眠り姫は眠らない

松本恵呼

プロローグ

お婆ちゃん

 誰が、誰が、と言った…。


 いや、これは単なる事故だ。

 誰が考えても、石段から足を踏み外した事故だ。

 

 それにしても、まだ、携帯は繋がらない。 

 何やってんだ、あのバカ!!


 ならば、いっそ死んでくれた方がいいのか。

 そうかもしれない。

 死んでくれた方が…。





 一人の女子高生が夜、自宅近くの石段から転落した。


 やがて、近くの人に発見された彼女の最後の言葉。


「お婆ちゃん…」


 

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