
因みに洗脳を解除して仲間というか眷属に出来そうだったら眷属にするつもりだ。
だって洗脳の天魔だぞ。使い勝手が良すぎるだろ。
俺が多少無茶しても。暴れても全部洗脳して終わり。
何なら馬鹿第二王子を洗脳して真人間にして王位継承権を破棄させるとか。兄上がイトに対してい抱いてる恋心をゼロにさせるとか。諸々。
俺の今抱えている面倒事を簡単に解決させることができる。これはマジで楽だ。
そんなわけだから準備はオールオッケー。
後は明日になるのを待つだけだ。
といわけだから眠いし寝るか。
そうして俺は眠りについた。
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