第22話 僕の過去

いつも通り、起きる時間にアラームが鳴る。そして、僕は眠気と戦いながら起き上がる。そして、スマホを見る。すると、風原さんからDMが届いていた。


『流君。急なんだが今日に、チャンネル登録者数50万人突破記念配信&収益化記念配信を、ルラルの家でやってくれ。3Dの機材とかそこら辺はルラルに渡してある。ルラルの家は○○区駅の近くにある○○マンションの〇○○号室だ。一応、地図を送っておくな。よろしく。』


え?今日?それにこの住所僕達、栗空家と同じマンションの隣の部屋じゃん!今まで何で気づかなかったんだろう。最近びっくりすること多いな……。そして、急いで支度をすると隣の部屋へ向かったのだった。


ピンポーン ガチャ


「流ちゃん!いらっしゃい!さぁ、入って~!」


その時間は数秒。ルラル先輩のテンションについていけない。


「こ、こんにちは……。ルラルお姉ちゃん……って呼ぶのは外ではダメだから、本名教えてもらっていいですか?」


本名を聞くと、ルラルお姉ちゃんはびっくりしていた。


「あれ?言ってなかったっけ?まぁいいや。私はルラルの魂をしている、西谷花音だよ!よろしくね。」

「はい。よろしくお願いします。」


そして家にお邪魔させていただき、配信の準備を始めたのだった。


「そういえば、流君は17歳だよね?学校は行ってないの?」


あぁ。そうだ。僕は学校に行ってない。


「行ってません。……要するに、不登校ですね。」


思った通り。花音さんは、困惑した顔だった。


「えっと……、何でか聞いてもいいかな?」

「いいですよ。きっかけは全てこの容姿で――」


僕は小さい頃から世間でいう美少女だった。だから、幼稚園ではいつも注目を浴びていた。ほとんどが、


「流ちゃんは可愛いねぇ。」

「あこがれちゃうわ。」


という称賛の声だった。小学校に入学してもすぐにクラスの人気者になり、次は学年、学校中……といつもみんなの輪の真ん中にいた。でも中学になってからは、周りのみんながどんどん育っていき、声変わりしていたり……その中で僕だけが変わらなかった。そのせいでからかわれるようになり、だんだんとエスカレートしていき……いじめに変わった。


「中学生男子でその容姿。キモっ」


と言われながらバケツの水をかけられる、それが日常茶飯事だった。殴られることもあった。それらのせいで、不登校になった。家で勉強を頑張り、ギリギリ高校に入学できた。でも、その高校でもいじめられた。その結果がこれだ。

 僕は花音さんを信じられるから、すべてを話した。


「……教えてくれてありがとう。過去を思い出させちゃってごめんね。」


僕の話を聞いた後、すぐに謝ってきた。


「いえ。Vtuber生活を送り始めて、克服し始めた気がするので。大丈夫です。」

「……そういえば、初めて会ったときに嫌なことを言ってしまったかも。ごめんね。」


だから、大丈夫だってば!花音さんに謝られたらなんだか、罪悪感が……。


「全然、平気です。Vtuberだと、逆にこれが武器になるので。」


そんな話をしていると、配信時間が迫ってきた。


「じゃあ、配信はじめよっか!」

「はい!」


そして、僕は最後の準備を始めた。


「僕は……青空心。」

『僕は……青空心。』


そして、配信が始まった。

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