第14話 ファンタジーな話は後にしろ

 小太り魔族は逃げることはなく、メアリー嬢の前に立ち、俺と対峙する。


「貴様、その力は本当に人間か!?」

「答える義理はない。貴様を倒しメアリー様を助ける、それが俺の役目だ」


 メアリー嬢にはキッチリアピールしとこ、そしてこの小太り魔族に対しては牽制だ。万が一メアリー嬢を盾にされたら困るからな。


「フッ!貴様が行かに強大な力を持とうと無力なのだ!アレを見るがいい!」


 小太り魔族が余裕の笑みを浮かべて片手を上に向ける。すると頭上十数メートルの高さに魔法陣が現れた。


「まさか、アレは……」

「クククッ!そうだ!既にこの娘の母親は我らの手中にあり!」


 なっ!?やはり別働隊的なのがいたのか!。


 魔法陣から現れたのは大きな黒い泡みたいな物だ、それが透けて見えて中に女性がいるのが見えた、アレがメアリー嬢の母親?ウソだろ。見た目マジで二十代後半くらいにしか見えない、金髪の外人美人だ。



 メアリー嬢はまだまだスタイルの方はスレンダーだ、しかしあの金髪美人は出るとこはボインと出ている。顔立ちから見てもメアリー嬢との血のつながりを感じるのは事実。


 やはり本当に、メアリー嬢のお母さんって事か?どのみち見捨てる事は出来ない。


 何故なら美人だからな、メアリー嬢のお母さんなら異世界には人妻美人が実在したと言う事になるし、貴重な人材だしな。

 流石異世界だファンタジーな世界観だけの事はあるな、助けがいがある。


 美人じゃなかったら………この話はしない。それがブサメン魔王なり。


 しかしメアリー嬢とお母さん、この二人が揃った事でヤツの目的がハッキリした!。


「小太り魔族!やはりそうか、貴様の目的が分かったぞ!」


「小太り魔族じゃない!俺の名前はザイゴブだ!」

「雑魚の名前など……知るか!」


「ゼオン、格好つける為にマジの演技してるな~」

「格好ついてるのか?オレにはあんまり」

「言うな!それは…」


 グリフさんの言うとおりだ、カリオ。格好つけられているかどうかは結果のみが答えてくれる。俺はチラッとメアリー嬢の方を見た……目をそらされた……きっと気恥ずかしいんだろうな。慎ましい清楚美人なメアリー嬢だ。


 しかしメアリー嬢を見ていると小太り魔族が勝手にベラベラ喋りまくる。


「俺の目的が分かったと言ったな。まさかこの小娘とその母親の特別な血統に気づいていたと言うのか?」


 知らん。なんだ特別な血統って。


「クックックッ面白い!そうだ!俺の目的とはかつて我ら魔王軍の偉大なる魔王を封じた巫女の血族を生贄に──」


「そんなファンタジーな話は知らん、後にしろ後に……」


「…………………は?」


 今だ、とぼけるこの小太り魔族。やはり俺自身の口から事実を口にするしかなさそうだな。



「貴様の目的、それは……儀式だなんだと格好つけてメアリー様とその母親にエロいことをしまくる為だろうがぁあああーーーーーー!」


 


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