第18話嫉妬③
「じゃあ、連絡先教えてよ」
柊がスマホを取り出した。
「あ、ああ」
輝もスマホを取り出すが、その手は震えていた。
ただの先輩に番号聞かれたくらいで、何故こんなにときめいてしまうのか、自分が気持ち悪い。
「じゃあ、俺言うから…」
柊は自分の電話番号を言い始めたので、輝は急いでその番号を自分のスマホに打ち込む。11桁の数字を言われ終わると、電話をかけそれが柊のスマホを震わせた。
「きたきた、ありがとう。じゃあ、そろそろ教室に戻ろうか。また時間は今度決めよう」
「そうだな」
普通に先輩と映画行く約束しただけなのに、心臓の音がうるさく胸を叩く。
これはいったいなんだろう。
不思議な感覚に襲われながら、柊と別れていった。
二人が生徒会室から出るのを、角谷が目撃していた。
「なんで、あいつと生徒会長が…」
角谷は柊と別れたのを確認すると、輝に話しかけた。
「片桐」
輝が振り向くと、驚いたように角谷を見た。
「角谷」
意外な人物から話しかけられ、きょとんとしてしまう輝に、角谷は輝に詰め寄る。
その様子をまたまた、部活が終わった素也がみつけて、身を潜ませた。
二人の会話が聞こえた。
「なあ、今、生徒会室から会長と出てこなかったか?」
角谷の問いに、輝も盗み聞きしていた素也も動揺した。
「はぁ?別にお前に関係ないだろ。どうでもいい話を」
適当にあしらって去りたい。
それなのに、角谷は引かなかった。
「どうでも良くねーよ。お前なんで会長に付き纏ってるんだよ。会長は俺らみたいなのがずかずかと近寄っていい存在じゃないんだよ」
角谷は真剣にそんなことを言ってるのかと思うと、馬鹿らしく思えて笑えてきた。
「ただの先輩だろ?大袈裟なんだよ」
「ちげーよ!あの人はみんなが憧れる特別な人なんだ。お前みたいな不良ぶってる奴が、天川先輩の優しさ勘違いして近づいてるんじゃねーよ」
角谷が声を荒げたせいで、皆が輝と角谷に注目した。
「おまえら!何揉めてるんだ」
タイミング悪く、先生が現れた。
「何も揉めてねーよ」
そして、その視線が嫉妬の色が混ざっているのも、ひしひしと伝わってきた。
めんどくせー。
ただの、生徒会の先輩と一緒にいるだけで、どうして、こんな敵視した視線を受けなければいけなかったのだろう。
「ただの業務連絡だよ」
輝はそれだけ言うと、角谷の横を通り過ぎた。
「ちょっと、特別扱いされてるからって調子に乗るなよ」
そう、小声で言われたが、言い返す気にもならなかった。
なんとでも言えばいい。
人と関わりなくないのに、柊と一緒にいるだけで、何故この学校は注目するんだろう。
変な学校に転校してきちゃったかな。
そう思いながら、輝は教室へ戻っていった。
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