第3話
***
「なんてことがあったのかもしれーー」
「ないから」
かぶり気味に言った妻はオーダー端末の注文ボタンをポチッと押した。
目の前を静かに通り過ぎていく軍艦巻き。
あれは転がり落ちたハンバーグの無念さが見せた幻想だったんだろうか……。
テーブルの向こうでは妻がオーダーの到着を嬉しそうに待っている。
平和がいちばん――。
そんな当たり前ことを思いながら、僕はだんだん小さくなっていく軍艦巻きに心の中で敬礼をしたのだった。
――了――
哀しき軍艦巻き 武城 統悟 @togo_takeshiro
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