第15話・王との交渉
「まず。父上。今現在俺はイトというこの国においては最強の実力を持った。戦闘型の天魔を部下として完璧に制御してます。イトは俺の為ならばどんなことだってしてくれます」
「はい。私はグレン様の為でしたら、なんだってしますよ」
「というわけです。でまあ、父上は忘れてるかもしれませんが。俺は5歳のあの事件が起こるまでは神童と呼ばれた天才です。今回の戦争の裏事情を完璧に把握してます。それこそ父上が知らないこともね。というわけで父上鉱山資源問題解決に帝国軍とも平等な同盟を結べる上に同盟国から莫大な金銭を巻き上げることの出来る素晴らしい提案をしましょう。聞きたいですか?」
「ああ。聞きたい。教えてくれ」
「いいですよ。その代わり俺の怠惰でぐうたらな生活を保証してください。後小遣いの額を100倍にしてください」
元々貰っていたおこずかいの額は月で平均的な家庭の年間収入ぐらいだ。
まあ普通にそこそこ大金なのだが。それの100倍となると結構な量となる。まあ俺のいった通りになるならばその金額がはした金と思えるほどのお金が来るのだがな。
端金は言い過ぎかもだが。充分帰ってくるレベルだと思う。
「分かった。グレンのグウタラ生活保障とおこずかい100倍だな。本当にグレンの言った通りになるのならば必ず実現させて見せよう」
「オッケー。言質取れました。というわけで早速説明していきましょう。まず父上。帝国軍と我が軍の兵士を殺したのは雷鳴の天魔です」
「なるほどのう。ということはもしかして帝国は幻覚の天魔を雷鳴の天魔に始末させようとしたという訳か」
「流石父上です。といっても、あくまで状況的にそうだというだけですが。だって幻覚の天魔はイトが殺しましたからね。でまあ、何が言いたいかというと帝国軍は領地を欲しがっている。我が国は鉱山資源を欲しがっている」
「一応イトが今現在我が国に保護?されている同盟国のお偉いさんから、イトと俺を侮辱したから鉱山寄越すようにと約束させました。まあ。それでも他にも同盟国には細々とした鉱山資源がありますし。何より鉱山資源の話で我が国から巻き上げたお金を持ってます。そして今現在同盟国は帝国軍との国境線上の砦の兵士が皆殺しにされている。さあ。もう後は分かりますよね父上」
「ああ。つまり我が国は表向きは同盟国を援助と言って兵士を砦に派遣して、派遣料と今回の戦争での被害請求料を行いお金と鉱山資源を巻き上げつつ。適当なタイミングで帝国と内通して砦から兵を引き上げさせる。そして帝国に落としてもらう。そういうことか?」
「そうですね。でも、それだけだと勿体ないと思いますよ。もし本気でやるならば、砦に兵を派遣させます。そんで最初の内は派遣料を安くして、後々帝国と内通させて反乱分子どうしで争わせるなり、軍事演習と言って死者が出にくいようにセーブして見せかけだけの戦争を行ったりさせます。
そうすることでこっちは帝国に攻められてますよ。被害を受けてますよという感じにして。タイミングを見計らって一気に派遣料を釣り上げることが出来ます。そうなったら無理してでも同盟国はその派遣料を払わなければいけない状況に追い込まれまれてるんで払ってくれますと。
だってもし払わなければ帝国によってる潰されるのだから。そうしてやると。多分何処かで税金を上げると思うんですよ。まあ同盟国の財政状況を外側からだけど見る限りお世辞にも良いとは言えないでるからね。
それでなくとも今回の件での損失を埋めるために税金をあげると予想されるのに、払っても払っても更にのしかかってくる派遣料を払わなければいけない。じゃあどうするって、多分更に税金を上げると思います。
で、税金を上げていったら、それはまあ民衆からのイメージが悪くなる。もしかしたら反乱軍が出来るかもしれない。そんな中ですよ帝国が侵略して国を奪い。そして税金を一気に下げたらどうなると思いますか?
それはもちろん歓迎されますよ。民衆ってのは意外としたたかです。少なくとも本を読む限り今の国王が絶対良い。今の王じゃなければ駄目だ。この国が他国に侵略されて名前が変わるとか絶対にダメだみたいな強い愛国心を持った人ってのは意外と少ない感じです。
基本的に王が変わって国の名前が変わっても税金の取り立てとか税金の値段とか法律とか。そう言ったものが変わらなければ基本気にしない。それが自分達に取っていい方向に変わるのならば歓迎する。民衆ってのはそんなものです。
そうして帝国が侵略したとにスムーズに帝国を馴染ませることが出来るんで帝国に良い印象を与えられる上に我が国としてもより多くの金銭を手に入れれるという素晴らしい提案ですよ」
「なるほど。確かにその方が良いな。凄く理にかなっている。しかし、失敗したな。儂の息子で一番王に相応しいのはグレン。お前じゃったか」
「いやいや。いきなり何を言い出すのですか父上。私は怠惰のグウタラ王子です。国王なんで絶対にゴメンですね。面倒くさい」
「ハハハ。そうか面倒くさいか。王になるのが面倒くさいか。ハハハ。そうか相変わらずグレンだな」
「そうですね。相変わらずグレンですよ」
「でもなあ。実際問題グレン。お前の王としての適正値はかなり高いぞ。まず頭の回転の速さに知識の量。多少の犠牲は目を瞑れる合理的な所。更にイト殿の家臣を持つ点にイト殿が我の精鋭に覇気を放った際にその場にいたにも関わらず気絶しなかった精神力。どれを取っても王として非常に優秀だ」
「ハハハ。そんな褒めたって何も出ませんよ。それにイトが覇気を放った時父上も側にいたではないですか。そんで気絶せずに普通に座ってましたよね?」
「ハハハ。それはまあ腐っても国王だ。あの程度の覇気で簡単に気絶するようじゃあ。国王失格じゃよ」
「おお。天魔であるイトの覇気をあの程度って言いますね父上」
「まあ。事実じゃからな。何故ならイト殿、あの時は手加減をしていたじゃろ?」
その瞬間父上の目が鋭くなった。さっきまであんなに笑ってたのにね。急に真面目モード入ったよ。
「よく分かりましたね。確かに私はあの時は手加減をしていました」
「そうかやはりそうか。ありがとうイト殿。あの場でイト殿が手加減をしてくれなかったらば多分、儂の精鋭の何人かの心が折れていたかも知れぬからな」
「いいえ。礼をするならばグレン様にお願いします。私に手加減をしろとおっしゃってくれたのはグレン様ですから」
「そうなのか。グレンよ。ありがとう」
何か父上にありがとって言われるの少しむず痒いなまあどうでもいいか。
「いいよ別に。ハア。さてと。じゃあ。話はこれで終わりでいいかな?俺は部屋に戻ってグウラ自堕落に惰眠でもむさぶりながら本でも読みたいからね」
「ああ。そうじゃな。長々と話をしてしまったな。ではグレンよ。おこずかい100倍とお主がグウタラ自堕落に生活できるように協力するという約束は守る故安心してくれ」
「おお。ありがとう。じゃあ戻りますか。イト行くぞ」
「はい。グレン様」
そうして俺はイトと一緒に王の間を後にした。
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