第4章「HR(人質救出作戦)」第6話 双子魔女の再会
「今日の
雷光に向かって淡々と話す雷鳴。
「だが、ユッキーをさらうのは一線を越えたな。やってはいけないことをした」
「人聞きが悪いわ!あの坊やは、ワシらのお客さんや」
そう言って口に入った砂を吐き捨てる雷光。
「ここまで来たことは褒めたるで、妹よ」
苦笑しながら言う雷光。
雷光と雷鳴が会話する真上を、
「何が褒めるだ!結局、計画はご破算。全国の魔法使いに恥を
雷鳴は姉に向かって言い放つ。
「何やと!」
「とにかくユッキーは返してもらうぞ!」
雷光を睨む雷鳴。
すると、雷光のスマホが無言で震えている。それに
「電話だぞ?どうせ、どこかに大阪か、
雷鳴にそう言われ、眉間に皺を寄せながらスマホを取り出す雷鳴。案の定、電話してきたのは南波だった。
『もしもし?』
『ママ、無事?』
『ああ、大したことないわ』
雷鳴から目を離さないように
『向こうのママがいるみたいだけど、どうする?』
どうやら南波は雷鳴の姿を確認したらしい。
「誰だ?南波か?」
二人の会話に割って入る雷鳴。
「うるさい!黙っとけ!」
右手の
『撃つ?』と、短く問いかけた南波。
『冗談言うな!そんな
『だよね?その
『他の
すると、会話を聞いていた雷鳴が言う。
「こっちもお目付けがいてね。若造だが、使える奴だ」
雷鳴の言葉を聞いた雷光はすぐ指示した。
『なら、
雷光は電話を切った。
「南波を
「そっちは誰や?GSCにに兵隊でも借りたんか?」
「さあな」と、知らんぷりをする雷鳴。
「舐めよって・・・!」
雷光の苛立ちが徐々に増し始めているとき、雑木林から銃声が聞こえた。
「始まったようだな?」
銃声がした方向を眺める雷鳴。雷光もそちらに目を向ける。
「悪いが双子魔女の
再び雷光に目を向ける雷鳴。
「何やと?」
「ユッキーを奪い返すと意気込んでいたからな。そっちでも
雷鳴は海岸の西の方向を指さした。
普通の人間ならば、小さくしか見えないだろう。だが、雷光には見えた。沙織と資織の双子魔女。そして、岩濱成行。その三人の目の前には、一人の少女の姿があった。オレンジがかった茶髪のロングヘアの少女。それは雷光も知る人物だった。
「
※※※※※
成行を
「二人とも、成行君を返してもらうわよ!」
静かに言う見事。雑木林から散発的に銃声がする。しかし、そんなことはお構いなしに双子魔女を睨む。
見事の威圧感に圧倒されそうになる双子魔女だが、簡単には食い下がらない。
「なに言うとるのや!ウチらのお兄ちゃんに何の用や!」
強気に答える沙織。
「お兄ちゃんは渡さへんよ・・・」
見事に怯えながらも答えた資織。
一方、双子魔女の後ろでボーっと立っている成行。彼は何も言わず、双子魔女の後ろで、ただ立ち尽くしている。その様子を見れば、すぐに何かがおかしいと感じる。
しかし、今の環境は見事にとってあまり良い状況ではなかった。雷光の発する空間魔法と、自らの母・雷鳴の発する空間魔法。さらに自分自身の空間魔法。空間魔法が干渉しあう状況で、まるで乗り物酔いのような感覚に陥る。それは
なので、見事には双子魔女や成行が空間魔法の影響を受けていない様子が不思議に思えた。
「今日はウチらとお兄ちゃんのデート・デイなんや!どこの馬の骨かしらんけど、邪魔すんな!とっと帰りや!」
沙織が威勢よく見事に言い放つ。
「そっ、そうやで。今日は私と沙織ちゃんとお兄ちゃんのデート・デイなんや・・・」
方や、どうにか言い返す資織。
二人に言いたいことを言われて顔が赤くなる見事。しかも、ある
「デート・デイですって・・・!」
今まで抑えていた怒りが地獄の釜のように沸き立つ。
成行には内緒にしていたが、この連休のお出かけを楽しみにしていた見事。それをぶち壊しにした張本人たちがいる。挙句の果てに、その二人から帰れと言われる始末。
「潰すわ・・・」
「んっ?何やて?」
見事は小さな声で言ったので、沙織にはよく聞こえなかったらしい。
すると、今度は二人に聞こえるようにハッキリと言った見事。
「ただじゃ
見事の発する魔力にたじろぐ双子魔女。見事の魔力は、とても分かり易く殺気と怒りを帯びていた。無論、双子魔女はそれが自分たちに向けられていることを理解している。
「ひっ!沙織ちゃん・・・」
「慌てんな、資織ちゃん!ウチら双子魔女パワーで乗り切るんや!」
そうは言うものの、足が震えている双子魔女だった。
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