出会って、卒業して、また出会う

寺澤ななお

第1話

はじめて出会ったとき、ぬくもりを知った。

まだまっしろの君はただただ暖かかった。


僕は心も体も幼くて君はいつも僕にくっついてくれていた。

きっとそんな君に僕は甘えてたんだと思う。

君が僕の代わりに汚れてしまったとき、自分の弱さを知った気がします。

周りの人にもよく笑われました。


成長するにつれ、君に迷惑をかけることはなくなったけども、

君を汚してしまったことに対する後悔は消えることはなかったです。

君まで指さされて注目を浴びてたから・・・


卒業してあいつと出会ってからは君に触れることも君を見かけることもなくなりました。

君とあいつと僕が同じ屋根の下にいたこともあった。だけど僕は君に気づかないふりをした。


捨てたといわれても仕方ないと思っている。


僕は大人になりたかったんだ。背伸びしてでも。

あの頃、僕は胸にぽっかりと穴が開いた気持ちだったんだ。

風がスースーって通り抜けていく感じ。

いつもそわそわしてた。


一度だけ、君のもとに戻った日があったよね。

でも、その時、たまたま友人に見られてしまい、僕は君をとっさに隠してしまった。


あいつがいなくて君に頼ったのは僕の方なのに

本当に最低だったと思っている。


その日以降は君を頼ることはなかったね。

頼ってしまえば、幼い自分に戻ってしまう気がしたからだ。

その決心をしたとき、僕は本当の意味で大人になれた気がするんだ。

穴もふさがったように思えて、そわそわすることもなくなった。


自由になった気がした。

まあ、かなりふらふらとしてたけどね(笑)


学生になって社会人になってからも君に会うことはなかった。

ずーっとあいつと僕は一緒だった。

あいつといるのが当たり前だと思ってた。


まさか、君に再会するなんてね。

そして、また一緒になれるなんてね。


僕が大きくなったほどじゃないけど

君も大きくなっていて


まっしろだった君はもうほとんど見なくなったけど

僕を包み込んでくれる優しさはちっともかわってないね。


一度は君を捨てた僕だけども

おじいちゃんになるまでそばにいてくれたらうれしい。





おむつを履くまでよろしくね。


ボクサーブリーフ。

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出会って、卒業して、また出会う 寺澤ななお @terasawa-nanao

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