固くなった頭を解してくれる柔軟剤
『冨盛菊枝児童文学選集3ぼくのジャングル』冨盛菊枝(影書房)
小学校の図書館で数回借りた本。それが冨盛菊枝の処女作で選集に記されたタイトルでもある「ぼくのジャングル」です。ところどころに挿絵も入っていてその絵とちょっと不思議な物語を照らし合わせるように読んだ記憶があります。
ただし、かなり昔の話になるのでその記憶はあくまで朧気。とは言え、どこか寂し気で希望も含まれたかのラストは、いまだに記憶に残っています。
出来たらもう一度読んでみたい。そう思って何度か探してはみたものの、1965年の本など早々に見つかるはずもなく、半ばあきらめかけていた時にこの選集を偶然見つけたのです。
選集とあって冨盛菊枝の他の作品も短編ながら読むことが出来るのも嬉しい誤算でした。
動物園で見つけた赤ん坊ザルにピッキィと名前を付け友達になった少年はジャングルと言う空想の世界で遊びまわる。そして最後はそのピッキィを動物園から逃がすことを決意する。世間に出回る小説ばかり読んでいると、児童文学のひらがなに戸惑ったりもします。
子供であればきっとスラスラ読めるのでしょう。それは頭の固くなった証拠かもしれません。発想力にしても同様で脳みそを直に揉み解す必要があるかもしれません。
長い時間の経過からか、久しぶりに読むと童心に帰るどころかその文章の描き方などには驚きと言う刺激すら感じられます。田舎で子供はのびのびと暮らせと冨盛菊枝が乱立したコンクリートを批判しているようにも思えてしまう。
同時にいつまでも柔軟な心を持ち続けよとエールを送られたような気もしました。
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