第17話 全面戦争…?
私の肋骨は結局2本折れていた。
しかしこの程度で外科手術は必要ないらしく、少し間の安静は強いられたものの特に不自由なく過ごしていた。
問題は私たち以外。
よくもうちのお偉いさんを!とでも言いたいのか、男女間の溝はさらに深まってしまった。
その結果、救急車がこの学校に訪れる回数がほぼ倍増している。
あれからサカキとはまだ顔を合わせていない。
私はなんらかのタガが外れると、喧嘩中の記憶が曖昧になってしまうし、少々調子に乗り過ぎてしまう節がある。
会いづらいももちろん、私はサカキに負けた挙句骨を折られている。
悔しいなんてもんじゃなかった。
私の黒星が2つに増えてしまった。
奴を甘く見ていたと反省した。
そして、問題は私たち以外と思っていたことも反省した。
そりゃそうだ。
私には隠し通していると思ってるらしいが、数十回救急車の来校数に貢献している双子が大人しくできるわけがなかった。
「クソ双子だせやクソ双子ォ!!」
けたたましい音を立てて生徒会室の扉が開く。
ラコとアフタヌーンティー中だった私は顔を顰めた。
がすぐに含んでいた紅茶を盛大に吹き出してしまった。
「笑うんじゃねぇお前も殺されてぇか!」
むしろ笑わないほうが居た堪れないのでは。
隆司は顔いっぱいに「アホ」「一ノ瀬姉妹参上」「弱小」「ダメ男」「(自主規制)」などの暴言を提げてやってきた。
ラコがくるりと反対方向を向いて肩を震わせている。
「俺はこれで外行っちまったンだよ!!」
もっとおかしい。
何故笑わそうとしてくるのか。
この隆司昼寝中に双子に襲われる事件が軽いきっかけ。
この次の日、校庭で隆司と柊、そして1組の面面が野球をしていた。
隆司と柊は軽くキャッチボールをしていたそうな。
「あー、あの女たち今までにないぐらい腹が立つ」
「隆司さんなら、窓、割れるんじゃないスか」
「ここからじゃ届かねぇ、よっっ!」
「「…えっ」」
と隆司がボールをぶん投げたところ、丁度生徒会室の掃除を終えた私の目の前のガラスがバキバキに割れたわけだ。
「ナズナさん!!奇襲です伏せてください!」
「おのれどこのどいつが…!」
生徒会室は大騒ぎ。窓に駆け寄った秋があーー!っと一声叫んだ。
「ナズナさん危うく死ぬとこだぞ首洗えやァ!」
残念だわ〜風な言葉がぼんやり聞こえる。
掃除機をかけたばかりだった私はワナワナ震えた。
「セリ、夏、秋、ラコ」
各々バタバタを瞬時に止め、私の方を向いた。
私はツカツカと窓辺に近寄り、落ちきっていない窓ガラスを叩き割り、力の限り叫んだ。
「全面戦争じゃおりゃ〜〜〜!!!」
本格的な戦いの火蓋を切り落としてしまったのは、たぶん私だ。
散々な日々だった。
廊下を歩けば男に喧嘩を売られ、蹴り飛ばさなければならなかった。
私がそうすると周りも触発され、その場は男女の地獄と化した。
夏秋VS隆司の戦いも勢いを増し、見る度どちらかはずぶ濡れであったり、汚れだらけであったり。
学食で隆司を見かけたときあまりにも彼が緑に染まってるもんだから「ハルくん…うちのが迷惑かけてすまんな」と謝ってしまった。
「笑ってんじゃねェかよ!」って怒られたけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます