第7話・全て丸投げでポイ
道中は非常に快適であった。
一応俺は腐っても王子であり。この万の兵を率いる総司令であり。神器を持って存在している。
それだけでもある程度の待遇は期待されるというのに世話スキルがカンストしてるイトのおかげで更に超絶快適な道中を送れているというわけだ。
ぶっちゃけ俺のやってることは城の自分の部屋で引きこもっている時となんら変わってない。
イトの作ってくれた飯を食べて。寝て。本を読んで。寝て。飯を食べて寝て。まあ凄く怠惰で有意義な時間だ。
俺の心から愛するグウタラしてて怠惰な生活だ。
ぶっちゃけ場所が部屋から馬車の中に変わったてだけだ。
そんなこんなであっという間に行軍は進み。
大体1週間ほどで同盟国であるグリーラ国の砦に到着した。
というわけで俺のぐうたらタイムは終了だ。
ここから総司令として王子としてグリーラ国の責任者との話し合いをして今後の作戦について立てなければならない。
でまあ面倒だからそれを蹴った。それはもう盛大に蹴飛ばした。蹴飛ばし過ぎて見えなくなるくらいに蹴飛ばしてやった。
だって、面倒だもん。それに俺は知識はあるが。戦事においては素人も良い所だ。そんな馬鹿が入るよりもしっかりと知識のある人たちで作戦を考えた方が100倍良いに決まっているだろ。・・・多分。
ようは俺は神器の【強制昏睡】を言われた通りにぶっ放す、ただそれだけの超簡単な仕事をしたいのだ。
そんなこんなで付いた後はしなければならない挨拶だとか諸々全部放り投げて、作戦の方も優秀な元傭兵で幾多の戦争の経験のある俺の専属メイド、イトに全ての権限を渡して適当に城の一室を借りてゆっくりと本を読み始めました。
そうして本を読んでぐうたら昼寝をして適当におかし食べてという戦争に来ているのにも関わらずにいつもと変わらないぐうたら生活を4時間程続けていた時だった。
部屋にイトが入って来た。
「グレン様。作戦が決まりました」
「おお。そうかイト。じゃあ教えてくれ。その通りにやるわ」
「はい。作戦は私含む100人で構成された先鋭部隊でグレン様を護衛しながら敵の本拠地に向かって一気に突っ走ります。そして本拠地の丁度中心点であり最も多くの敵を昏睡させられる場所に着きましたらグレン様に神器のお力を使用して貰います。そして後は昏睡し無力化状態の敵兵の首を掻っ切るだけです」
イトは少し申し訳なさそうにそう言った。
それはそうだって話だな。だってその作戦は自身の主であるようは俺に一番の危険を背負わせる作戦であるからだ。
イトの事だそんな作戦を止められなかった自分の力の無さを申し訳なく思ってるんだろうな、別に俺は気にしてないのに。
「おお。何ともまあ。お粗末な作戦だな。子供でも思いつきそうだ。でも一番効果的で一番敵にダメージを与えられる作戦であり被害も少ない作戦だな。ただ俺が圧倒的に強いという前提条件もしくは圧倒的に運が良いという条件がいるがな。明らかに俺を殺しにいってるな。でもまあイトが気にする必要とかは一切無いからな。別に俺はこの作戦になったことをそんなに気にしていないし」
「そうでしたか。ありがとうございます。ですがこの作戦は王子様であるグレン様の命を軽視した作戦であり、グレン様が死んでも良いという思いの元で建てられた作戦なのは明白です。それに100人の精鋭で突っ込むといいましても、実際に精鋭と言えるほどの力を持つのは私と後は数人だけ。同盟国であるグリーラ国からの兵士の援助は一切なしです。この状況で突っ込むとなればグレン様がずば抜けたお力を持っているから良い物を普通は死んでしまいます。少なくとも同盟国からの援軍の将にして王子にする仕打ちでは到底ありません。やはり制裁を」
どうやらイト怒ってるっぽいな。こんな所で怒って何かしても面倒なだけだから止めて欲しいわ。
「まあ。そうだな俺もそう思うよ。でも制裁とかいらないよ。第一この作戦イト以外の全員が推しただろ。制裁を加えるってなったら指揮官皆殺しにすることになるぞ。超面倒だから絶対に嫌だね」
「はい。その通りでございます。すみません。私が浅はかでした」
