反吐

昔から、他人の言って欲しい言葉が透けて見えるようだった。いつも承認欲求に飢えていて、自己愛に塗れている母親のそばにずっといたから、友人たちの承認欲求を満たすなんて簡単だった。相手が求めてる言葉を言えば、人間関係は円滑にいって、楽だった。


最初は負担が少なくても、月日が経つにつれて、友人達がだんだん僕に寄りかかってくるのが分かった。家にいるのも学校にいるのも嫌で、登校する前に吐いてしまうことはザラにあった。よく精神を壊さずに生きてこれたなと今でも思う。卒業した今でも、Instagramのストーリーを見せないだけで友人に叱られたりしていた(僕のことをナメてたのもあるかもしれない)。最近も、知り合いの愚痴やら不満を聞いて慰めていたら、酔った勢いで10件も20件もLINEが届くようになり、その時は怖くなってスマホを思わず放り投げた。人間不信に片足を突っ込みそうで、ため息ばかり出る。


僕は何も悪いことをしていないのに、みんながだんだんと本性を出して寄りかかってくるのが怖い。人間関係はいつだって上手くいかない。僕はただ、映画や本の感想を話し合えるような関係がいいのに。僕を使って一人で気持ちよくならないでほしい。


昨日、そろそろ限界を迎えそうだったから、彼女に電話を付き合ってもらった。僕とは考え方がまるきり違って、彼女の話を聞いているだけで頭と心の中のもやが晴れていくのを感じる。「早く対等な友人関係を築けるような人ができたらいいね」と言われたけれど、彼女以外にそんな関係が築ける気がしない。

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