第26話・兵士とのいざこざと、この国最強の槍使い
俺とナナは今兵士に囲まれています。
まあ。理由は道の真ん中で大泣きして抱き合って、何か良く分からないことを言っていたからっている至極真っ当な物だ。
正直ごもっともだと思う。
一応俺とナナがいる場所は貴族やら金持ち連中が日常的に使う道であり。
周りのお店も高級店が非常に多い。そんな道のど真ん中で汚いローブ羽織った少女と服はまともだがグウタラの怠惰で知られる俺が思いっ切り座り込んで泣きまくってんだ。
まあ、周辺の店の営業妨害してんなってことだ。ついでに言えば俺とナナを見て不愉快だと断言する貴族やら金持ちは非常に多いだろうしな。
でもな。そう言うんじゃないんだよな。
まあ確かに悪いのは俺とナナになる。だけどだからと言って。俺に向けて剣を向けてナナを処理しようと考えているクソ兵士共見てると殺意が湧いてきた。
「おい。そこのお前何とか言え。お前の両親は誰だ?」
兵士の中で一番偉そうな奴が俺に剣を向けたままそう怒鳴る。
因みに俺とナナを囲んでる兵士は10人と非常に多いです。よくもまあそんなに集まったな。お前らは暇なのか?
「ご主人様、ここにいる人全員殺していいですか?」
ナナが俺の想像以上に物騒なことをいきなり言ってきた。いや。まあ、俺も兵士共に殺意は抱いてたが。ここで殺すの凄く面倒だ。
「いや殺さなくていいよ。ナナ。取り敢えず兵士共、俺の両親が誰かってこの国の王だよ」
「何をふざけた事を抜かす。我が国の王子だとのたまうとは。え~い。この嘘つきを殺せ」
そうして1人の兵士が抜いていた剣を俺に向かって振り下ろす。うん。俺の言ってることが事実だったらお前の首即飛び案件だぞ。まあ事実なんだけど。コイツは馬鹿なのか?
パキン
剣は突如現れた光の盾によって弾かれる。
「この光の盾はナナがやってくれたのか。ありがとう」
ぶっちゃけ、この程度のレベルの低い兵士の攻撃が当たった所で無傷だし、俺を傷つけるってなったら最低でも準英雄レベルの存在がオリハルコンやアダマンタイトを使った最高品質の剣を持ってきてようやくかすり傷を与えられるって感じだな。
まあ、ただすぐに俺を守ろうと光の盾を張ってくれたナナに感謝を伝える。感謝を伝える心は大切だしね。
「大丈夫ですともご主人様。それでこのクズ共はどうしますか?殺しますか?それとも殺しますか?やっぱり殺しますか?」
いや。だから凄い物騒だな。どうやら俺への忠誠心が高すぎて少し闇に傾いていないか?
「いや。殺すのは止めておこうか」
「ご主人様がそう言うのでしたら止めます」
因みに俺とナナが会話をしている間も兵士共は頑張って俺とナナに攻撃をしようと剣を振るっている。
ただまあ、そんな攻撃で光の盾が壊れるわけなく、ずっと弾かれる。弾かれ続ける。
「お前。今すぐにこの謎の魔法を解け。殺してやる」
アホな事を叫ぶ兵士。うん。殺してやるから魔法を解けって解くわけないだろ。
「威圧」
そろそろ面倒に感じたので俺は少しだけ殺意を込めて常人が発狂するレベルの威圧を浴びせた。
「「「うぎゃあああああああああああ」」」
兵士共は全員同じ叫び声を上げながら。みっともなく何処かに走り去ってた。
うん。最初からこうすればよかったな。
後は今の出来事を野次馬のように見ていた貴族に金持ち共の記憶を消滅させますか。
「部分記憶消滅」
俺はサクッと近くにいて俺と兵士のいざこざを見た者の記憶を消滅させた。
まあ、もちろん。あくまで近くにいた者だけだし、消したのは兵士と俺とのいざこざだけだから。
ナナと俺が出会う所というかナナが泣いてそれを抱きしめる俺というのは覚えられていると思う。
でもまあ、俺はこれからナナを第二の専属メイドにするつもりであるし、行き倒れの少女がその第二の専属メイドであるっていう情報は出回っても問題ないと判断したから敢えて消さなかったわけだが。
「さてと。じゃあナナ。城に向かうか」
「うん。それと、あのうご主人様、手を繋いで良いですか?」
もじもじっと可愛らしい頼み込んでくるナナ。こんなも選択肢がはいorイエスしかないじゃん。
「もちろんいいとも。さあ、帰ろう。新しいナナのお家へ」
「うん」
そうして俺はナナと仲良く手を繋ぎながら城に向かうのだった。
てくてくてくてくてくてくてくてく
俺とナナが城まで歩く道中、それはもう周りからかなり怪しむような目線だったり。
下民だと罵るような視線。まあ実際に罵って来た馬鹿貴族とか金持ちがいたのだが。そう言うやつはナナの殺気交じりの威圧をくらって速攻逃げるという恥を晒すこととなった。
どうやら俺の殺気交じりの威圧で追い払うというのを真似したらしい。いや~俺の真似をするとは本当に可愛いなナナは。
そんなこんなで歩いていたら圧倒的に城の門までたどり着いた。
「これはこれは第五王子様。お帰りなさいませ。して。その隣にいる少女は誰でしょうか?」
俺にそう言ってきたのは30年以上もの間城の門番を務めている大ベテランであり年齢は60を超える白髪の老人、名前はカルロツ・エレモンドという俺の数少ない友人だ。
元は弱小貴族だったが努力と槍の才能で成り上がり。とある戦争にて大活躍をした英雄的存在。我が国で槍の扱いにおいては最強と言われ人格面でも優れている超人である。
因みにだが。俺の本当の力について薄々ながら気が付いてると思う。ただ多分まだ確信はされていないと思う。そう信じたい。因みに偶に一緒にスイーツを食べたりする。
「ああ。カルロツさん。この少女は俺の新しい専属メイドにしようと思って行き倒れていた所を俺が保護したんだ」
滅多にさん付けをしない俺だが。カルロツさんには今まで何回か城を脱走した際にお世話になったり、俺が6歳の時に処刑されそうになったイトを助けようとした時に手を貸してくれたりと非常にお世話になっており、その感謝と敬意を込めてさん付けをしている。
「なるほど。第五王子様らしいですね。相変わらず変な所で善人でいらっしゃる」
「まあ。そうかもな。さて、で、入ってもいいか?」
「もちろんですよ。しかし、また中々に強い人を見つけましたね。やはり強き力と強き力は引かれあうのでしょうね」
いや、薄々気が付いてるとか言ったけど。前言撤回やわ。絶対俺が天魔だってことに気が付いてるやん。
一応誤魔化しておくか。勘の良くて優しいカルロツさんやし。多分察してくれるやろ。
「いやいや。そんな強き力って俺は怠惰でぐうたらな第五王子ですよ」
「そうですか。ではそういうことにしておきましょう」
「そうしてくださいカルロツさん。では、お礼に今度差し入れにお菓子でも持っていきますね」
「そうですか。何のお礼かは分かりませんが。第五王子様の作るお菓子は美味しいですし。ありがたくいただきでしょう」
これで多分カルロツさんは俺の事は誰にも言わないだろう。多分。まあ、言った所でグウタラ王子の俺が天魔だとは誰も信じないだろうけどね。でもそういう面倒事の芽を摘むのは大切か。
「それじゃあ。また。お仕事頑張ってくださいカルロツさん」
「ありがとうございます。第五王子様」
そうして俺はナナと共に城の扉をくぐった。
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