第36話・【忠光の天魔】
「おはようございます。ご主人様」
「ああ。ナナおはよう」
「はい。おはようございます」
寝ぼけた頭で軽く目を擦りながら、ナナの方を見る。
そして認知する。
【忠光の天魔】となったナナを。
「あ~。なるほどね忠光の天魔か。いやはや真希、アイツ軽い嫌がらせだろ」
俺はナナが俺に忠誠を誓っているから忠光なんて名前を付けたと思ったが。ふと。もし名前通りだとしたらばという一つの考えが頭を過ぎる。
「ん?待てよ。ナナもしかしなくてもナナってこの世界にある光という光を自由自在に操れるんじゃないか?それこそ主と従者の関係のように絶対的な主として光に忠誠を誓わせてるんじゃないか?」
「うん。そうだよご主人様。ナナはねこの世界の光全てに忠誠を誓わせてるんだ。ナナが命令をすればこの世界の全ての光はナナの思うがままに動かせるよ」
無邪気な笑顔でそうほほ笑むナナ。超絶可愛らしいのだが。それと同時に恐ろしくなった。
ナナの天魔としての力のレベルに。
この世界の全ての光に忠誠を誓わせてる?
え?それって恐ろしく強くないか?万能型の天魔って俺は思ってたが前言撤回だ。超万能型の天魔だ。
下手な戦闘型の天魔よりも戦闘力があり。下手な精神操作系天魔よりも精神操作に長けている。それでいて天魔レベルの回復魔法に光の魔術を扱える。
多分ナナの力は俺の知っている天魔の中だと俺と真希と現在失踪中の【悪魔の天魔】と現在帝国の皇帝である【覇王の天魔】後は戦闘狂の【破壊の天魔】に獣娘大好きの【武力の天魔】を除けば最強だと思う。
だって光という恐ろしく幅広い範囲を自由自在に扱えるのだから。
例えば治癒の光に破壊光線に魔術の光。
その他視界を確保するための光や生きるための希望的な意味の概念的な光さえも全て操れる。
・・・・・・・・
一応俺死にかけの少女を眷族にしただけなのだが。別にイトみたいに元々準英雄クラスの実力者とかそういう訳ではないのだが。
そう考えると流石神に選ばれた勇者というべきか。一体どれだけの潜在能力を秘めていたんだ?
これ。多分俺が助けなくても。何かしらの拍子で潜在能力が覚醒して自力で天魔に至っててもおかしくはないな。
少なくともナナにはそれだけの力がある。才能がある。
まあ、もちろん、全ての光を操る言っても。一定ラインに達すると許容限界が起きて操れなさそうだし。あまり長時間は難しいと思うが。それでも気が狂うって位強いぞ。
「ご主人様?考え込んでどうしたのですか?大丈夫ですか?」
俺を心配しれくてるナナ。
ああ。可愛いなナナは。
俺はナナの頭を撫でながら言う。
「別に何でもない。ただナナがメチャクチャに強いなって思っただけ」
「ナナが強いですか?でもご主人様よりは弱いですよ。それに今日会った天魔連盟から来た人よりも弱いですよ。別にナナは強くないです」
どことなく申し訳なさそうにしょげるナナ。
うん。自分で言うのもアレだがそれは例外中の例外だ。比較対象にしたらいけない。
「いや。別にその程度は大丈夫だよ。多分俺の知る限りではナナより強い存在は5人しかいないから。そんで俺とナナが力を合わせれば誰も敵わないから」
俺は再度優しくナナの頭を撫でながらそう言う。
ナナはそれを嬉しそうに目を細めながら聞いてくれる。
「確かにナナとご主人様がいれば誰にも負けませんね。それにナナ達にはイトお姉ちゃんもいますし。ご主人様連合は最強です」
嬉しそうにそう言ってカッコよくポーズを取るナナ。
「そうか。ご主人様連合か。確かに言えてるかもな。といってもまだ三人しかいないけど。さてとナナこっちおいで。一緒に商人の天魔から貰った高級フルーツでも食べるか?」
俺は異空間に仕舞っておいた高級フルーツを取り出してから、冷凍魔法で良い感じの所まで瞬間冷凍させてから空中に浮かせて風魔法でカットする。
「はい。食べます」
目を輝かせて返事をしてくれるナナ。うん。可愛いわ。
皿を出してフォークと一緒にナナに渡す。
「ありがとうございます。グレン様。では頂きますね。う~ん。冷たくて甘くて美味しいです」
嬉しそうに美味しそうに食べるナナ。
「そうかそうかそんなに美味しいか。じゃあ俺も食べようかな。うん。美味しいな。イトの分ものけといてあげないとな」
皿とフォークにフルーツをひとまとめにして異空間に仕舞っておく。
「さて、イトの分はのけたし。ナナお代わりが欲しかったら言ってくれ。まだまだあるからな」
「本当ですか。ありがとうございます。グレン様」
「俺としてもナナが喜んでくれて嬉しいよ」
そんなこんなでナナと一緒に幸せな気分でフルーツを食べました。
めでたしめでたし。
何て感じで話が終わって、ゆっくり本を読めたら幸せだったのだが。何か急に嫌な予感がした。
凄く面倒な面倒事に巻き込まれる。そんな予感がした。
自慢じゃないが俺は【万能の天魔】だ。そして能力の一つに準英雄クラスの直感というのがある。つまり。俺の直感は凄くよく当たるという訳だ。
「グレン様。どうしましょう。第一王子様に結婚してくださいと。告白されました」
バタンと勢いよく扉が開きイトが慌てた様子でそう言ってくる。
ほらな。嫌な予感的中したよ。
さてと。うん。
「マジで何してくれてんだよ。兄上~~~~~~~。お前は馬鹿第二王子と違ってまともだと思ってたのによ、おい~~~~~~っす。面倒事を起こすなよ」
俺の軽快かつ豪快なツッコミ音が部屋中に響き渡った。
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更新の順番を間違えていました申し訳ございません。
お詫びに今日はもう何話か投稿を致します。
本当に申し訳ございませんでした。
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