第27話・馬鹿な第二王子と準英雄クラスの不倫相手
突然だが俺には兄が4人いる。
その内の二人の兄もとい、第一王子と第二王子は互いに王位継承権を巡って激しく争う犬猿の仲である。
因みに第一王子の方が能力的には優秀であり、知識豊富で応用力もあり、剣術は一流の一歩手前位の実力はあり魔法もある程度、二流程度には使うことが出来る。
人格的にも民思いで優しく。しかしながら時に冷酷な判断も下せる国王としての素質は十分にある。
だけど母親が歴史の浅い男爵家嬢であり家としての力が弱く血筋的に劣ってしまっている。まあ、どうやらイトに惚れてるっていう爆弾を抱えてるけど。
そんなわけで第一王子には長男絶対主義を掲げる一部の貴族と第一王子の方が優秀で能力もあるからと、そして不正等をしっかりと正す清き国王になれると真面目な貴族たちが付いてるのが第一王子陣営だ。
因みに一つではあるが清廉潔白を掲げる公爵家がついている。
そんで第二王子の方は能力的にはクソ無能で。
女好きで傲慢で金遣いも荒く。勉学も出来ず。剣術魔術も点でダメ、まあ剣術の方はイトが多少はしごいたから少しは出来るが。せいぜい三流程度。魔法とかは何それ美味しいのだ?
でも母親は公爵家の出であり、そのコネを生かして幼少期から様々な支援者を募らせていった。その上でとある事情でお金に困っていた別の公爵家に資金を融資して代わりに第二王子と同い年の娘を婚約者にさせた。
そうしてこの国に4つしかない公爵家の内の二つを味方につけている。
また、無能な王子に変わって国を操ろうとする貴族や。法に触れることをしている後ろめたい貴族たちが集まってきたりで結構大きな派閥となっているのだ第二王子陣営だ。
まあ、あれだよな第一王子が国王になってくれんとこの国終わるな。
いや。何だ。この国には【探知の天魔】という存在がいて、その人が基本的には魔の森の防衛に当たっていて政治には一切関わらないのだが、もしも何かの拍子でとち狂って第二王子というクソ無能が国王になったら確実に国が荒れる。
そんで流石にそれは看破できないと干渉してきて、探知の天魔の力で第二王子含む国の膿共が全員殺されて、新しい国にさせられるだろう。
これが俺の思う第二王子が王になった場合のルートだ。多分当たってると思う。
因みに探知の天魔はこの国の4つある公爵家の当主の一人であり。唯一第一王子陣営にも第二王子陣営にもついていない完全なる中立派だ。それでいて我が国に三人しかいない将軍の一人である。
まあ。めちゃくちゃに力を持ってる人だ。
でもさ。正直言って第二王子陣営は馬鹿だよな。破滅ルート確定なのに。何でそんな陣営作るのだか?
まあ今の所は俺にとってはどうでもいいことか。
本当に第二王子が国王になりかけたら流石に介入をするけど。今の国王がそれを止めるだろうしからな、父上は国の王という観点で見れば有能な人間なのだから。
それに前の戦争の件で1万もの兵士を失ってるしな。
派手な動きは出来んだろ。
まあ、それなら最初から第一王子第二王子陣営が出来るような事態にするなって話だけどね。
て、流石にそれは難しいか。今の状況を国王が下手につついたら反乱とか起きかねないし。結構危ういバランスで貴族達のバランスが成り立っているのだから。
で、まあ長々と語ったわけだが。ようは第二王子は血が優秀なだけのクソ無能ってことだ。
で、今現在俺とナナの目の前にそのクソ無能がいる。
まあ、一応は俺の兄であり。血も半分だけだが繋がっているわけだのだが。
うん。殺していいかな?
いや。まあ殺したら凄く面倒なことになるからせんけど。そうしようかと思うくらい無能というかクズ野郎だ。
まず。俺とナナは王城にある俺の部屋に向かって歩いていた。もちろん手は繋いだまんまな。
その廊下でバッタリと第二王子と初めて見る女性と出会ったわけだ。因みに二人とも思いっきり手は繋いでいる。何なら絡めあう感じの恋人つなぎしている。
もちろん俺は第二王子もといクズの婚約者である筈の公爵令嬢・名前は確か・・・、あ、思い出した。マリアさんとは面識がある。
だから今第二王子じゃなくてクズと恋人つなぎしている人がマリアさんでもないというのは明らかな事実だ。
つまりどういうことかという、この馬鹿第二王子は王城という父上やら他の貴族やらが闊歩する場所で婚約者じゃない女性と恋人つなぎして歩いていたんだ。
うん。女好きとは知っているが。これは流石にヤバいだろ。
わざわざこの馬鹿第二王子、いや馬鹿は自分の支援者を潰そうとしているのだぞ。何なら全力で喧嘩を売ってるんだぞ。
もしこれで婚約破棄とかになって公爵家が第一王子陣営に着いたらその瞬間に第二王子陣営の敗北が非常に濃厚な物となるぞ。
分かってんのか?まあお金の件があるから微妙やけど。
「おやおや。これはこれは愚かな弟よ。どうしたのですか?そんな小汚い下民とお手手なんて繋いじゃって?」
俺が考え事をしていたら、いきなりそう罵って来る馬鹿第二王子。
どうやら自分のやらかしに気が付いていないようです。救いようのない馬鹿だ。死んだ方がいいんじゃないか?
我が兄と思うと怖くなるよ。
でも。あれだな?
コイツ今ナナの事を小汚い下民って言いやがった。よし。多少面倒ではあるが地獄を見せてあげようかな?
そう思った時だった。
いきなり光の球が現れて、馬鹿第二王子に向かって飛び爆ぜた。
死にはしないだろが普通に大怪我するレベルの威力だ。あ、これはやらかしたかな。そう思い様子を見ると。そこには大きなミスリルの盾を持ち攻撃全てを防いでいた馬鹿第二王子の不倫相手がいた。
うん?あれ?この不倫相手強くね?
よくよく見たら普通に準英雄レベルの強さを持ってるぞ。多分天魔になる前のイトと勝てはしないものの善戦できるレベルには強いぞ。
え?マジかよコイツ明らかにどっかの令嬢って感じだぞ?
ん?おかしくね?何もかもがおかしくね?また恐ろしい面倒事の匂いがするのだが。どうしようか。
「第五王子様。ここは互いに見なかったということで手を打ちませんか?幸いな事にこの財布はゲフンゲフン。馬鹿じゃなかった第二王子様は今のを見て気を失ってますし。後で私が適当な言い訳をしておきますから。私としては第五王子様とは戦いたくはありませんし。第五王子様もこのような問題事はお嫌いでしょう?」
不倫相手から想像の斜め上を行く提案が来た。
まさか、こっち側から提案が来るとは。
しかし中々に納得のいく。それでいて理解出来る提案だな。今の所この不倫相手の正体が謎なのは気がかりだが。まあ後で眷属ネズミに調べさせればいいか。
となるとこの提案は乗るしかないな。
つか、どうでもいいけど、馬鹿クズ野郎の事を財布とか馬鹿って言い間違えてたな、絶対これ普段からボロ出てるやろ、いつか馬鹿クズ野郎キレそうやな。知らんけど。絶対返り討ちに会うだろうけど。笑えるわ。
「分かりました。そうしましょう。互いに面倒事は嫌ですからね」
「ええ。本当にそうですね」
そうして互いに会釈をしてから俺は自分の部屋にナナを連れて歩き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます