第3話 自覚の無い担当者

J会社では、定期的な人事異動がある。

そのため、入社してから定年で退職するまで、ずっと同一部署にいる、ということはまず、無いのではないかと思う。

ある程度大きい会社だと、人を回す必要もあるのだろうとは思うけれど。

専門的な知識が必要な部署の人間は、あまりクルクル回さない方がいいのではなかろうか。

たとえば、経理部とか。

たとえば、人事部とか。

ま。

余計なお世話か。

所詮部外者だからな、私。


ただねぇ。

定期的な人事異動があるにもかかわらず、J会社の社員は、業務の引き継ぎをロクにしない方が多いような気がする(私の偏見だろうか?いや、そうではない、きっと)。

それでも、異動後には新しい仕事を一生懸命調べて覚えようとする人が大半。

(もしかして、【一から自分で調べて考える事も勉強のうち、それが社員の成長に繋がる、だから引き継ぎは最低限とする】とかいうアホな信念に基づくものなのだろうか。もしそうであれば、周りに多大な迷惑をかけるだけなので、即刻やめていただきたいものだ)

だが稀に、何ひとつ調べもせずに、また恥ずかしげも無く、ものすごく基本的な事を当たり前のように聞いてくる人もいる。


この間、新たに【支払調書】の担当になった人から、こんな照会が入った。


「支払調書って、本人に送らないといけないんですか?」


じゃあ逆に聞くが、誰に送るつもりだよ?個人情報だぞ?

つーか、ネットで調べろそれくらい。


本当に基本的な事過ぎて、最初何を聞かれているか理解ができなかったくらいだ。

会社がその人に支払った報酬額やら、住所やら名前やらが記載されている書類だぞ?

本人以外の誰に送るんだよ?


支払調書は、会社として本人に発送する<義務>は無いとのことだが、J会社では現時点では発送する運用としている。

・・・・これだって、お前の会社の運用だよ。それくらい調べろ。


一応ね。

教えてあげたけどね。仕方ないので。

これ、私の仕事じゃないんだけどなぁ?

別料金徴収したろか。




かと思うと、お門違いな照会が入る場合もある。


「●●の計上の金額なのですが、××の金額と異なっています。何故ですか?」


そんな照会のメールと共に添付されていた画像は、J会社社員が計上した経費の書類。

そして、その××の金額については、J会社の社員から、我々に指示があった金額。


いやいやいや。

まずさ、経費計上した担当に確認しないか?

なぜ、いきなり我らに照会するんだ?

しかも、そのメールのCCの中に、経費計上した担当者、入ってるからな?

宛先、逆だろーがっ!!


なんだかねぇ。

聞けばなんでも答えて貰えると、勘違いされているようで。


悪いがそんな業務を受注した覚えは無いぞ。

自分達の仕事内容くらい、自分達で確認したまえ。


と腹を立てながらも、一応教えてあげたのでした。


「そちらの★★さんが計上されたもののようですが、★★さんから指示を受けて××の金額と記載したものです」


よっぽど、「★★さんに確認されてはいかがでしょうか」と返信しようと思ったものの、角が立つのでグッと堪えたさ。

あ~・・・・これだもん、ストレス溜まるよねー。

甘い物でも食べないと、やってられないっす(^-^;


つーか、ほんと。

こんなんじゃいつか偽装請負認定されるぞ、J会社。

もしそんなことになったら・・・・


万歳三唱して、祝杯でもあげるか(笑)

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