第17話・魔王と勇者はある意味セット

 この世界には魔王が存在する。


 魔王とは魔物の王であり、人間を滅ぼさんとする悪しき存在である。


 また、【魔王の力】という自分の配下である魔物・魔族の持つ能力を全て自由自在に操ることが可能という場合によっては天魔を超える程の力を持つ最強と言っても過言ではない能力を持った存在である。


 しかし。そんな魔王に対して圧倒的な有利を取り、魔王を滅ぼすことの出来る存在がいる。


 その名前は【勇者】 


【勇者の力】という魔物に対しての与ダメージ10倍と被ダメージ10分の1という壊れた能力に加えて人智を超えた圧倒的な神聖力と身体能力に何度死んでも魔王が生きている限りは蘇るという不死の加護まで持っている。


 それは正に魔王特攻。


 魔王を殺す為だけに与えられたような都合のいい力。


 そんな勇者の力は魔王が出現するとランダムで15歳以下の子供に神の手によって授けられる。


 そしてその授けられた勇者の力を使い魔王を倒して魔王殺しの英雄となる。


 それがこの世界の摂理の一つであり。よくあるストーリーだ。


 ただ、そうただ、そんな勇者を冷遇して、あまつさえ魔王を殺したと同時に裏切り力を無理やり略奪した上で痛めつけて殺そうとした悪しき人間が否。国があった。


 その国の名前は聖教国という。

 この世界で最も信仰されている宗教を作った国であり。総人口は6000万人の立派な国であり、公式で発表されている天魔の数も3人という圧倒的数である世界で三番目に大きな大国であった。


 そしてその時は誰も知らなかった。その捨てられた勇者が世界最強の力を持った天魔の所に流れ着くことを。

 殺したと思っていた魔王が実は生きていたことも。

 最終的に絶対に触れてはならなかった不可侵略の世界最強に触れてしまったことを。

 その時はまだ誰も知らなかった。

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