第7話 転勤:引っ越し会社からのとあるクレーム
大手有名企業では、テレワーク化がだいぶ進み、『転勤』『単身赴任』廃止の企業もチラホラ出始めたと聞く。
そのうち、J会社でもそうなるのかなぁと思いつつ、現状見てると、まだ遠い未来の話のような気がしてならない。
・・・・なんだかんだと、未だに時代遅れな制度が山ほどある会社だからなぁ。
あんなに人権啓発研修してるくせに。
研修する前にまず、制度見直せや。
と心の中で呟きつつ、まー私の会社じゃないからいっか、なんて、最終的にはそこに落ち着く(笑)。
J会社ではもちろん、今年も大々的な定期異動が発令され、多くの社員が引っ越しや単身赴任を余儀なくされている。
この『転勤』に関連する業務も、我らがJ会社から請け負っている業務の1つ。
一言で言えば、ただただ【めんどくさい】。
実際に転勤するJ会社の社員も大変だろうが、諸手続きにかかる書類や、次々と入って来る照会、ガンガン上がってくる申請データを捌く我らも相当めんどくさいのだよ。
故に、3月~5月くらいまでは、我らの業務は繁忙を極める。
全く・・・・せっかくのウキウキした春気分が、台無しだ。
ただ。
この時期に入る【照会】や【クレーム】は、後世にまで語り継がれるほど・・・・というのは少しオーバーか?・・・・でも、代々の担当者に語り継がれるほど、ユニークなものが多い(笑)。
先日、担当が教えてくれた【クレーム】をここにひとつ。
それは、めずらしくJ会社社員からの【クレーム】ではなく、異動に伴って引っ越しをすることとなったJ会社社員の引っ越しを請け負った引っ越し会社からの【クレーム】だった。
『お見積りに伺ったところ、●●様のお宅は足の踏み場もありませんでした。これではお見積りもできませんし、当社ではお引き受けいたしかねる状況です・・・・』
マジかっ?!
もしや、ゴミ屋敷っ?!
つーか、転勤あるって分かってるのに、そんな状況になるか?!
私はすぐさま、その社員の家族構成やら居住している家(社宅なのかそうでないのか)をシステムで確認してしまった。
・・・・まぁ、全て見られる権限は与えられているので(^-^;
そして、一緒に状況を確認した担当と出した結論は。
ご家族を亡くして自暴自棄になっちゃったのかねぇ・・・・
だった。
その社員は独身の一人住まい。
昨年、ご家族を亡くされていた。
だから、この結論。
もちろん、我らが解決できるものでもないため、J会社の担当へ対応を依頼。
ていうかさ。
本当にもしそんな精神状態だったら、上司とか気付くよね?
気付いたら、引っ越しを伴う異動なんて、させるかなぁ?
それとも、心機一転して頑張ってほしい、っていう心遣い?
その後どうなったのか知らないけど、異動発令の取り消しは今のところ聞いていないから、きっと異動は確定だろうし、そうすると引っ越しも確定なんだろう。
無事に引っ越しできればいいけどねぇ・・・・
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