第3話新学期③



チャイムが鳴り、全生徒は体育館に集まり、朝礼が始まった。


「続いては、今年度の生徒会からの挨拶です」


すると、全校生徒がそわそわし始める。


「あれが噂の会長かー」


「本当、かっこいいよな。同じ日本人なのに…」


「バカだな、同じ日本人でも世界が違うんだよ」


など、ひそひそと声が漏れていた。


そんなことも気にすることなく、柊は柔らかな笑みを浮かべて、颯爽と舞台に上がって行く。


全校生徒を見渡すと、一人だけ外を眺める金髪頭に目がいったが、気を取り直していつもの笑顔で生徒会長の挨拶を行った。


「みなさん、おはようございます。一年生の皆さん、入学おめでとうございます。今年も生徒会長を務めさせて頂きます。天川柊です…」


柊の挨拶を、金髪の生徒は興味なさそうに聞いていた。


そんな彼に目をつけていたのは柊だけではなかった。後ろから素也も気にして見ていたのだ。


柊の挨拶が終わったとき、突然、彼と目があった。自分を認めていない、高圧的な瞳は、柊と目があっても相手から逸らすことはなかった。


その瞬間、柊の胸も突然高鳴った。


まるで、他の生徒がいなくなったような、二人だけの空間に包まれた。



他の人と違う視線。

幼さが残る顔立ちに、自分を悪にみせようと着飾ったような表現。どこか無垢な輝きもある瞳に、柊も吸い込まれるような感覚に陥った。


普通にしていたら、きっと、女性からも人気のありそうな整った顔をしていた。


なのに、自分から人がよりつくことを拒否している。


柊の目線の先を追うように、素也も金髪の少年を再び見つめる。



先に視線を外したのは金髪の少年からだった。柊を追うことをやめ、再び外へと目線を戻した。そこで、柊も我に返った。


穏やかな日和の中で、春の嵐のような心情に掻き立てられながらも、柊の表情は仮面をつけているかのように、気持ちを隠して自分の席に戻った。


なんだろう、この感覚。

他の生徒に見つめられるのとは違く感じる。



冷静にと自分に言い聞かせながら、残りの長い校長の話を聞いていた。



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