第5話 感じ悪い照会者

人事部 給与厚生課

なんてところにいると、日々様々な照会が入る。

ただ、うちの(私が所属している会社の)常駐スタッフさんは、全員ものすごく優秀で(これは結構、私たちの自慢!)、外線電話はほぼほぼ、まず受けてくださっている。そして、回答できることはその場で回答してくださるし、分からないことは、適切に担当者へ繋いでくださるのだから、有り難い事この上ない!

念のために付け加えれば、常駐スタッフさん達だって、決して暇を持て余している訳ではない。

基本的に残業は無い業務を行っていただいてはいるものの、それでも繁忙期には、文句も言わずに残業して黙々と業務をこなしてくださっている。

・・・・いっそ社員になりませんか?

と、私が人事担当ならそう声を掛けたいくらいに、様々な業務を淡々とこなしてくださっているのだ。

私なら、とてもとても・・・・できないと思うくらい。

本当に、頭が下がる。


さて。


先日、1本の外線電話が入った。

照会の内容は


「源泉徴収票をシステムから出したいんだけど、やり方が分からない。どうやるんだ?」


とのこと。

電話を受けてくださったスタッフさんが、源泉徴収票は担当外だったため、源泉徴収票担当のスタッフさんに電話を繋いでくださった。

ところが。

J会社の社員であれば知っていて当然の、源泉徴収票を出力するシステムの名前すら、その方は知らないという。

困ったスタッフさんが相談をしてきたので、私は電話をかわった。


「源泉徴収票でしたら、●●というシステムで・・・・」

”だから、●●なんて知らないよ”


まぁ、しょっぱなの口調から(感じ悪い奴だな)とは思ったものの、そのまま話を続ける。


「どちらのご所属ですか?」

”だ~か~ら~、俺は××にいるの。J会社の社員じゃなくて。分かる?”


・・・・分かる訳無いやろボケがっ!

じゃあ何故におんどれはJ会社の人事なんぞに気軽に電話なんぞしてきたんじゃいっ!


これもなんとか抑え。

この、感じの悪い照会者が聞きたい内容を考えてみる。

源泉徴収票とは、そもそも、会社が給与を払った社員に対して交付されるものだ。

J会社の社員でもないこのクソヤロウが欲しいものとは、一体・・・?


「失礼ですが、源泉徴収票ではなく、支払調書、ではないでしょうか?」

”あー、それそれ”


・・・・このボケナスがっ!


”いつも▼▼っていう奴で出すんだけど、やり方分からないんだよ”


このボケナスが言っている▼▼というシステム。

名前は聞いた事があるものの、うちの部署で扱っているシステムではないため、私はこう答えた。


「申し訳ございません。▼▼は当方の管轄外でして」

”はぁっ?!あんたで3人目だよ?たらい回し”


・・・・誰のせいだと思っとるんじゃっ!このクソボケオヤジめっ!!


言葉を飲み込んでいると。


”あんたじゃわかんないってことね。もういいや”


そう言って、そいつは電話をガチャ切りしやがった。


そもそもお前が【源泉徴収票】と【支払調書】を間違えて、しかも照会先も間違えて電話してきたのが悪いんだろっ!

もう二度と電話してくんなっ、このスカタンオヤジっ!



なんだろう。

こんな胸糞悪い電話、よく掛けられるな、人として。

私の前に電話を受けてくださったスタッフさんも、それぞれにものすごく感じの悪い応対をされたみたいだったので、申し訳なくて思わず謝ってしまったよ。


・・・・人として最後まで言ってはいけない二文字は言わないけど。

あいつになんか災厄でも降りかかればいいのにと、本気で思ったのでした・・・・


あー、ムカつくっ!


人の怨念て、そうそうバカにはできませんよ?

もしかしたら、あのボケナスクソオヤジ、今頃どこかですっ転んで怪我でもしているかもしれないし…知らんけど。

それはさておくとしても。

相手の気分を概してプラスになることなんて、ほぼ、無いですからねぇ。

…電話をガチャ切りされてから、ふと気付いて調べたら、担当部署分かったのですけど、なんせガチャ切りされたので、連絡先も聞けずじまい。

もしあのボケナススカタンオヤジが感じの良い方だったら、電話をして正しい照会先を教えてあげたと思うのだけど。

ま。

自業自得だ。

自力で調べろ。


こんな阿呆な態度を取られる方はいらっしゃらないとは思いますが、皆様はどうかお気をつけくださいね(*^^*)

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