第19話・情報って大切だよね

「なあ、イト。俺は情報が大切だと思うんだよ」

 戦争の一件でかなり豪華に広くなった部屋にて俺はそう言った。


「確かに情報は大切だと思いますが。どうしたのですかいきなり?」


「ああ。いや何?情報があれば厄介ごとに巻きこまれないかなって、もし巻き込まれたとしても情報があれば優位に立ちまわることが出来るんじゃないかなって。前の戦争の際も情報があればもっと上手に立ち回れて、もっと素早く、最良の結果を手に出来たんじゃないかなって。そう考えたんだ」


「まあ。確かにそうですね。でもどうやって情報を集めるのですか?私はそういう情報を集める暗部的な事は苦手ですよ」 


「いや。イトに頼むつもりはないよ。ネズミにでもやらせようかなって思ってる」


「ネズミですか?それまた意外ですね?というかネズミが情報収集なんて出来るんですか?」 


「まあ。疑問はごもっともだな。でも大丈夫だ。俺の怠惰の能力にある眷族化を使えば全て解決だ」


「そうなのですか。でもその力って何かグレン様にデメリットとかはないのですか?」


「ああ。ないない。自分でも驚いたのだけどこの怠惰の能力の一つである眷族化は一切のデメリットなしで使えるんだよ。まあ、でも条件として眷族化を使用した相手が俺に服従もしくは忠誠の意を示しているというのがあるけどね」 


「なるほど。それは凄い力ですね」


「まあ。そうだな。一応七つの大罪という七つの美徳と双璧を成す最強の能力だからな。それくらいは出来るって話だ。まあ、もちろん怠惰もとい面倒くさがりな性格の人間にこの能力は渡されるのだから眷族化という行為自体を面倒くさがってしないというのはあるだろうけどな。だから今までこの最強の能力が問題視されてなかったてのはあるね。俺もこの力を得てかれこれ11年以上経つけどイトに初めて使用したわけだしね」


「まあ。確かにそうですね。あのうもしかしてですけど?あのキスってグレン様の初めてですか?」


「ああ。まあそうだな」


 俺は特にあっけらかんと言い放った。実際に俺にとって初めてのキスとかいうのに深い思い入れはない。その時はそれが一番効率が良かったからそうした。ただそれだけだ。

 だけど俺のその言葉を聞いたイトは何故か顔を真っ赤にする。


「どうしたイト?顔が赤いけど?」


「いや。それは。あのうは。ハア。本当に相変わらずグレン様ですね」


 イトは最初は何か言いたそうにしたが急にため息をついてそう言ってきた。うん。どういうことだ?


「あ。もしかしてイトってキスをしたら子供が出来るとかいまだに信じてる系?」


 ぺチン


 思いっ切りイトに頬をビンタされた。


「そんなわけないじゃないですか。私だってそういう知識はありますよって、何を言わすんですか」


 天魔となっただけあって想像以上に威力があり少し赤くなってしまった頬を優しく撫でつつ、イトが何故怒ってるのか考えた。

 考えたけど分からなかった。でも途中で考えるのが面倒になったから。気にしないことにした。


「あのうグレン様叩いたのは私が悪いです。申し訳ございません」


「ああ。いいよ別に気にしてないから。そういうの面倒だしって。ああ、大分話が脱線したね。じゃあまあ話を元に戻すけど。ようはネズミを眷族にして情報を集めまくろうって話だ」


「というわけでイト、確か俺の姉である第三王女が大の動物好きだったよな。俺の記憶が正しければネズミも飼ってたと思うから連れてきてくれ。連れきてさえくれれば俺の万能の力を使って調教して忠誠を誓わせて眷族化させるから」


「分かりました。グレン様。因みに数はどれくらい必要でしょうか?」


「そうだな。取り敢えずは10匹でいいかな。そっからそのネズミを媒介にして野良のネズミを集めさせて眷族にさせるから」


「なるほど。分かりました。では今から行って参ります」


「ほいほい。いってらっしゃい」


 バタン


 俺はゆっくり怠惰に楽しく本を読み始めるのだった。

 ただまあ、本を読みながら。天魔に対してネズミを取ってこいって命令するって中々に非常識だな、なんて思った。


 まあイトは喜々としてやっているわけだが。ただまあ、第三王女もとい姉からしてみればたまったもんじゃないな。いきなりこの国の最高戦利力であり父上もとい国王から丁重に扱えと命令が下ってる天魔がネズミを寄越せとか言って押しかけて来るのだから。うわ。想像しただけと可哀想だわ。


 まあ。いっか。俺にとっては関係ないか。面倒やし。


――――――――――――――――――


 因みにご都合主義設定で主人公ことグレンは他人の好意なんかへの勘は鋭いですが自分への好意への勘はゼロです。


 後。イトは序盤というかグレン幼少期では弟のような存在であり息子のような存在で母性を感じていましたが。(まあ。多少ショタコン、ゲフンゲフン)ある程度大きくなり、更に天魔という力を持ち自分よりも圧倒的に強い格上と知った時に息子・弟から命の恩人であり敬愛する主であり。そして最も魅力的な異性へと感情が変わりました。

 そんな感じの設定です。

 というわけでよろしくお願いします。


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人物説明

 第三王女・カレン・ストラス・ヤマダ・年齢は19歳

 この国の第三王女であり、動物が非常に好きであり。本人にも動物を操るビーストテイマーの才能がある。


 1人与えられた大きな庭園に好きな動物を好きなだけ飼い、お世話をしている。

 因みに誰も気が付いていないが。動物以外の魔物も従えることが出来る。第三王女が動物だと接している中には実は魔物としても非常に高位であり。強大な力を持つ存在がいる。


 その存在はドラゴン・キマイラ・グリフォンの三体であり普通に準英雄クラスの力を持つ化け物である。ただ普段は主である第三王女を怖がらせない様にと動物の姿に変えて存在している。三体とも擬人化が可能であり。擬人化すると超絶イケメンとなる。

 色んな意味でラノベの主人公みたいな女性。


 因みに飼っている動物たちの中には絶滅危惧種が多々存在し、それを保護し繫殖させ野生に帰すという生態系保全活動をしてるという点で国及び父上から功績が認められておりそこそこ多額の予算を渡されている。

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