第21話・偽者勇者
ネズミ達を眷属にしてから3日後。すっかりネズミ達のことを忘れて、今日も今日とてグウタラとベットに寝そべりながらお菓子を食べていたらいきなりネズミから念話が来た。
「陛下。遅れてしまいまチュたが、ようやくネズミ100匹の用意が出来ました。もちろん陛下への忠誠も誓わせてありますでチュウ。今すぐに陛下のところに伺ってもよろしいでチュウか?」
「おお。そういえばそんなこと言っていたな。ああ。大丈夫だ。連れてきてくれ」
「分かりましたでチュウ陛下。では5分後に陛下の所に到着しますでチュウ」
「5分後ね。オッケー分かった」
そうして本を読みながら待つこと5分。
「陛下。ただいま参上致しましたでチュ」
俺の眷族であるネズミ15匹とそいつらが連れてきたネズミ100匹が俺の目の前で整列する。
「それじゃあ。眷族化させるね。薄皮消滅」
俺は前と同じ要領でネズミ100匹に血を与えて眷族化させていく。
5分程で全ネズミの眷族化が終わる。軽い疲労感に襲われつつも俺の俺だけの俺の為の情報部隊が完成した瞬間であった。
まあたったの5分で情報部隊完成って我ながら凄いな。
「さてと。じゃあネズミ共、お前達に命令を与える。情報を集めろ。情報は出来る限り危険度の高い。ようは俺に害をなすことの出来る天魔もしくはそれに準ずる物を中心に集めろ。後は国家間での戦争なんかの情報も集めろ。分かったか」
「分かりましたでチュウ陛下」
ネズミ達は俺に敬礼を行うと俺の命令をこなしに部屋の排水溝へと駆けていった。
「さてと。これで情報の方は問題ないかな。じゃあ思う存分ぐうたら生活と参りますか」
ベットに思いっ切りダイブしながらそう言うと俺はそのまま惰眠をむさぶった。
――――――――――――――――――
そんなこんなでグウタラ生活を続けること1日後。
ネズミから念話が入った。どうやら魔王と勇者に聖教国に関する情報らしい。
俺はそれをベットでお菓子をつまんで本を読みながら聞き始める。
正直言ってそんな凄い情報でなはいだろうと高をくくって、そこまでの期待はしていなかった。
で、まあ聞いたわけなのだが結論から言えば。思った以上にとんでもない情報だった。
まず。勇者。
今代の勇者は聖教国の教皇の5番目の息子、ようは第五皇子であり年齢は21歳。
非常に正義感に溢れ優しく強く清らかで潔白な勇者はこれまた正義感に溢れて強い4人の仲間と共に魔王討伐に向かい見事成し遂げた。
という設定でこの世界の人々が救い出された村人たちが逃げ出した魔物達がそして勇者本人すらも洗脳されていた。
つまりどういうことかというと、本当の勇者が小さな村に住む14歳の少女であり。
第五皇子を勇者として祭り上げることで国としての教皇としての権威を上げたい聖教国によってその事実を全て隠避されていた。
更に口封じの為にその少女もとい本物の勇者の村の人全てを虐殺し、その上で魔王討伐を行い疲れ切った所を吸力の呪いというかけられた者の持つ全ての力を徐々に指定した人物に与えるという、まあ物凄くたちの悪い呪いをその本物の勇者にかけていたということだ。
もちろん、その力を与えられるに指定されたのは第五皇子。
当の第五皇子は洗脳されているんで自分が勇者だと信じ込んでしまっているんで余計にたちが悪い。
でまあ、その本当の勇者である、いや、まあ。だったというべき少女は力を吸われながらも魔王軍残党と少女の力が全て吸収されるまで監禁しよと企む聖教国の追手とで必死に逃げて逃げてこの国に流れ着いたらしい。
これが今回ネズミ眷族から教えてもらった情報だ。
いやはや。中々にエグイ内容だったわ。うんマジで冗談抜きで厄介ごとの臭いしかしない。
大体聖教国は馬鹿なのか?お前ら勇者ってのは神から選ばれた存在であり、神の寵愛を受けし存在だぞ。そんな存在に対してこの仕打ち。神からの天罰は怖くないのか?
神ってのは本当に存在するからな。
それでいて天魔以外は絶対に敵わない化け物だからな。
といっても逆に言えば天魔なら戦う事の出来る存在であり、弱い神であれば倒すことだって出来る存在ではあるが。
まあ、そんな弱い神は力を持った神器を創ることも。特定の人物に対して天魔レベルの力を授けることも出来ないだろうから。
100%その神は上級神以上の戦闘型天魔が10人以上とかが全員相打ち覚悟で挑んでギリギリ勝てるかどうかの存在だろうな。
うん。確か聖教国に所属している天魔は【星光の天魔】と【輝魂の天魔】と【回避の天魔】の三人だったはずだ。まあワンチャン秘密裏に他にも天魔を囲ってる可能性はありそうだけど、それが10人以上とかは絶対に有り得ないな。
やっぱり馬鹿じゃないのかな聖教国?
自分から国を滅ぼそうとしてるじゃん。
ハア。まあ取り敢えず関わらないでいよう。
少なくとも関わったら絶対にろくなことにならなさそうだし。それに下手に関わって勇者の力を与えたであろう神様の怒りでも買ったら最悪だ。
今の俺だったら普通に戦って負けるからな。そんで死ぬとかぜったに嫌だ。
といっても関わるような機会があるわけないか。
うんうん。さて、変に考え事をして疲れたし寝よ。
そうして俺は再度布団にくるまり眠りについた。
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