その峠で言葉を交わしたものは、今生二度と会うことはないと、またそこで会うものは死者であるとの噂もある、袖振り峠。その峠を越えようとしている少女が、二人に出会う物語。それは夢か幻だろうか、縁とすれ違うこの作品は、いてつく寒く恐ろしい夜とほんのりと暖かな希望、どちらも読者の私たちに感じさせます。美しい文章、素敵な物語でした。よき読書の時間を過ごさせていただきました。