◇鼠の海(後半)
〇スタンバイパス(つづき)
開場時間前に入場させてくれるなんて、やるようになったじゃねーか、ふふん。
と感嘆していた私はウッカリしていることに気付きます。
もう、かなりの人数が入場していることに。
慌ててアプリを開き、スタンバイパスの取得ミッションに移行。
基本的に、一つのスタンバイパスを取得して二時間経たないと次のパスは取得できない。
そのためどれだけ早く最初のパスを取るかで計画は大きく変化する。
とにもかくにも、人気アトラクションを抑えることが必須。
前回の来園時、『ソアリン』のパスを取得して朝一のスタンバイ列に並んだら120分待ちで、その後の計画が大きく狂ってしまった記憶が蘇る。
人気のパスを取得しつつ、人気のアトラクションに並ぶのは基本線だが、すでに多くの入場者が存在する。
そう、せっかく開場時間前に入れたにも関わらず初動をミスったのです。
震える手で『ソアリン』を選ぶ。
取得するパスで乗れる時間は、すでに13時過ぎだった。
つまりもうたくさんの人が『ソアリン』のパスを取得してるってワケ。
でもここで『センター』や『インディ』を選んだところで次のパスを取れるのは二時間後。
迷う必要はない。
『ソアリン』のスタンバイパスをゲット。
そして安堵するヒマはない。
すぐさま別のアトラクションに並ばねばならん!
前述した通り、混み具合や並び具合によって各アトラクションは
「現在、スタンバイパスをお持ちの方のみ並べます」状態になってしまうのだ。
常にアプリに表示されるリアルタイム情報を元に、計画を修正し続ける。
それが今のディズニー。
ところどころで無邪気に写真撮影している同行者を煽りながら園内を高速歩行する。
〇食事
なんとか無事に『センター・オブ・ジ・アース』続けて『ニモ』を通常スタンバイで楽しむと、やっと余裕が生まれました。
次の明確な予定は13時からの『ソアリン』
現在時刻は11時前。
軽くショップでも眺めようとうろついてみますが、コロナの影響で入園制限をしているからなのでしょう、多くのお店が閉まっています。
ポップコーンや軽食のお店も限定営業か閉まっているところが目立ちます。
これは食いっぱぐれる可能性が? と懸念し少し早いですがお昼タイムに突入します。
今はアプリ上でレストランの待ち時間も表示されるので確認してみると、待ち時間0分の表示がいくつもある。
従来、大体どんな時間でも店内は満席に近く、0分表示に訝しみながら『ザンビーニ』というお店へ。
確かに、注文列に人が少ない。
そして店内の座席も、使用率は30%もないくらいガラガラ。
ちなみに園内の様子は、普段の混雑した休日の雰囲気。
そりゃあ例年の三月っていえば、花の卒業シーズンってことで、どこもかしこも学生サンたちが溢れ、呼吸する酸素を取り合うくらいの混雑な訳で、こんな三月があるのかよっていうくらい少ないケド、それでも9時半には『ソアリン』のスタンバイパスが売り切れるくらいには混んでいるのです。
それが、レストランの内部はガラガラとか。
こんな空いている中で食事をしたのは初めてかもしれません。
みんなのんびりしてます。
いつもの殺伐とした、食事の載ったトレーを持ったJKに「おう、もう食べ終わってんだろ? はよどかんかい」的な睨みを利かされるあのディズニーはどこ? と釈然としない思いでいっぱいでした。
〇ショップ
その後『ソアリン』乗って、スタンバイパスで『マジックランプシアター』見て『インディ』乗って、随所に軽めのアトラクションを楽しみました。
その後、閉場時間付近のショップは混むだろうと危険を感じたので、買い物は先に済ませておきました。
車で来ている利点を生かし、買い物はさっさと車に運んでおき、常に身軽な状態をキープするのです。
もちろん不測の事態に備え、背負えるリュック以外にも、畳めるリュックは常備しておりますが両手を空けておくのは基本です。
それはもちろん、いつどこでポップコーンを購入してもいいように……! そう、ポップコーン!
〇ポップコーン
毎度毎度、アホだなぁと思いつつ、これもディズニーの楽しみ方の一つと割り切るものの中に、ポップコーンがあります。
高いじゃん。どこでも買えるじゃん。フリトレーのでいいじゃん。
なんて言ってはいけません。
あの場で買うポップコーンには、勢いとノリでしか味わえない空虚なカタルシスがあるのです。
我に返ってはいけません。
夢の国に入場した以上、来園者は夢を見ている状態なのですから。
ちなみに、年がら年中フレーバーに新味が出てます。
今回は、抹茶ホワイトチョコ、ブラックペッパーなど楽しみました。
ちなみに、並ぶときは20~30分くらい並びます。
ポップコーンごときが!
そんな無粋なことを言っちゃあいけません。様式美なのですから。
さて、軽い夕食も済ませ、花火も堪能し、所要を済ませ退園です。
同行者たちは夢の残滓と共に車内で眠りにつきます。
目覚めれば日常です。
運転手である私は殺伐とした渋滞の中、二万歩以上歩き続けた体に鞭打って、夜の拘束道路をひた走るのです。
鞭だ拘束だと特殊性癖の持ち主みたいな表現が多いですが、ディズニーへ行く際、遊びに行くというより、何らかの苦行を味わう心境になったのはいつからだろう?
きっとその分岐点が、子どもから大人になった証なのかもしれません。
おわり
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