「旅行先で美少女師匠が僕をお兄ちゃんと呼ぶ双子姉妹に入れ替わる現象編(旧題:魔女と競輪のゴールデンウィーク編)」ペルソナ・ノン・グラータ②
第1章「ゴールデンウィークのお誘い」第3話 放課後、満月の広場にて
第1章「ゴールデンウィークのお誘い」第3話 放課後、満月の広場にて
放課後になった。成行が帰り支度をしていると、見事からのメッセージが届く。
『先に満月の広場へ向かって。私も後から向かうわ』
内容を確認し、素早く返信する成行。
『OK。じゃあ、また後で』
メッセージを送信後、見事を
森林ゾーンの入口まで来た成行。相変わらず
もしも人がいたらどうしようかと考えながら歩いた成行。が、それは
満月の広場へ着く成行。ここにも誰もいない。魔女との密会には最適だろう。取り敢えず、スマホを取り出す成行。見事へメッセージでも送ろう。何気なく振り返る。すると、そこには既に彼女がいた。
「ビックリした!いつの間に!」
文字通り音もなく現れた見事に驚いたが、これでメッセージを送る手間が省けた。成行はスマホをブレザーの内ポケットへ戻す。
「この
素っ気なく言う見事。そんな彼女に質問する成行。
「見事さん、今は魔法を発動中?」
「一応ね。普通の人間はここへは
そう言いながら、満月の広場のベンチへ腰かける見事。
「成行君もこっちに」と言われたので、見事の隣へ腰かける成行。
今や魔法の師匠である見事。彼女のような美人の横に腰掛けるのは、やはりドキドキする。
ベンチに座ると、成行から話を切り出す。
「早速だけど、ゴールデンウィークのことなんだけど―」
「えっ?何か予定があるの?」
少し曇った表情をする見事。
「いや、そうじゃないよ。僕じゃなくて、見事さんの方が、用があるんじゃないの?」
「うん。まあ、そうだけど。私の用事であるけど、成行君にも関係があるの」
また意味深な言い方をする見事。何だろうかと首を傾げる成行。取り敢えず、このまま彼女の要件を聞いてみる。
「単刀直入に言うわ。ゴールデンウィークなんだけど、私と出かけてほしいの」
「出かける?」
見事の言葉を聞いて目を丸くする成行。まさか、朝の冗談が本当になりつつある。
「それって、もしかして、やっぱり―」
「べっ、別に、デートとか、そんな風に考えなくてもいいから!」
その点を先に指摘されたくなかったのか、成行の発言を遮るように見事は言った。やはり、朝のメッセージを気にしていた様子だ。
「ゴメン、見事さん。調子に乗り過ぎました。この通りだから」と、正月でもないのに観音様へ手を合わせるような仕草をする成行。
「べっ、別にいいわよ」
彼女の反応を見て、おやっと思う成行。そんなに怒っていないのか?見事は、成行から少し顔を逸らしてもじもじとしていた。
「何か特別な用事なの?」
成行の問いかけに、見事の表情が変わる。
「そうね。単なる旅行とは言い切れない。でも、そんな過剰に心配しなくてもいいわ」
それを聞いた成行は、核心へ迫る問いかけをする。
「具体的に、どこへでかけるの?」
「静岡よ」
「静岡?」
静岡に何があるのかと一瞬、思案した成行。だが、すぐにある答えを導き出す。
成行の表情を目にして、見事はこう言う。
「どうやらわかった様子ね?」
「うん。気づいた」
見事の顔を見れば、自分の答えが当たりだと確信できる。
「日本選手権競輪だね」
「正解!」
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