第7話 深夜の紳士達
時刻は深夜、キャンプ場の連中はテントを建てて中に入って無駄話をしたり寝る時間である。
カレナは既に寝た、子供は寝る時間だからな。
俺とグリフさんはキャンプ場の職員用のログハウスにて……。
「「………………」」
俺達の目の前には黒いモヤのような物が浮かんでいた、そしてそのモヤはまるで映画を映し出すようにとある映像を映し出していた。
そうっそれは男女のカップルが泊まっているテントの中である。
その中ではただでさえ蒸し暑いテントの中の湿度を更に上げる行為にいそしんでいた。
いわゆるパンパン案件である。
「……ほほう」
「…成る程」
「がっついてるな、コイツは少し前まで童貞だったのか?」
俺とグリフさんと共に映像を監視するのはこの森キャンプ場の管理人であるハーゴンさんだ。
ツルッパゲの頭に六十代と思われる枯れたお爺さんオーラを纏う壮年の高齢者だ。
しかしエロを見る目は衰えていない、俺は人生の先輩に生まれて始めて尊敬の念を抱いた。
何故ならこの男はあの勝ち組キングとビーチの管理人の立場を掛けて戦ったのだ。最終的にはイケメンと若さを持つ勝ち組キングに負けてこのむさ苦しい森キャンプ場まで追われたらしい。
チートもなしにあの化け物と競い合おうとは、本当に大した御仁ではないか。
社会の常に理論武装だけして論破~~!っと間抜けヅラで勝ち誇るただの老害とは雲泥の差を感じた。
同じようにビーチを追われ、行く当てのなくなった俺達と同じような負のオーラを背負いビーチを恨めしそうににらみつけていた彼とは話をして意気投合。
結果としてこのキャンプ場で働く事になったが俺達がキャンプ場で働いている経緯だ。
更に言うなら元々俺達は夏と言うことでビーチとキャンプの両方が楽しめるというリゾート地に旅の途中ど訪れただけの観光客の筈なのだが……。
本当に夏の魔物とは恐ろしいな。真夏のビーチと美女、そしてそれに群がるクソイケメン共を視界に入れた時点で夏の魔力で正気を俺は失っていた。
その結果勝ち組キングにケンカを売り、ビーチから追い出されているのだから笑えないな。
「ゼオン!場面が変わったぞ!?」
「此処は森の中です、今………野外でおっぱじめてる輩がいます!」
「なんだって!?許せねぇ……ワシの神聖なキャンプ場で………!」
パンパン案件中のカップルを発見、我々は大人しくなった。
「……まっまあもう深夜だしな、文句は明日にでもするか」
「確かに、今は現場証拠を我々の脳内に刻む方が重要だ」
グリフさんの言うとおりだ。俺達はこの邪悪な行いを記憶し、それぞれの部屋のベッドで英気を養う必要があるのだ。
部屋にはそれぞれ音が漏れないように魔王パワーで強化しているので安心だ。心おきなく脳内ギャラリーのエロCGを閲覧すれば良いのだ。
故に今は我々は紳士でなければならない。
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