△マンガ成分『好きな子がめがねを忘れた』完結

『好きな子がめがねを忘れた』(~12巻完結)藤近小梅


 2024年6月20日。

 この日をどれだけ待ち焦がれ、そして、この日が来ないことを願っていたか。

 素晴らしいゲームを終わらせたくなくて、ラストバトル前で寝かせておく気持ちと言ったら伝わるでしょうか。

 終わりを観測しなければ、自分の脳内でどこまでも物語は続き、どんなエピソードも想像することができる。

 でもそれは紛い物。

 いくら、どれだけ登場人物が脳内で好き勝手に行動しようとも、それは別物なのです。

 

 それに何より、二人の結末を見ない訳にはいかないのです。

 ここを乗り越えなければ、自身の生活にも影響が出てしまうのです。

 いい歳した大人が、超多忙な中で、どんな重要な仕事でもクールに片付けていたとしても、二人の結末が気になって夜も眠れずに苦悩しているなんて状況はマズいのです。


 という訳で、最新にして最終巻である12巻を、本日速攻購入し読了いたしました。


 なんという丁寧な描写か。

 これまでのエピソードが何一つ無駄ではないとばかりに構成された全ての作画とセリフがかけがえのない神の如き全ページ。

 尊さと愛しさで涙腺と表情筋が緩むという、いつまでも何度でも読み返してしまう物語。

 恋や愛に純粋だったあの頃を思い出し、その想いを抱えたままずっと生き続けたかった人々の想いや理想を体現した物語。


 だからこそ、創作だからこそ、二人はそれでいい。

 リアルと照合する必要なんかないのです。


 二人の物語はこれでいい。


 そしてこの12冊の物語は、これまで私が読んできた数千冊のマンガの中でも、そして人生に影響を及ぼした存在としても重要な位置に昇華したのです。

 

 それにしても、この物語の神髄である後半。

 アニメでは6巻までしか語られなかった。

 これをどうすれば、アニメの第二期につなげられるのだろうか。

 やはり、大人買いしかないか……。

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