第13話 悲しき無双

「この化け物が!喰らえ、サンダーアロー!」

「召喚魔法だ!魔物に食わせてやる!いけっ!」

「ギュオオオオーーー!」

「炎よ、巻き起これ。フレアストーム!」

「アイスジャベリン!」


 フンッ流石魔族って所だな、大半が魔法のエキスパートだ。炎の竜巻、雷の矢、氷の槍が次々飛んできた、オマケに3つ首のケルベロスみたいなのまで遠目に見えた。


「………跪け、『堕とす超重力グラビティ・フォール』」


 数が多い、だから全部地面に落とした。

 垂直。真下にだ。だから魔族連中の全ての攻撃魔法は届かなかった。ケルベロスは強制お座りだ。


「なっ!?まさか貴様は重力を操る魔法を使えるのか!?」


「……違いますよ?」


「………何?」


 俺のチートは魔王パワーだ、そして魔王パワーは大抵の事が出来る。重力を操ったのは当たりだが魔法ではない、だから魔力とか消費しない。チートだからな。使いたい放題のチートだ。


 だからハッキリ言う、俺は最強だ。


「え~~~!?つよっ!何あれマジスッゲ!」

(うわぁってっきり魔王に憧れる魔法使い崩れのアラフォーかと思ってたらマジで魔王みたいにつえーーー。ブサメンつえーーー)


「ッ!?あのオッサン……本当に強いのか!?」


フッグリフさんとカリオも驚いている様子、格好つけて良かった、これならマジでメアリー嬢のハートも………いける気がする。


 そして俺は強いよカリオ。多分誰にも負けないと思う、俺の強さはあの股クサ女神も普通に戦ったら瞬殺出来る次元だからな。

 しかし魔族連中はまだまだ数はいっぱいいるからかまだやる気だ。


「なっ何なんだあの人間は!?とんでもない魔法を使うぞ!」

「しかし、あの肌は黄色だしあの顔立ちは……本当に人間か?まさかオークの変異種か?」

「或いはホブゴブリンの亜種かもしれんぞ」


 だから魔法じゃな………オイッ誰だ人を魔物扱いしたヤツ!しかもオークとかホブゴブリンとか好き勝手言いやがって、俺がオークならあの島国の人間の大半がオークって事になるぞ!?。ブサメンかはともかくだけど…。


 流石にムカついた。もう許さんぞ。魔族連中がまた色々な魔法を使って来たので今度は普通に攻撃魔法っぽいヤツいくか。


「全てを打ち砕け、漆黒の雷。『暗黒の雷霆ブラック・サンダーボルト』!」


 俺の右手から黒い雷が放たれる。それは眼前の敵を全て一瞬で呑み込んで消滅させた。ブサメン魔王が手加減してるうちに逃げれば良かったのに。


 黒い雷がドンドンズンズンそこかしこに降り注ぐ。爆音がうるさいな、地下だから反響が凄い。


「くっ!なんて規模の広範囲破壊魔法だ!」

「きゃあああ!きゃあああーーーーー!」


 ………あっしまった。メアリー嬢まで死にそうじゃん。


「メッメアリー様ーーー!」

「アホ!助ける相手まで消し飛ばす気かよ!?」

「バカ!ゼオンのバカバカお前はホントにも~~!死なせたら報酬どころか追われるんだから速く助けろって!」


「すっすみません!今すぐ助けに参ります!」


 カリオ、そしてやたらとよく喋るグリフさんに急かされて、俺はマッハでメアリー嬢の元まで向かった。



 

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