〇匿名短編コンテストに参加して

 今回、縁があって、板野かも様の主催するカクヨム最大の自主企画に参加してみました。

 まずは、素晴らしい企画を開催していただいた板野様に厚く御礼申し上げます。

 以下、コンテストページのリンクです。

https://kakuyomu.jp/works/16816927862378848244


 実施要項を見て分かるように、詳細な仕様と長い歴史を誇る由緒ある企画であることが理解でき、名の知れた作家様も多く、自分には遠い世界のことに思えました。

 と同時に、匿名ということで、純粋に作品の評価がいただける魅力を感じました。


 カクヨムに限らず、固有作家名で活動すると特定の関係性が築かれます。

 それは必ずしも友好的な関係とは限りません。

 作風の違い、ジャンルの違い、コメントの表現、頻度、アピール、フォロー数などなど、その作家さんの活動によって、好悪の感情が生まれたり、読む読まないといった選択が行われるのは必然なのだと思います。


 友好的な関係が築けた場合は、投稿サイトで相互授受の仕組みを利用し、互恵関係を維持します。

 読み合い、星の贈り合い、相互レビュー。

 評価基準を底上げするアシストは、なんらかの成果を求める可能性を得るために必要な行動だったりします。

 私もここで知り合った、たくさんの交流の中で、そんな関係性を維持していることは否めません。


 そしていつしか気付くのです。

 この星は作品の純粋評価なのかと。

 私のカクヨム上での活動がこの星に繋がっているのではないかと。

 そう思うと、星の数を競うコンテストにまるで興味を抱かなくなったのです。


 そんな中で今回の企画。

 板野様の交友関係から考えると、私は完全に余所者(笑)

 ならば、誰が書いたか分からない、純粋に作品だけを評価してもらえる環境は、自分の位置を知る上でも絶好の機会と捉えました。


 そして、以下の五作で参戦しました。


【No. 002】Imprinting

【No. 003】帰巣本能【ホラー要素あり】

【No. 005】那義と永実の冒険

【No. 089】桜の下でまた会おう【ホラー要素あり】

【No. 094】あたしの会社のダンディな部長がド変態な素人作家だった件について


 結果は省略しますが、多くの気付きと喜びを得ることができました。

 PVを競うためでも、星をもらうためでもなく、誰かの心に届く物語を紡ぐ楽しさ、そんな原初の動機みたいなものを再確認できたのです。

 

 まあでも、過分な評価を得られたのはスタートダッシュが決まっただけですけどね(笑)

 これはPV数を見れば明瞭です。投稿順が早ければ早いほど単純接触機会が増え、評価のテーブルに載りやすくなるのです。

 事実、後半の二作品の評価は芳しくありません。

 読んでもらえなければ評価すらしてもらえませんからね。

 そう考えると、読まれるためにアピールする行動って、理にかなっているのかなとも思えます。


 私は外部のSNSをほとんど利用していません。

 今回、参加することも仄めかしも、こっそり宣伝も何一つ行いませんでした。

 イーブンでいたいというより、自虐に近い心境です。

 それでも、これまでまったく交流のない方々にいただいたハートとコメントは、私にとってかけがえのない宝物になりました。

 ありがとうございました。



 ●作品解説

 

 今回のテーマは「再会」ということで、ありきたりな内容ではダメだと思い、意外性を心掛けて構成してみました。


【No. 002】Imprinting

 告知から即日で書き上げました。

 視覚と嗅覚をテーマにして、完全視覚記憶を持つ少年と、完全嗅覚記憶を持つ少女の邂逅を書きました。

 ちなみに支保須さんはシーホース、嗅覚を司る“海馬”から名付けました。

 示見くんのラスト一行を読み解いてもらえて嬉しかった。


【No. 003】帰巣本能【ホラー要素あり】

 告知翌日に投稿しました。

 実体験を面白おかしく(笑)

 いや、肉は夢に出てきませんしリバウンドもしていませんが、ダイエットに成功した人の恐怖感が伝わればと。

 リバウンドを肉の帰巣本能と気付いてもらえて嬉しかった。


【No. 005】那義と永実の冒険

 告知三日目に投稿しました。

 選択肢によって再会に気付く演出がお気に入りです。

 ちなみにもう一つの選択肢を選ぶとそこで終了だったりするらしいです(笑)

 その場合“彼女”の存在に永遠に気付けないという罠。

 右腕の件は伏線だったり。

 那義と永実イザナギとイザナミから。

 文字数制限に苦しみ、終盤、駆け足になってしまいました。

 たくさんのコメントがとにかく嬉しかったです。



 「5分で読書」に六本書き下ろすため、とりあえず以上の三作でお終いにしようと思ったんですね。

 中間結果で、上記三作が好調でしたし。

 でも、その評価は、PV比で見ても投稿順の恩恵であることは前述した通りです。  

 投稿数が多くなればなるほど、後ろの作品は読まれにくくなる。

 ならば、ここでも真価が問われるのでは?

 と、二作追加です。



【No. 089】桜の下でまた会おう【ホラー要素あり】

 堅い作風を意識してみました。

 できるだけ私の作風の対極をイメージ。

 それを意識するあまり、エンタメから離れて後味の悪さだけが残ってしまいました。


【No. 094】あたしの会社のダンディな部長がド変態な素人作家だった件について

 突き抜けたコメディを書きたかったのですが、中途半端になってしまいました。

 でも、こんな再会は嫌だなと思ってもらえて嬉しかったです。



 作風を変えた五本。満足したものもイマイチと思う作品もありますが、それでも、どれも私の生み出したもの。

 自分の引き出しの中に、まだいろんなモノが詰まっているんだなと、創作意欲が高まりましたね。


 そうそう。

 投稿作品は全て読みました。

 作者名に拘らず(これとっても大事なことでした)、面白かった作品にたくさん出会えました。

 これからしばらくは、面白かった作品の作家さんのところにお邪魔して、楽しいヨムヨム時間を過ごしたいと思います。

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