第4話 第14代生徒会(3)

「はいそこまで」


 制止のために手を叩くと、夏の振り上げた手がピクリと反応して、そして下に降りた。


「ナズナさん、もう終わりですか?」


 秋が物足りなさそうに私を見上げる。

 その顔はいつかできる彼氏のためにとっておいてくれ、頼むから。


「終わり終わり、ほら早く外出して」


 夏と秋はしぶしぶ返事をして、それぞれ床に這いつくばっている女の子の腕を掴んで持ち上げた。

 まさにされるがままの2人を見て、少しだけ笑ってしまった。


 非力ってやっぱり可哀想。


 不意に夏の相手の子と目が合ったから、私はまたね、と笑いかけた。

 双子にコテンパンにされてもまだ挑戦できるなら、今度は私が遊んであげよう。




『今年の生徒会はヤバイ』


 私達が就任してから瞬く間にその噂は広がった。

 それもそのはず、それぞれ地域を騒がしてきた奴らが集まってしまったのだ。



 会長補佐    水上 櫻子

 書記・会計    一ノ瀬姉妹

 副会長       芹沢 アカナ



 そして私 

 14代生徒会長  大宮 ナズナ



 これが、赤丸の今の生徒会。


 力で制覇し、上まで上り詰める。

 これこそが赤丸の伝統。




「ナズナさん、あの…」

「あ、ごめん」


 申し訳なさそうに封筒を差し出してくるラコ。

 私はようやくそれを受け取り、すぐに封を切った。

 ラコが持ってくるこの白い封筒の差出人はたったひとりしかいない。




「…ん?」




 セリが静かに近寄ってきた。


「ナズナさん…?」

 ラコの声も少し不安気だ。


 私は中身を押し付けるようにグシャッとセリに押し付け、不機嫌さを隠しきれない声でラコに伝えた。




「…夏と秋、すぐに連れ戻して。大問題」

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