第8話 カリオの真実(魔王興味なし)

 とりあえず俺達の今後の方針は決まった。その事を話す為にカリオが泊まっている宿に向かおう、夜の町はレプコブ達が突然消えた事に驚いている者、レプコブ達が夜空に浮いて一瞬で燃やし尽くされたとこを目撃し、あ然とする者と様々だ。


 いずれは前者が後者から説明を受けるだろう、信じるかどうかは知らん。俺達は直ぐにゴブリンキングダムに向けて旅立つからな。


 俺は現職はフリーターだが心の中は現役の魔王、気分が悪いからあのレプコブは始末したが人間が好きとかそう言う感情はない。散々前世では人間の醜い部分を見てきたからな。


 一々状況を説明してやる義理はない………がっ大怪我でも息のある人間がまだ何人かいるのでソイツらは一応助けてやろう、死なれたら俺の気分が悪いんだよ。

魔王パワーならフランクフルトの何処に居ようが回復させる事が出来るんだからな。


「…………」

「ん?どうかしたかゼオン」


 俺の魔王パワーは魔法ではない、だから魔法みたいに呪文とか必要ない、無詠唱が普通だ。念じるだけで何でも出来るん。意識で操作するチートだ。


 ただ形から入るのも一興かと思ってテキトーな呪文とわざ名を言ってから使っている、本来はあれ、要らないんだよ。だから今回は無言で勝手に回復させる、グリフさんにも話す必要はないだろう。


 やがて町の喧騒は消える、俺達も宿に到着した。


「カリオは寝ていますかね?」

「恐らくは、既に深夜だしな」

「……では忍び足で行きましょう」

「………だな(ニヤリ)」


 グリフさんはとてもいい笑顔である。俺もか。


 宿の階段をゆっくり上がる、足音をたてないようにな……。

 俺は階段を上がり廊下をそろりそろり進みながらカリオの事を考えていた。


 カリオ、常に顔を布でグルグル巻きにしたミイラ少年。何故そんな事をしているのか、それはブサメン魔王故に分かってしまう。


 カリオ……お前はブサメンを隠す為に頭をグルグル巻きにしているんだろう?。その気持ち、俺にも少し分かるよ。


 服装が大分ダボダボなのはよく分からんし、胴鎧とか動き難そうなのに装備してるのも意味不明だがそんな事は些細な事だ。ブサメンの悩みはブサメンにしか分からない。


 声からして十代中頃くらいか?顔にニキビが出来て恥ずかしいだろう、さらにブサメンで……俺ならミイラ男になる選択もありだぞ。


 だからこそ、今夜俺とグリフさんは修学旅行の学生のノリで寝ている素顔NGボーイの顔をのぞくことにしたのだ!。


 ヤツは野宿してる時はこちらを警戒して俺達が本当に寝るまで起きている程だからな、いくらブサメンが恥ずかしいからってもう少し野郎同士なんだから仲良くしょうぜ?そんな気持ちを伝える為に俺達は決死の寝起こしドッキリを敢行する事にした。


 何しろこれからゴブリンキングダムへと国潰しに行くからな、その前にこう言う小さなシコリは破壊しておくのだ。


 魔王パワーで鍵を音もなく解除する。そして中に入る、寝顔を確認した後は魔王パワーで無から創り出した空砲バズーカを天井に向かって発射して起こすのだ。


「……………ん?」

「どうした?ゼオン」


「グリフさん、おかしいです。俺達は確かにカリオが借りてる部屋に忍び込んだのに……ここにいるのはカリオじゃない」


「なんだと?それはどういう………ッ!?」


 グリフさんは固まった、それも仕方ない。何故なら俺達の目の前でベッドで寝ているのはカリオ少年ではなく──。


 1人の少女だったからだ……髪型はツンツンヘアーの灰色に近い髪色で顔立ちは幼さも残るが整っていて美少女と言っても誰も文句は言えないだろう。


……まっ胸もペタンとしてるし、俺はロリコン闇の勢力じゃない。この子は放っておいてカリオを探しに──。


「……ん?ゼオン?グリフも?お前ら何で…………おっオレの部屋にいんだ!?」


「「……………………マジかお前」」



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