「別に気にしなくていいよ。ハア。にしてもあれだな、もしも俺が作戦を取るとしたら、全員で総攻撃を仕掛けて兵を前線に引っ張り出す。ほんで大量に出てきたところを神器で昏睡。これが一番良いと思うのだがな。でもこれだったら犠牲が大きすぎるし、もし万が一俺が失敗したらってのを考えてやめたんだろうな。ハア。俺って信用ないね」
これからの面倒事を考えるとどうしてもため息が漏れ出てしまう。
本当に面倒だ。
「そうみたいですね。グレン様の評価は確かに散々なものですし」
「おいおい、そんな酷いことを言うなって、いやまあ事実だけどよ」
「でも、グレン様なら正直一人でも突っ込んで神器を使って全員を昏睡させることが可能ですよね?」
「まあな。イトはそれを知ってるからこんな無謀な作戦に許可を出したのだろ」
「はい。それはもちろん」
「そうだよな。ああ、イトに俺の力を伝えたのは失敗だったかもな」
「もしかしたらそうかもしれませんね。でも安心してください。私はグレン様のお世話をすることが好きなので。特に何かを求めたりとかはせず。今まで通りにグレン様が怠惰で生きられるように世話しますよ」
「おう。そうかそう言って貰えると嬉しいな。ハア。さてと。じゃあボチボチ面倒だが、神器を持って敵を昏睡させますか」
「そうですね。でも、その前に問題が一つあります」
「ん?どうした。100人の精鋭で突っ込むと言いましたが。その100人は募集という形であり、我が国の兵士1万人の中からグレン様と共に死地に赴く覚悟のある者だけであります」
「おう。つまり、俺と一緒に死地に行きたくないっていう人が1万人いたら。俺は一人で行くことになるの?」
「はい。そうなります。といっても私はグレン様のお側にいるので二人で行くことになりますけどね」
「そうか。正直イトと二人っきりでも戦力的に十分だな。うん。募集面倒だし。二人で突っ込むか?」
「それもいいかもしれませんが。一応募ったらどうですか?戦力はあって困る物じゃありませんし。それにもしかしたらグレン様に忠誠を誓ってくれる兵士が見つかるかもしれないですよ?」
「馬鹿言っちゃいけないよ。誰がこのグウタラ王子に忠誠を誓うんだよ」
「ここにいますよ」
「イトは例外中の例外だ。大体俺はお前の命の恩人だぞ。十分忠誠を誓う理由はある」
「ハハハ、それもそうですね。では一応兵士の人たちに一緒に来る人~~~って子供みたいに言いに行きますか?まあ傍から見たら地獄への片道切符ですけどね」
「地獄への片道切符ねえ、実際は簡単に報奨金の貰える楽な仕事なのに。まあいいや。でもイトがそこまで言うなら一応募集だけ行ってみるか。まあ、確実に誰も来ないだろうけどね」
「でも、もしかしたら来るかもしれませんよ。淡い期待に賭けましょ」
「いや。来たら来たで面倒だから置いてくよ」
「いや。置いてくんですか?相変わらずグレン様ですね」
「そうだよ、相変わらずグレン様だよ。というわけで募集行くか。まあそれに普通に考えて募集しに行かなかったら不自然極まりないしな。直で俺とイトで行くって、それはもうレベル高すぎるやろ」
「確かにそうですね。では一緒に手を繋いで歩いていきましょうか」
「手を繋ぐのは嫌だな。少し恥ずかしい。でも歩くのだるいからおんぶは大歓迎だ」
「そっちの方が恥ずかしくないですか?」
「いや。恥ずかしさよりも楽さの方が上回った」
「相変わらずグレン様ですね。じゃあおんぶしていきますねグレン様」
「よろしく頼む」
そうして俺はイトにおんぶされながら兵士達が集められている場所に向かった。
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補足説明
グリーラ国は人口は150万人程の小国であり天魔はゼロ。特に目ぼしい資源はなく。そこそこ広い土地と肥沃な農場が自慢の国。
領土拡大が大好きの帝国さんに狙われた形。
因みに国王は無能ではないが。優秀ではない。
実権はそこそこ優秀な第二王子【28歳】が担っている。
今現在主人公たちのいる砦にて指揮官として帝国軍防衛に当たっている。
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