第41話・騎士団長は諦めない
トントントントン
俺とイトとナナで仲良く高級フルーツを食べていた時だった。
ノックが聞こえた。
取り敢えず兄上と馬鹿第二王子の可能性は低そうだ。まば兄上はまだ心が折れてるだろうし。馬鹿第二王子は気絶中だろうな。となると誰だ?
分からないな。
【万能の天魔】の力を使って探知してみるか。
「あれ?騎士団長?」
探知して出た思いもよらぬ結果につい驚きの声が出てしまう。
「どうしたのですかグレン様?もしかしてカレーヌちゃんが来てるんですか?」
カレーヌちゃん?あれ?イトって騎士団長と仲いいんだ。少し意外だな。
「ああ。そうだよ。どうしたのだろうか?」
「分からないです。取り敢えず要件を聞いてきます」
「ああ。頼んだイト」
イトがドアに向かいをドアを開ける。
そして出てきたのは何故か恍惚とした顔をしている騎士団長だった。少なくとも女性がしていい顔じゃない。
というかあれ?
なんか思ってたキャラと違うのだけど。なんかこうもっとクールな女性ってイメージなんだけど。偶に城の中を歩いてるときに訓練中の所を見かける時があるけどいつも男の騎士をフルボッコにしながら。
罵声を浴びせてるイメージがあるのだが。
・・・・・・・・・
おかしくね?
「ああ。第五王子様。お願いです。私を私を抱いてください」
騎士団長は俺の顔を見るや否や跪いて恍惚として笑みのままそう言った。
・・・・・・・・・
「「は?」」
俺とイトの声が綺麗にはもった。
「ねえねえ?抱くって何?一緒に寝るってこと」
ナナが純粋無垢な笑みでそう聞いてくる。
ああ。なんか心が痛む。
これなんて言おう?
「ああ。そうだな。まあ、そんな所だ」
流石にそんなことを教えれる訳はないので適当に誤魔化す。
しかしこれが俺をさらに苦しめることとなる。
「そうなんだ。じゃあ。ナナは毎日ご主人様に抱いてもらってるね?」
その瞬間に場の空気が固まる。
イトは俺がナナを抱き枕代わりにして寝てるのを知ってるにも関わらず軽く軽蔑の目を向けてくる。
騎士団長の方は何となく自分が好みに合わないかなってショックを受けた顔してる。
「いや。違うから。そういうのではないから。俺は別に普通だから」
「じゃあ。私は好みですか?」
騎士団長からなんとも答えにくい質問が来る。
ぶっちゃけた話をすれば俺も男だ性欲はある。人並みには美しい女性は好きだと思う。特に騎士団長は綺麗な黒髪に健康的な肉体。肌もいい感じの小麦色で良い尻をしていてそそられる。
ただ性欲よりもだらけたいという欲の方が強いというのが本音であり。今の俺の現状だ。
ぶっちゃけ今すぐ布団で寝たい気分だ。
「ちょっとカレーヌちゃん。どうしたんですか?急にグレン様にそのような態度を取るなんて。おかしいですよ?」
イトの鋭いツッコミというか戸惑ってる感じの言葉が入る。
「私はおかしくないわ。だって目の前に私以上に強い人がいるのよ。興奮しないわけがないじゃない」
うん。ちょっと何を言ってるのか分からないかな?
「そういえばカレーヌちゃん。強い人が大好きって言ってましたね」
ああ。なるほどね強い人が大好きか。
それならば納得。納得ってなるか馬鹿野郎。それで納得できるわけないだろ。
「取り敢えず出てってくれないかな?いや普通にいきなり抱いてって言われても面倒だし」
俺は心底面倒そうに言ってやった。
結構面倒ですって態度したからもう来ないでくれるとありがたいのだが。
「分かりました。今は帰ります。でも私は諦めてませんから。第五王子様のような理想的な男性は中々にいませんから。というわけでもし私が必要でしたらいつでも言ってください。私はいつでも待ってます」
凄い笑顔でそう言うとそのまま部屋から出て行った。
うん。これは一件落着なのかな?
つかどういう対応を取るのが正解なんだろうか。
・・・・・・・・・
分からん。
ああ。もう面倒だし気にせんとこ。
「グレン様。それでカレーヌちゃんの件はどうしましょうか?」
「ああ。そうだな。イトはどうしたい?」
「私ですか。・・・そうですね。グレン様がしたいようにすればいいと思いますが。カレーヌちゃんとは気が知れた友人だと思ってますし。いきなり他の女性がグレン様の傍に来るよりかは気が楽です」
なるほどね。つか。イト騎士団長と友人やったんやな。まあでも確かに兄上と馬鹿第二王子の訓練で会う機会も多いだろうし。以前の強さ的には拮抗していたから互いにいい修行相手になっただろうし。
まあ。確かに友人になれそうだな。
「そうか。ありがとう。ナナはどうしたい?」
「ナナはご主人様が決めたらなんでもいいよ。でもナナ的にあの女性は赤色の優しい光を持ってたから良い人だと思うな」
あ。そういえばナナは光を操れるから。心の光も見えるんだったな。しかし赤色の優しい光ってことは魔物とかの生物を殺してたくさんの人を救った系統の光だな。
もちろん悪意を持って犯罪を犯したことのないというのは大前提だが。そうなると少しは好感は持てるな。それに結構俺に対する好意があったから。簡単に眷属化の条件を満たせそうだし。一度眷属化させてしまえば、後はどうとでもなるし。
まあ、有りか無しかで言えば、有りって、いや待て待て。別に今人手に困ってる訳でもないし、騎士団長を眷属化させたら確実に問題だ。面倒ごとでしかない。
何故自ら面倒ごとに足を突っ込みかけた。
危ない危ない。
彼女のことは綺麗さっぱり忘れよう。
「それで。グレン様はカレーヌちゃんはどうしますか?」
「ああ。別にどうともしないよ。何かするのは面倒だからな」
「相変わらずグレン様ですね」
「まあ、そうだな相変わらずグレン様だよ。というわけで眠いんで俺は寝る。起きたら飯食べるから用意よろしく」
「分かりました。ナナと一緒に腕によりをかけて作りますね」
「うん。ナナ頑張る」
「お。それは嬉しいな」
俺はそう言ってベットに潜り眠りについた。
――――――――――――――――――――――
補足説明
イトが天魔になった影響で騎士団長ことカレーヌちゃんとは少し疎遠気味となっているが。イトは結構仲良くしていと思っている。
因みにグレンがカレーヌちゃんをハーレムに加えるのは有りだと思ってる。というかグレンの強さを知っているからそのあたりには凄く寛容。
何ならグレン専用の後宮を作っても構わないと考えている。
因みにイトはグレン以外の男に抱かれたいとは思ってない。ナナはそこら辺まだ分かってない
―――――――――――――――――――――
少しでも面白いと思って頂けましたら星やハートをくれると最高に嬉しい限りです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます