第10話バラさん逃亡。コータ捕縛。

『"調整人バランサー bあ3gwpttgおTj が宣告するぅ。 bあ3gwpttgおTj から タキガワケイタ に調整人バランサーを譲渡〜。"』


『じゃあねぇ、ケイタ君〜。真名は他には教えたらだめだよぉ。』


多分、心を読まれた時にバレたんだろう。防ぎようないじゃん。あ~、だから変な言葉で呪文を誤魔化してたのか。やっぱり名前だったのね。


ていうか、助けないんだね?心の中で叫んだよ!後で助けるんですか。そうですか。まあ、信用してた訳ではないからいいけど、信用しかけてたからね?必ず助けてください。


『止まれゴミ共。夢幻をお望みかな?なーんてねぇ。そこにいるコータ君が新しい調整人バランサーだよぉ。残念でしたぁ。

これから新しい時代が始まるよぉ。それでもまだ人間の様に畜生として生きるなら頑張ってねぇ。必ずイジメに行くからねぇ〜。』


やっぱ悪役だな。でもまぁ、人間嫌いか。嫌いとまではいかないけど、人間とは距離を置きたい俺からすればいい見本だな。俺はまだ、人間に固執してるけどね。


バラさんが後ろに一歩後退すると周りの風景に飲み込まれた。メカニズムはさっぱりだが、魔法はスゴイ。


バラさんは結局、俺を勧誘したかったのか。そうなのか?なんかよく分からんな。


俺が悪の一員か。マジかー。5色のタイツグループとか、バイクに乗った虫とか大好きだったんだけどなー。あ、異常に強い江戸時代の人も好きだったな。何故か薬入れを見せると皆が平伏するというあれね。


でだ、バラさんが消えた途端、敵さんが走ってくる。イヤ〜棒倒しかな?俺粉々になっちゃうよ。


すると、視界が事切れたかのように暗転した。あれ?これも魔法か?言い知れぬ不安が増長しそうだが、何をされても身動きはどうせ出来ないし、死なないんだからと思えば、案外耐えられた。


そういえば足音も聞こえなくなったな。な~んか最初にいた空間みたいだな。


・・・・・。あ、貸してあげるって言ってたな。バラさんが貸してくれた五感がバラさんが消えたから無くなったのか。


やっぱ不便だな。"ガワ"の目に慣れると魂見るのも一苦労だ。えーっと、疲れ目の時にピントを合わせる様にと。うわっ!近いなコイツ。そしてキモいな。俺に似てモゴモゴ全身が動いてる。バラさんみたいに光ってるだけ俺よりはマシか。


『聞こえるか?』

『うん。キコエラ。』


『お前、名は。』

『コーーーーーーータだす』


『・・・?ふざけておるのか?そうであるなら容赦はせんぞ?』

『ノー、いいえ。フザケてる、ない。ふざけるな。』


これ絶対伝わってないよね。どうしよ。確か、簡単だったはず。赤ちゃんが言葉を覚えるより簡単だって言ってた。子供が知らない人に声をかけるぐらいだって。勇気がいるってことか。まずは堂々と話すようにしてみよう。何か変わるはず。


『オイ貴様。何用か。このヘンチキな縄を今すぐ解き、地に額をめり込ませよ。さすれば弁明の許可を与える。』


一応、すんません。何の用か分かりませんけど、とりあえず縄は解いてくれませんか?謝れとは言いませんけど、まずは話しましょうよ。と言ったんだがどう?


『き、貴様!おい!アイザック何か痛めつける方法はないのか!此奴ワシを愚弄しおった。』


ん?なんでそうなる。めっちゃ丁重に話してんじゃねぇか。どこをどう理解したら愚弄になるんだよ。


『・・・。魂話が下手なだけでは?心を読めばいい。少なくとも敵意は無さそうですよ。』


おお、背の高い兄ちゃん分かってるねぇ。そうそう心を読めばいいんだよ。てか、デカすぎだろ。3メーターぐらいあるな。ここには巨人族もいるのか。でも、思っよりは細いな。


『私は巨人族なる安直で凡愚な種族名ではない。天頭族あまとぞくだ。』


凡愚は言いすぎだろ。分かりやすくていい種族名だと思うけどな。で、俺はどうなるんでしょうか。


『此奴はなんと言っておる?ワシは心が読めん。訳せ。ほれ!』


『あのさー、どうでもいいけど早く帰らない?しょっ引く事は決まりなんでしょ?帰ってから話を聞けばいいじゃーん。あんたらと違ってダーリーンが待ってるのー。』


ヘェ~。女性もいるんだ。声を聞いた感じ間違いないな。うん。見なければ良かった。姿は女性的な柔らかそうな体躯だが、胸のあたり、多分心臓に矢が刺さってる。キューピット的な事なのか?だとしたらもうちょっとデフォルメすべきだね。桜色の体表に鮮血は目立つぜ。矢ももっと可愛いのにしなさい。戦国時代じゃないんだから。


『コイツ、ウザい。お前の方がキモい見た目なんだぞ!私が拷問する〜。ビービーいいでしょー?』


『まあ、いいんじゃないか?とにかく帰るぞ。ここにいてもバラモントを追うことは出来ない。』


バラモント、ねぇ。バラさんの事だよなー。偽名だろうな。


後ろから聞こえた声もまた女性か。姿こそ見えないが騎士みたいな人だろうな。アニメでポンコツ騎士ってこんな感じだったし。


『ブフッ。ウケる~。』

『・・・彼はユーモアの才がありますね。』

『ん?なんだ何と言っていたんだ?』

『何じゃワシの事ならば許さんぞ。』


ということで、俺は何かの罪で取り調べを受ける事になった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る